
新東宝ラインシリーズ第3弾 ニヒルな殺し屋 衆木一広(天地茂)を巡る追跡アクション映画です。
殺しの依頼主に裏切られた衆木は追跡をかわす為東京駅で踊り子の小月ルミを脅かし、同行を強要しアベックを装い神戸へ復讐に向かおうとする。
異変を察知したルミの恋人 真山俊夫(吉田輝雄)の追跡もかわし、発車寸前の神戸行夜行列車に飛び乗ります。
アフレコでしょうが、22時発の神戸行と放送していました。当時の時刻表によると、神戸行夜行は 21:00発の急行銀河だけで、22:00発は急行彗星 大阪行です。
混雑するホームで真山が必死でルミの姿を捜しますが、発車のベルが鳴るまでホームへ衆木は上がらなかったので見つからなかったのです。
しかしルミは動き出した列車のデッキから右足の赤いハイヒールをホームへ放り飛ばした。この列車 15番線から発車の急行らしいが、どう見ても昼行列車だ。
続いて車内へ入ると、並ロのセットの様で夜行列車のシーンとなる。ルミは右足が裸足のまま席に座り、衆木に自分の茶のボストンバックを網棚へ上げてもらう。
そして神戸駅到着のシーン。EF58に牽引された列車が「こうべ」とホームの柱に名板が付いた7番線に入って来ます。しかし何か雰囲気が違う!

列車の右手を見ると見覚えのある三角屋根の一部が見え、その左には中央郵便局の建物が・・・隣のホームは一段低く・・・そう東京駅なんです。
降りようとする衆木に「 あたしを裸足で歩かせるつもり 」と足を見せる。でも右足ではなく左足が裸足になっています。衆木が降ろすバックも茶から赤いチェック柄に変わっています。
7番線で降りる人達の様子が映り、駅の通路を赤帽と衆木の二人でルミを左右から支え歩くシーンがあります。この時は右足に包帯の様なものを巻いています。バックは赤チェックです。
しかし3秒余りのこの通路を歩くシーン、背後の壁に{ 12,13番線 小田原 熱海 沼津 伊東 鎌倉 逗子 方面 }と大書した看板がわざわざ映っています。

ここまでくると単なるロケ費用の節約ではなく偶然でもない、監督の遊び心からの間違い捜し的な観客へのメッセージかなとも思います。
極め付けは次の靴屋のシーンです。タクシーから降りた二人は衆木がルミを支え靴屋へ向かいます。このシーンでは右足に包帯が巻かれていますが、バックは茶のボストンに戻っています。
この時背後には1系統の札を付けた都電 6000形 6227 がゆっくり走り抜けて行きます。

意図して都電が映り込む様に撮影したともとれるカットであります。
ちなみに都電 6000形が神戸市電に譲渡された記録はありません。何より赤帽さん達、靴屋のおじさん、店員の女性の何れもが関西弁を使わないのも?です。特に赤帽さんが仲間内で話すのに標準語とは・・・
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