日本映画の鉄道シーンを語る

日本映画における鉄道が登場する場面(特に昭和20~40年代の鉄道黄金期)を作品毎に解説するブログ

 66. あにいもうと

 1953年8月 大映 製作 公開      監督 成瀬巳喜男

戦前の室生犀星原作々品の再映画化で、戦後の開放的な空気を背景として家族愛をテーマにして成瀬巳喜男 監督の描く映画です。

鉄道シーンは一つしかありませんが、印象的なので取り上げます。多摩川近くに住む 赤座さん( 久我美子 )は豆腐屋で働く鯛一( 堀雄二 )と恋仲で、鯛一は結婚も考えています。
ある日勤務先から鯛一は他の女との縁組を迫られ、さんと駆け落ちを計ります。しかし さんは姉の助けで看護学校へ通う身であり、悩みます。

鯛一は下駄履き姿で さんとバスに乗り、小田急電鉄 菅間駅(架空駅)に到着します。戦前に製造されたと思われる小型のボンネット型バスですが、小田急バスカラーに塗装されています。
駅舎は小田急電鉄の標準的な形ですが、喜多見や西生田(現 読売ランド前)ではなく駅舎右の売店と背後の大型架線柱・線路に直角方向の入口である点から鶴川駅で撮影されたと思われます。66-1.jpg

何れにしても、砂利敷きの駅前といい現在の鶴川駅とは隔世の感があります。

バスから降りた二人が駅へ歩き出すと、同じバスから降りてきた学生に さんは挨拶されます。すかさず鯛一が「知ってる人?」に頷くさん。「誰かに見られるといけないから」と鯛一に隠れるよう指示します。
さんは一人で切符を買いに行き、運送屋のトラックの陰で待つ鯛一のもとに行きます。66-2.jpg
そして二人が勇気を持っていれば駆け落ちまでしなくとも大丈夫とたしなめ、説得し一人で学校へ行くことにします。

そしてデハ1400形の1418を先頭とした新宿行3連が到着します。鯛一が追いすがるのを振り切り、さんは改札を抜け砂利敷きのホームへ駆け上がり最後部のクハ1450形1458へ乗り込みます。
鯛一が改札口で呆然と見送る中、新宿行上り電車はタイフォンを鳴らして出発して行きました。66-3.jpg


デハ1400形は1929年 江ノ島線開通時にクハ501形として製造され、改番されデハ1400形となりました。クハ1450形も同時期クハ551形として川崎車両で製造され、後にクハ1450形となりました。
戦前戦後の長い間 小田急線で活躍し、1968年までに廃車や新潟交通などに譲渡され小田急電鉄線路上から消えてゆきました。


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