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日本映画の鉄道シーンを語る

日本映画における鉄道が登場する場面(特に昭和20~40年代の鉄道黄金期)を作品毎に解説するブログ

 92. 花と果実

1967年8月 日活 製作 公開   カラー作品    監督 森永健次郎

原作は石坂洋次郎  淡路島出身の女子大生 村上のぶ子(和泉雅子)と大学生 中畑五郎(杉良太郎)が織り成す、山あり谷ありの青春映画です。

先ずは京王帝都電鉄 調布駅ホームから上り 5000系通勤快速新宿行に乗る、のぶ子の姿を遠距離からズームアップで捉えるカットがあります。
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隣のホームには各停でしょうか、緑色の 2000系らしき車体が見えます。調布駅は昨年地下化され、現在では様子が一変しています。

続いて中畑がこの電車を追い掛ける様にバイクで走る様子を丹念に数カット入れていますが、
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代田橋近くの井ノ頭通りと並走する所らしきでのカットでは 2000系になっています。
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京王の 5000系は 1963年に登場した名車で、1964年のローレル賞を前年の 3000系に続けて同社が受賞しています。1968年製造車から通勤型電車としては日本初の冷房車となりました。

母親の見舞いに帰省した のぶ子が帰る時、父の村上兵三(有島一郎)が新大阪駅で見送るシーンが中盤にあります。
新大阪駅3番ホーム 16:30発 超特急ひかり36号 東京行の横で、のぶ子は父親の 女道楽を攻めたてチャッカリ小遣いをセシメ6号車に乗り込みます。
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当時 超特急ひかり号は 12両編成で、全車指定席 内1等車が2両 半車ビュッフェが2両付いていました。早朝と昼前後以外は毎正時と半に 30分間隔でひかり号が走り、間にこだま号が1本あるスッキリとしたダイヤでした。
中間停車駅も名古屋と京都のみで超特急にふさわしく、値段も新大阪~東京で運賃 1730円+超特急料金が 1600円で所要3時間10分でした。ちなみに こだま号を使うと特急料金は 1300円(自由席は 1200円)で、所要4時間でした。

中畑が既婚者である田川光子(小山明子)の誘惑のノッテしまった後のある日、のぶ子とデート中に京王線の車内で偶然男の子を連れたに光子に会ってしまいます。
のぶ子が男の子を可愛がると光子も「あなた将来きっといい奥さんになるわよ」などと褒め、傍らで聞いている中畑は光子の方を見るわけにもいかずうつむいたままです。
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走行シーンでは 5000系の様でしたが、車内は板張りの床なので かなり前の旧型車でのロケでしょう。

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花と果実

タイトルのとおり、トマト、葡萄、ヒマワリ、カンナ、蓮、百日紅など、「花と果物」がいっぱい、全編変わりなく みづみづしく美しいスクリーンに登場します。

特に、幕開きタイトルバックのスケッチ描写は映像の詩人・森永健次郎監督の面目躍如と言ったところでしょう。

日活作品にはお馴染みの協賛会社、ここでは「UCCコーヒー」「トンボ鉛筆」「フォンテーヌかつら」には少し恨みが残るが、石坂洋次郎ワールドを堪能できる一編だった。

ここには掲載されていないが、 神戸ロケ・シーンで神戸電鉄の旧「有馬温泉駅舎」が出てきます。
これは今となっては貴重なのではないでしょうか。

新大阪駅「3番ホーム」に立つ有島一郎の着物姿。
いくら昭和40年代とは言え、このようなペラペラの薄手の着物で新幹線ホームまで見送りに来るなんて。 

さて、ここからが本題。

テツエイダ様はこのブログではホームを指すのに「×番線」と統一されているようですが、放送で「×のりば」と呼ばれたり、駅の案内板にも「○○行きは×のりば」と書かれていることがあります。

ネットで調べてみると、関東の駅構内のアナウンスでは「×番線」、関西では「×のりば」と放送されているのが主流だと書いてありました。

この違いは何なのでしょうね。

一般的には、関西人でも日常の会話ではホームを指すのは「×番線」と呼ぶことが多いと思いますが。

赤松 幸吉 | URL | 2019-03-10(Sun)18:32 [編集]


Re: 花と果実

赤松様 コメントありがとうございます。

週一ペースで更新していた頃の作品は、堀が浅く見落としも多いですね。神戸電鉄の旧「有馬温泉駅舎」は完全に見落としていました。 

小生 関東なのか、昔から「×番線」か「x番ホーム」で馴染んでいます。違いは分かりませんが、私鉄では会社ごとに決めている様ですね。

テツエイダ | URL | 2019-03-10(Sun)23:16 [編集]