日本映画の鉄道シーンを語る

日本映画における鉄道が登場する場面(特に昭和20~40年代の鉄道黄金期)を作品毎に解説するブログ

76. 結婚の夜

 1959年3月 東宝 製作 公開     監督 筧正典

デパート店員の水島敦夫(小泉博)が深く付き合う相川蓮子(安西郷子)を裏切り、復讐に遭うホラー・ミステリー映画です。

女ぐせが悪い水島は蓮子と付き合いながら、見合いして気に入った戸川恵美子(環三千世)と結婚式を挙げる。ところが結婚式の巫女が蓮子だったので、水島は震え上がってしまう。
そして東京駅から新婚旅行に出掛ける時、鉄道シーンがあります。二人が乗っているのは並ロ2等車 固定式クロスシートでシートピッチと窓は広めですので、オロ36か40あたりかと思われます。
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二人の背後に丸の内側駅舎の三角屋根の一部や、72系国電が映っているので、9番線ホーム辺りに停車中の列車かな。そして映っている国電は6番線の京浜線( 現.京浜東北線 )南行と思われます。
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結婚式に現れた蓮子がここへもやって来るかと気が気でならない水島は、周囲をキョロキョロ見て「 なかなか出ないですね、この汽車 」などと怯えた様子で見送りを受けています。

続いてのシーンでは夕刻、EF58電機に牽引された旧型客車列車が走り抜けた後 並ロの車内に対面して座る二人。幸せそうな恵美子に比べ、落ち着かない様子の水島。
暫くして、並んで座る二人の姿。水島がふと前方に目をやると、二等車と書かれたドアを開けデッキから長い黒髪の女が入って来ます。顔を見ると相川蓮子ではありませんか。
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ゆっくりと水島達の席に近付く蓮子。そして向かいの席に座って水島を睨みつけます。恵美子は他に空席があるのに変な女だなと、チラっと見ると窓の方に顔を向けてしまいます。
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更に水島を凝視する蓮子にまいった水島は、合図してトイレに行く振りをしてデッキに蓮子を誘い出します。そして言い争いから もみ合う内、ラッチの壊れたドアから蓮子は転落してしまいます。

哀れにも上り線路の内側に横たわる蓮子の姿を、水島の乗る列車の窓明かりが照らしています。半分事故 半分故意のような蓮子の転落に、水島の顔は 後悔が半分 安堵半分といった感じです。
座席に戻ってからも取り憑かれた様子で、窓越しに蓮子の顔が見えたりして憔悴しきった感じです。ホテルへ着いてもラジオニュースで、「湯河原~熱海で男物のボタンを握った女性の転落遺体を発見」との一報。
窓から列車の走行音が聞こえ、フロントへ連絡すると「ここは線路から遠く離れていてありえない」と。遂には風呂上りで、髪を梳かした恵美子の顔が蓮子に見え不幸にも・・・


さて二人が東京駅から乗ったのは9番線からの発車と並ロ付旧型客車列車であることから、14:30 発 毎週土曜日のみ運転(上りは日曜日)の 905ㇾ準急いこい号 伊東・修善寺行を想定していると思われます。
若干時間帯が違いますがこの頃は九州方面行の長距離列車や夜行列車以外電車化が進み、普通列車でも夕刻熱海へ到着するのは 14番線から15:30 発車 熱海18:02 着の岡崎行 337ㇾのみです。
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