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日本映画の鉄道シーンを語る

日本映画における鉄道が登場する場面(特に昭和20~40年代の鉄道黄金期)を作品毎に解説するブログ

 88. 喜劇 怪談旅行

1972年6月 松竹 製作 公開   カラー作品    監督 瀬川昌治

大和田信平(フランキー堺)が鯨の町として有名な紀勢本線 太地駅長として赴任してからのドタバタコメディ映画で、旅行シリーズ 10本目として製作されました。

冒頭 南紀の海沿いを走るキハ58系急行列車が数カット映り、有名な撮影地である古座~紀伊田原の海岸沿を走るカットもあります。続いて車掌室のドアをノックする音で、近藤車掌(ケーシー高峰)が出てきます。
しかし誰もいないので戻ると再びノックの音がして出ると、向かいの洗面所のカーテンが開き大和田が現れました。そして「本日付けで太地駅長になります大和田信平です」と挨拶し、近藤に名刺を渡しました。

次に急行列車が高台から太地駅に進入して来ました。
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ホームでは坂口大介(森田健作)駅員と同僚が出迎え、大和田を捜している様子。映っているのはキハ58 219です。
築堤上に一面一線の単式ホームがカーブしている曲線途上にある駅で、停車する急行は下りきのくに号が13本中 定期は朝(6:46)のきのくに2号のみで上りも定期はきのくに11号(21:33)だけです。
映っているのは上り列車ですから時間帯からして、天王寺 7:28発臨時急行列車 きのくに1号(12:01) 新宮行であろうと思われます。他に下り臨時急行きのくに12号が停車で、殆どの優等列車は通過して行きます。

そして堅物の大和田駅長がホームでキハ82系 特急くろしお号の通過確認するシーンがあります。新宮方から下り特急くろしおが現れ、
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50km位の速度で通過した時「後部ヨシ!」と指差呼称しました。
特急くろしお号は 1965年3月より名古屋~天王寺でブルドック顔のキハ80系DCで運転開始し、撮影時はキハ82系で新宮~天王寺を5往復(1本は名古屋~新宮)で全車指定・食堂車付と威厳がありました。

それから下り和歌山方面行の急行列車が通過するシーンがあります。きのくに号の他にしらはま1号・紀州1号もありますから特定はできません。
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更にDF50 37(亀山区)が牽く貨物列車の通過シーンや
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DF50 5が牽く貨物列車の低速走行シーンもあります。
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DF50 ディーゼル機関車は国鉄初の量産型DLで、紀勢本線無煙化の為 SG搭載なので旅客・貨物両用に活躍 この当時は寝台特急紀伊(東京~紀伊勝浦)も牽引していました。
1978年に紀勢本線(和歌山~新宮)が電化されましたが、この映画のロケ地となった太地駅は利用客の減少から 1985年無人化され 現在では下り列車で普通列車 10本・特急くろしお 5本が停車と優等列車はかえって増えています。

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コメント


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喜劇 怪談旅行

この旅行シリーズは瀬川昌治監督の職人芸が十二分に発揮された作品群です。どれも国鉄とタイアップし、主演のフランキー堺がどこか地方駅の駅長を演じているので、駅・鉄道・列車がふんだんに画面に登場しています。鉄道ファンには垂涎の的でしょう。

「怪談旅行」の写真の三枚目の駅員後ろ姿は、一目でフランキーと分かりました。広い肩幅、それに立ち居時の上半身の反り方で映画ファンならすぐに分かります。ただし、列車の名前は私にはまったく分かりません。

「大安旅行」「よさこい旅行」など傑作がたくさんありますので、是非11作すべて少しずつでもアップしてください。

この紀勢本線の紀伊半島はカーブが多く、車両が「振り子式」となって速度を落とさないようにしている。そのため気分が悪くなる乗客が続出と聞きましたが、これは本当でしょうか。

赤松幸吉 | URL | 2013-09-10(Tue)19:07 [編集]


Re: 喜劇 怪談旅行

>赤松様 コメントありがとうございます。旅行シリーズは小生も大好きなシリーズで、いずれは全て取り上げたいと思っております。
 1978年10月和歌山~新宮が電化され、カーブを高速で走行できる自然振り子式台車を付けた(381系特急電車くろしお)が登場しました。カーブの途中から振り子式台車特有の揺れが急に最大限起きる機構で、更に乗客には縦方向の荷重も加わり乗り物酔いを訴える人が多かったそうです。
 その後より乗り心地の良い制御式自然振り子機構台車の283系特急が加わり、更に振り子機構を付けない287系特急も走りだしました。287系は当然乗り心地は良いが、所要時間が3~6分多くなりました。

テツエイダ | URL | 2013-09-11(Wed)21:29 [編集]