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日本映画の鉄道シーンを語る

日本映画における鉄道が登場する場面(特に昭和20~40年代の鉄道黄金期)を作品毎に解説するブログ

59. 侠花列伝 襲名賭博

 1969年9月 日活 配給 公開    カラー作品     監督 小沢啓一

 昭和初期 上州鹿沢温泉が舞台  芸者 杉崎志満( 松原智恵子 )と流れ者博徒 柿沢高次( 藤達也 )の任侠系恋愛映画です。

 向田組々長 向田周吉( 江原真二郎 )という許婚がいながら追われる身を助けたことから恋仲になった志満と柿沢。駆け落ちの為地元 鹿澤驛(架空駅)へやって来ます。
 遠く汽笛が聞こえた時 前方の線路上を追っ手の一団がやって来るのが見えます。明年3月15日明け方 浅草観音での再会を約し、志満を守る為柿沢は迫る追っ手へ向かって走り出します。

 オロオロする志満の横にC56 蒸機牽引の混合列車が到着。59-2.jpg
柿沢を慕う小宮山マキ( 梶芽衣子 )も駅に来ると異変を察知、線路に降り柿沢に向かって走り出しました。
 やがて汽笛が鳴り、志満は意を決したかの様に最前部のデッキに乗り込みます。込の文字(中込機関区所属)が入った汽車はゆっくりと発進 客車1両に貨物2両を連ねた混合列車です。

 線路沿いの草原で追っ手の一団と切り遭いになる中、近付く汽車。遠く八ヶ岳連峰の姿をバックに心配顔の志満を乗せ汽車はゆっくりと通り過ぎて行きます。この1対7の戦いを乗り切る柿沢でありました。59-3.jpg


 その後いろいろあり 向田が襲われ瀕死の枕辺に志満は駆け付け、祝言を挙げた。そして向田亡きあと向田組三代目を襲名 柿沢やマキの助けもあって、湯元の権利を守れたのです。
 ラスト近く C56 が牽く混合列車が境川橋梁を渡るシーンの後、59-4.jpg
C56 150 機関車を先頭に鹿澤驛に到着。遺骨を首に提げた志満が後部客車から降り立つ姿があります。

 ホームには撮影用に{ 鹿澤温泉郷北壱里 }と縦書きされた木の柱が立っています。撮影は小海線 野辺山近郊の駅を鹿澤驛として行われたと思われます。59-5.jpg

 撮影の頃に混合列車は既に定期では運行しておらず、撮影用に2パターンの混合列車が運行されたと思われます。高原のポニーとして名を馳せたC56 蒸機も1972年秋この地から消えて行きました。
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