
1982年6月 中山映画 製作 配給 映画センター全国連絡会議 カラー作品 監督 中山節夫
優秀な兄・姉の下で 成績がイマイチな 少学6年生 岩田たけし(上野郁巳)が、家出して 熱望する寝台特急はやぶさ号に乗って 西鹿児島を目指す 冒険ミステリータッチの前期青春映画です。
東京機関区を出区する 1000番代のEF65形電機は

品川客車区へ移動し、

寝台特急はやぶさ号の 24系25形編成を牽引して 始発駅東京へ向かいます。

何度もブルートレイン乗車を 願い出た岩田ですが 仕事に忙しい父親は 応じてくれず、遂に貯金で切符を買うと 東京駅9番線へ来ました。
16:17 はやぶさが入線し

16:30向かいの10番線から ブルトレ一番手 長崎・佐世保行の 1レ特急さくら号が出発して行くと、岩田は家に電話しようと 公衆電話を取りますが 迷った末に止めてしまいます。
そして 3レ特急はやぶさ号の 発車ベルが鳴りだすまで 乗るか迷っていた岩田は

4号棟に飛び乗り発車です。

指定された席に行くと 話好きの女性が向かいの席に到着し、後に 鳥栖へ一人で向かう 篠山あずさ(永浜三千子)も現れます。
18:14熱海を通過する頃

岩田の家では家出が発覚し 19:14静岡で機関士交代の頃、父岩田隆介(川津祐介)と 母美樹(水野久美)は(はやぶさ)に乗ったと確信して 東京駅へ向かいますが 20:12発の最終新大阪行 ひかり185号に乗り遅れ 大阪で追い付く作戦は失敗です。

車掌長(高城淳一)が 再度あずさの元へ検札に来た時、家出した「6歳の中村まさとし君(星野光司)愛称マー坊を捜している」と皆は聞きます。
20:30頃 岩田は食堂車で ハンバーグ定食を注文した時 ウエイトレス(青木菜々)と知り合いますが、食堂車内は 黒服3人組男も居て 何やら怪しい雰囲気も漂っています。

そして4号車内では コート姿の男がダイヤを 黒服男に盗まれ、更に男のミスで ダイヤをマー坊の 紙袋に落としてしまいます。その一部を目撃した岩田は あずさに話しますが信じません。しかし下段の女性が「大型トランクが怪しい」と話すので、男の寝台へ二人で行き トランクを開けると マー坊が死んだ様に寝ていました。
そこへ怒った顔の 3人組の男達が現れ「紙袋に入ったダイヤはどこだ!」と迫りますが、岩田が男の手に噛み付き逃走し 空いていたA寝台個室に 二人は逃げ込み隠れます。

しかし刑事風のコート姿の男(常田富士男)は マジシャンで 男達は弟子なのが分かり、騒がせたお詫びの マジックを披露してくれ マー坊も匿ってあげました。
その後 岩田とあずさは 閉店となった食堂車で ウエイトレスから、自作の{ブルートレインひとり旅}という歌を 聞かせてもらいます。

一方その頃 一人で追いかける父親は 東京21:00発の名古屋行ひかり541号で 23:16に名古屋に到着し、23:20発 9レあさかぜ1号に乗り継ぎました。

これに乗れば 翌朝6:28着の広島で、6:34発の始発こだま431号に乗り継ぎ 博多にて余裕で 追いつける目論見です。
そしてはやぶさ号は 下関に到着すると

牽引機関車が EF81形電機に付け替えられますが、

ここでマー坊は 鉄道公安官に保護されてしまいました。
関門トンネルを抜けた はやぶさ号は、

次の門司で更に ヘッドマーク無しの ED76形電機に交代して 九州路を走り出しました。


博多到着が近付いた頃 あずさに「御言付が届いてますので、乗務員室へお越しください」と放送があります。博多ではマジシャン一行と 下段の女性が下車して、車内は寂しくなりました。
あずさが(門司→3レ)業務連絡書を受け取ると、家を出た母親が 鳥栖駅に 出迎えに行くと書いてあり 一安心です。

DE10形内燃機に連結された 赤い50系客車が停まる 鳥栖駅に着くと、
あずさの母親(長内美那子)が出迎え 二人は涙の再会を果たします。でもはやぶさ号が出発して行くと あずさは列車を追い掛け、大きく手を振り 岩田に別れを告げるのでした。

岩田が席に戻ると、父親が座っていて 驚きます。当然叱られますが「あさかぜ1号から広島で 山陽新幹線こだま431号に乗り継ぐ筈が、寝過ごし徳山で こだま421号に乗り継ぎ 博多9:20着。急いで9:22発の はやぶさ号に、スレスレ乗り込んだ」と父親が話すと 二人の間が和みました。
そして父親は「熊本で降りて 熊本空港から大阪へ飛んで、午後2時からの 会議に間に合わせる」と言って、終着西鹿児島までの乗車を 許してくれました。熊本で切り離した後部編成を 移動する為、DD16形内燃機が 父親を追い抜いて行きます。

ラストシーンでは 空撮によって、はやぶさ号が海沿い・鉄橋・牛ノ浜駅での 上下はやぶさ号のすれ違いシーンがあって 西鹿児島駅到着でエンドマークとなります。


PS.
国鉄のPR的作品でもあり 国鉄・国労・動労・鉄労・全動労の協力を受けて、通常撮影不可能な位置からの 見ごたえある映像が随所に見られます。
なにより協力の度合いが凄いのは 東京~西鹿児島を実車の 寝台特急はやぶさ号で 連続2往復して、その間4号車を貸し切り スタッフ・俳優の全30人が 不眠不休に近い状態で撮影したそうです。
途中駅ホームでの撮影も 大手作品の何倍も有り、国鉄挙げての協力の程が 見て取れます。
食堂車の場面は 営業終了後の午前1時過ぎから借りて 機材セットから始まり リハーサル・本番と進め、NG・予期しない揺れや音で 撮り直しも数々・・朝食準備が始まるまでに 片付け清掃しなければと 忙しかったことでしょう。
1970年代半ばから 九州内では 寝台特急 ヘッドマーク取付が省略されて、本作内でも 寂しい姿で映っています。本作製作の 2年後に復活しますが はやぶさ号は 1997年11月末から 熊本打切りとなり、最後は富士号との併結運行となって 2009年3月に廃止されました。
(参照:鉄道ジャーナル1982年7月号)
本作は 学校や公会堂での上映を前提に 教育的シナリオで製作され 一般映画館では 公開されなかったそうですが、1982年7月10日から 3週間に渡って 名古屋ミリオン座で 公開上映された記録があります。(併映作は → さよならは半分だけ)
次回は 400回記念号なので 皆様からリクエストの多い アレではなく、あの作品を取り上げます。本作で ベテランの味で演じている 常田富士夫氏が、意外な役で出演するも クレジットに 名前が登場していない作品です。
優秀な兄・姉の下で 成績がイマイチな 少学6年生 岩田たけし(上野郁巳)が、家出して 熱望する寝台特急はやぶさ号に乗って 西鹿児島を目指す 冒険ミステリータッチの前期青春映画です。
東京機関区を出区する 1000番代のEF65形電機は

品川客車区へ移動し、

寝台特急はやぶさ号の 24系25形編成を牽引して 始発駅東京へ向かいます。

何度もブルートレイン乗車を 願い出た岩田ですが 仕事に忙しい父親は 応じてくれず、遂に貯金で切符を買うと 東京駅9番線へ来ました。
16:17 はやぶさが入線し

16:30向かいの10番線から ブルトレ一番手 長崎・佐世保行の 1レ特急さくら号が出発して行くと、岩田は家に電話しようと 公衆電話を取りますが 迷った末に止めてしまいます。
そして 3レ特急はやぶさ号の 発車ベルが鳴りだすまで 乗るか迷っていた岩田は

4号棟に飛び乗り発車です。

指定された席に行くと 話好きの女性が向かいの席に到着し、後に 鳥栖へ一人で向かう 篠山あずさ(永浜三千子)も現れます。
18:14熱海を通過する頃

岩田の家では家出が発覚し 19:14静岡で機関士交代の頃、父岩田隆介(川津祐介)と 母美樹(水野久美)は(はやぶさ)に乗ったと確信して 東京駅へ向かいますが 20:12発の最終新大阪行 ひかり185号に乗り遅れ 大阪で追い付く作戦は失敗です。

車掌長(高城淳一)が 再度あずさの元へ検札に来た時、家出した「6歳の中村まさとし君(星野光司)愛称マー坊を捜している」と皆は聞きます。
20:30頃 岩田は食堂車で ハンバーグ定食を注文した時 ウエイトレス(青木菜々)と知り合いますが、食堂車内は 黒服3人組男も居て 何やら怪しい雰囲気も漂っています。

そして4号車内では コート姿の男がダイヤを 黒服男に盗まれ、更に男のミスで ダイヤをマー坊の 紙袋に落としてしまいます。その一部を目撃した岩田は あずさに話しますが信じません。しかし下段の女性が「大型トランクが怪しい」と話すので、男の寝台へ二人で行き トランクを開けると マー坊が死んだ様に寝ていました。
そこへ怒った顔の 3人組の男達が現れ「紙袋に入ったダイヤはどこだ!」と迫りますが、岩田が男の手に噛み付き逃走し 空いていたA寝台個室に 二人は逃げ込み隠れます。

しかし刑事風のコート姿の男(常田富士男)は マジシャンで 男達は弟子なのが分かり、騒がせたお詫びの マジックを披露してくれ マー坊も匿ってあげました。
その後 岩田とあずさは 閉店となった食堂車で ウエイトレスから、自作の{ブルートレインひとり旅}という歌を 聞かせてもらいます。

一方その頃 一人で追いかける父親は 東京21:00発の名古屋行ひかり541号で 23:16に名古屋に到着し、23:20発 9レあさかぜ1号に乗り継ぎました。

これに乗れば 翌朝6:28着の広島で、6:34発の始発こだま431号に乗り継ぎ 博多にて余裕で 追いつける目論見です。
そしてはやぶさ号は 下関に到着すると

牽引機関車が EF81形電機に付け替えられますが、

ここでマー坊は 鉄道公安官に保護されてしまいました。
関門トンネルを抜けた はやぶさ号は、

次の門司で更に ヘッドマーク無しの ED76形電機に交代して 九州路を走り出しました。


博多到着が近付いた頃 あずさに「御言付が届いてますので、乗務員室へお越しください」と放送があります。博多ではマジシャン一行と 下段の女性が下車して、車内は寂しくなりました。
あずさが(門司→3レ)業務連絡書を受け取ると、家を出た母親が 鳥栖駅に 出迎えに行くと書いてあり 一安心です。

DE10形内燃機に連結された 赤い50系客車が停まる 鳥栖駅に着くと、

あずさの母親(長内美那子)が出迎え 二人は涙の再会を果たします。でもはやぶさ号が出発して行くと あずさは列車を追い掛け、大きく手を振り 岩田に別れを告げるのでした。

岩田が席に戻ると、父親が座っていて 驚きます。当然叱られますが「あさかぜ1号から広島で 山陽新幹線こだま431号に乗り継ぐ筈が、寝過ごし徳山で こだま421号に乗り継ぎ 博多9:20着。急いで9:22発の はやぶさ号に、スレスレ乗り込んだ」と父親が話すと 二人の間が和みました。
そして父親は「熊本で降りて 熊本空港から大阪へ飛んで、午後2時からの 会議に間に合わせる」と言って、終着西鹿児島までの乗車を 許してくれました。熊本で切り離した後部編成を 移動する為、DD16形内燃機が 父親を追い抜いて行きます。

ラストシーンでは 空撮によって、はやぶさ号が海沿い・鉄橋・牛ノ浜駅での 上下はやぶさ号のすれ違いシーンがあって 西鹿児島駅到着でエンドマークとなります。


PS.
国鉄のPR的作品でもあり 国鉄・国労・動労・鉄労・全動労の協力を受けて、通常撮影不可能な位置からの 見ごたえある映像が随所に見られます。
なにより協力の度合いが凄いのは 東京~西鹿児島を実車の 寝台特急はやぶさ号で 連続2往復して、その間4号車を貸し切り スタッフ・俳優の全30人が 不眠不休に近い状態で撮影したそうです。
途中駅ホームでの撮影も 大手作品の何倍も有り、国鉄挙げての協力の程が 見て取れます。
食堂車の場面は 営業終了後の午前1時過ぎから借りて 機材セットから始まり リハーサル・本番と進め、NG・予期しない揺れや音で 撮り直しも数々・・朝食準備が始まるまでに 片付け清掃しなければと 忙しかったことでしょう。
1970年代半ばから 九州内では 寝台特急 ヘッドマーク取付が省略されて、本作内でも 寂しい姿で映っています。本作製作の 2年後に復活しますが はやぶさ号は 1997年11月末から 熊本打切りとなり、最後は富士号との併結運行となって 2009年3月に廃止されました。
(参照:鉄道ジャーナル1982年7月号)
本作は 学校や公会堂での上映を前提に 教育的シナリオで製作され 一般映画館では 公開されなかったそうですが、1982年7月10日から 3週間に渡って 名古屋ミリオン座で 公開上映された記録があります。(併映作は → さよならは半分だけ)
次回は 400回記念号なので 皆様からリクエストの多い アレではなく、あの作品を取り上げます。本作で ベテランの味で演じている 常田富士夫氏が、意外な役で出演するも クレジットに 名前が登場していない作品です。


