日本映画の鉄道シーンを語る

日本映画における鉄道が登場する場面(特に昭和20~40年代の鉄道黄金期)を作品毎に解説するブログ

 46. 愛と死のかたみ

 1962年11月  日活 配給 公開      監督 斎藤武市

 福井の損保会社で働くクリスチャンの田辺阿佐子(浅丘ルリ子)と獄中の死刑囚 野崎潔(長門裕之)の悲恋映画であります。

 鉄道シーンの始まりは阿佐子の母 田辺千世(高田由美)が東京から福井の阿佐子を訪ねて来るシーンにあります。9:06 福井駅2番ホームで阿佐子が待ってると、ED 70 8 牽引の普通列車が到着します。46-1.jpg

 泊行きと放送しているので米原発 223ㇾ泊行と思いきや、サボは直江津行となっているので千世が乗って来たのは福井 9:47 着 敦賀発 225ㇾ直江津行と思われます。46-2.jpg


 ED 70 8 は北陸本線 田村~敦賀の交流電化に合わせて 1957年8月製造された国鉄初の幹線用交流電気機関車で、全機敦賀第二機関区所属し 1975年迄北陸本線で活躍しました。
 この映画が撮影された直前 1962年6月北陸トンネルが開通、敦賀~福井が電化され(今庄~福井は3ヶ月早く電化)北陸本線の近代化が福井迄やって来たばかりの時期でした。

 阿佐子は獄中の野崎と二年間に渡る文通でお互いを励まし合い、五日間の休暇を取り九州の博多刑務所にいる野崎に面会しに行くことを決めます。
 海岸線近くを走り抜ける C 59 蒸機らしきが牽引する列車が映ります。46-3.jpg
山陽本線を走る急行列車でしょうか。福井~博多は長距離ですが当時 山陽本線の横川~小郡位しか未電化区間は残っていません。
 
 そして阿佐子は博多駅頭に立ちます。バックには 1909年(明治42年)建築の重厚な博多駅舎が映っています。この映画公開の一年後の 1963年12月には駅そのものが現在地へ移転し今に至っています。46-4.jpg

 その後明治生まれの旧博多駅舎は惜しまれつつも解体されました。この僅かなシーンが貴重な映像として残されたのです。
 この旧博多駅構内の様子が映った映画としては、1958年松竹から公開された「張込み 野村芳太郎 監督」や 1960年東映から公開の「大いなる驀進 関川秀雄 監督」などがあります。

 無事 野崎に面会することができた阿佐子の帰路、トンネルから飛び出して来る C 62 31 が牽引する列車が映っています。この機関車は当時 下関機関区に所属、山陽本線 広島~下関で最後の本線走行を行っていました。46-5.jpg

 
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