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日本映画の鉄道シーンを語る

日本映画における鉄道が登場する場面(特に昭和20~40年代の鉄道黄金期)を作品毎に解説するブログ

78. 自由学校

1951年5月  大映 製作 公開  監督 吉村公三郎

獅子文六の原作を松竹と競作し、主役を一般公募で決め5月5日に同時公開した変り種映画です。

些細な事から会社を辞め、妻になじられた南村五百助( 小野文春 )は家を飛び出し最寄りの武蔵間駅(架空駅)の改札を入ります。
この駅はオーク様のブログ「板橋ハ晴天ナリ」によりますと、東武東上線下赤塚駅だそうです。改札の位置といい構内は隔世の感があります。

妻の駒子( 木暮実千代 )が後を追い、駅へ駆け付けますが
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南村の乗った6300系電車(最後部はクハ300形かな)は走り去って行きます。
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この電車は国鉄63系電車と同じタイプで戦災復旧用に量産された車両です。踏切警手が白旗を振る中、加速してゆきます。

次に東海道本線 大磯駅へ80系湘南電車が進入、停車する場面があります。ホーム駅名板の表記は(おほいそ)となっています。
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80系湘南電車は この映画公開の前年1950年3月より運用が開始された、この当時最新型の電車でした。

そして南村がルンペン集落に開放感と自由を感じる場面で、この当時のお茶の水界隈が映っています。
まず南村がお茶の水橋の上を案内されながら渡る時、1932年建築の国鉄お茶の水駅舎や1927年完成の優美な聖橋が映っています。

ルンペン集落はお茶の水橋の下に在り、神田川の畔に立った南村は聖橋方向を眺めながら「あ~良い所だ」などと呟きます。
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お茶の水駅のホームから続く跨線橋 聖橋 その先に中央本線を跨ぐ総武本線の神田川橋梁と松住町架道橋が見え、現在とあまり変わりません。
しかし神田川から左側は1956年延伸開業の地下鉄丸ノ内線(御茶ノ水~淡路町)の橋も未だ工事が始まっていない様で、川岸も樹木が自然な感じです。

映画の後半 南村が多摩川の川辺でユリ( 京マチ子 )と隆文( 大泉滉 )を諭す場面があります。現在の大田区鵜の木3丁目辺りでしょうか。
多摩川の上流側には品鶴貨物線の多摩川橋梁があり、やがて鶴見側からD51型蒸機が40両の貨物を牽引して渡って行きます。
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品鶴貨物線は戦前に電化されていますが、山手貨物線が未電化(1954年電化)なのでD51 が牽引していたのでしょう。
品鶴線の先には初代丸子橋が映っていて、現在ではこの間に東海道新幹線多摩川橋梁があります。今では横須賀線等の旅客線の印象が強い品鶴線です。
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