
石原慎太郎の原作。昔 起こしてしまった事件の背後に潜む黒幕に挑む男を石原裕次郎主演で描く、サスペンスアクション映画です。
鉄道シーンとしては、島原(宍戸錠)が東京から宇高(架空駅)へ悪漢をユスリに向かう場面にあります。
まず昼間に東海道本線 根府川橋梁を渡るEF58電機 牽引の列車が映ります。

夜間の車内シーンで島原は「宇高には何時に着くか」と車掌に聞きます。
「明朝 10:35 の到着です」と答え前方へ進む車掌に、電報を依頼する男もいます。島原の動きを伝える見張り役の男の様です。
続いてコンクリート造りの立派な宇高駅舎が映り

ホームで待ち構える勝又組の一味は島原の顔写真の確認なんぞを駅名板の下でしてます。
架空駅のロケにしては駅構内を含め大掛かりな仕立てです。{HP.想い出の和田浩治}の管理人 まゆみ様の御協力によりますと、この駅は門司だそうです。
次にC59蒸機 牽引の列車が宇高駅へ入線してきます。山陽本線からの列車ですとEF10電機牽引なのですが。

到着した列車の3等車から島原が降りてきますが、男達に危険だからと再び乗車させられました。
「下り徳山・カワベ方面は乗換」との構内放送は、山陽本線岩国辺りの駅に到着の急行から普通列車への乗り換えを示唆しているのでしょうか。
宇高が門司とすると、東京 13:30発で門司 9:35到着の急行雲仙を想定いたのでは?と思われます。

男達は警察の者で、勝又組が狙っているので次の駅まで保護すると島原を騙し安心させます。続いて架線下をC59牽引列車が高速で走り抜けます。

その後男達は勝又組の本性を表し、島原を走行中の列車のデッキからすれ違うC62蒸機牽引列車に突き落してしまいます。

関門トンネル開通時の1942年7月に幡生~門司が電化されているので、宇高駅(門司駅)構内はともかく架線下をC59が走行するシーンは何処?
幡生~下関での撮影でしょうか。続いてのデッキからすれ違う蒸機列車を映す場面は、C62牽引なので幡生以東の山陽本線と思われます。
山陽本線は映画公開の翌月 1958年4月にようやく西明石~姫路が電化。鹿児島本線の初電化も 1961年ですから、関門地区の電化区間はこの頃希少でした。
それから寺田(小林旭)が由利(白木マリ)を乗せてバイクを走らせるシーンでは、西鉄北九州本線と北方線が直角に接する魚町電停が映ります。

バイクは北方線旦過橋方面から行き止まり終点の魚町電停を通り、右折して北九州本線沿いに小倉駅方向へと走り抜けます。

北方線の車両は 321形でしょうか。北九州本線側は 500形の様です。この両線は軌間が違う為、接しながらも繋がっていないのです。
後半 橘(石原裕次郎)が なかなか証拠を掴ませなかった悪党の親玉 勝又(杉浦直樹)を捕まえ、留置された宇高警察署前の場面で
西鉄 1000形連接車である 1007 と 600形がすれ違うシーンがあります。

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