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日本映画の鉄道シーンを語る

日本映画における鉄道が登場する場面(特に昭和20~40年代の鉄道黄金期)を作品毎に解説するブログ

 67. 早射ち無頼 大平原の男

 1961年12月 日活 製作 公開   カラー作品    監督 野口博志

宍戸錠主演の和製西部劇風アクション映画第4弾で、赤沢鉱山鉄道開通までを描くスケールの大きな映画です。

いきなりオープニングクレジットの最後に、きたおおの駅(架空駅:越美北線の北大野駅ではない)2番ホームに到着するD51631 蒸機が牽引する列車が映ります。左手の中線にはキハ17形DCらしきが停まっています。
そして客車から川崎錠次( 宍戸錠 )が降り、ホームの洗面台で顔を洗っている姿を柱の陰から青木信二( 青山恭二 )が付け狙っています。ロケ地は横川駅かな?

次に私鉄に乗り換えた様子で、古典的蒸機が小型客車2両+貨車1両を牽いて古びた駅に到着します。67-1.jpg
他の乗客に交じって川崎が降りてくる時、「白坂~」と駅名が聞こえています。
その次のカットでは、大き目の木造駅舎から砂利敷きの駅前広場へ人々が出て来ます。古典的蒸機と駅舎の様子から、東野鉄道の1号蒸機が大田原駅へ到着したところを映したものと思われます。

{ 11. 路傍の石 }で既述の様にこの機関車は 1896年米ボールドウィン社製の1号蒸気機関車で、ロケが行われた頃は既にその年購入したDLの予備機として在籍していました。
ですから撮影依頼によって火を入れ、同じく既に使われていなかった古典木造客車を牽いて走らせたものと思われます。カラーで1号機関車の雄姿を今に残す貴重なシーンでしょう。

映画の終盤 苦労の末 赤沢鉱山鉄道(架空)が完成し、祝賀列車がC12 型蒸機+無蓋車3両+客車の編成で出発します。C12には紅白のモールが取り付けられ、無蓋車にも開通の横断幕が付けられヘルメットを被った作業員が乗ってます。
祝賀列車が進む沿線には、開通を待ち望んだ住民が笑顔で出迎えています。67-2.jpg
その様子を川崎と松本紀子( 松原智恵子 )も馬の上から笑顔で見守っています。

そして祝賀列車は祝賀会場が準備され、関係者が待つ赤沢鉱山に到着します。67-3.jpg

花火が上がり華やいだムードの中 無蓋車から男たちが飛び降り、待ち受けた男たちと抱き合い喜びあいます。
祝賀会場に先回りした川崎と紀子も見る中 殉職者の遺影を抱えた3組の家族が降り立ち、列車の機関士・機関助手に花束が渡されます。

この様子を見ていた紀子が横を見ると、つい今しがた迄横にいた川崎がいません。見回しても主のいない馬が残るだけです。仕事が終わると消えるのは渡り鳥シリーズと同じなんですね。
さてこの赤沢鉱山鉄道開通式のロケが行われた場所は?  C12 が使われている点から足尾線の足尾本山(貨物駅)ではないでしょうか?


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