
非情なヤクザ社会に身を置く西脇順三(石原裕次郎)を巡る任侠系青春映画です。
鉄道場面としては、西脇が神戸一の貝塚組幹部として羽振りをきかせていた頃の回想シーンに4箇所程あります。
港近くで西脇が子分二人を連れて踏切に差し掛かると、汽笛が鳴り 8620形牽引と思われる貨物列車がゆっくりと鐘を鳴らしながら通過して行きます。
遮断棒は申し訳程度の長さしかなく道路の中央部分は大きく開いていますので、人通りの少ない臨港地区によくある引き込み線の様です。
煙突の前に鐘が有り、低速で走っていることから 神戸臨港線の貨物列車ではないかと思われます。劇中では汽笛が鳴っていますが、日活映画特有の音なので実際には鳴らしてはいなくアフレコと思われます。
これは沿線にホテル等が多く なるべく汽笛を使わず、劇中の様に低速で鐘を鳴らしながら運行していたそうです。神戸臨港線は山陽本線東灘操車場から分岐し、湊川迄の間に多くの枝線が有りました。
この映画撮影の翌年2月末をもって 8620形等蒸気機関車はDL化されていますので、僅かなシーンではありますが貴重なシーンと言えましょう。その後途中迄電化されましたが、2003年11月末をもって廃線となりました。
次に三宮駅前の片隅で西脇ら三人をやり過ごすチンピラ二人のバックには阪神三宮駅と国鉄三ノ宮駅の間を走る神戸市電が映っています。
阪神三宮地下駅の入るそごうデパートビルは 1981年春迄この重厚な外観でした。

本編では現在のフラワーロードにあたる道路に神戸市電が走っていて、撮影位置はT字型交差点の突き当り部分ですが現在の様に通り抜けできる十字型交差点に改造工事中の様子が映っています。
続いては西脇の恋人となる榊田みち子(浅丘ルリ子)が神戸駅から帰郷する場面があります。大阪発 佐世保行の急行平戸号の通路側席に座ります。茶色塗装のナハ10らしき9号車です。

放送で 22:19 神戸発車 岡山 0:45 ・・・下関 7:55 ・・・終着 佐世保 12:32 到着と続きます。こんな時刻でもホームには駅弁の立売がいて、車内から買いに降りてくる人もいます。横には赤帽さんも二人います。

西脇がみち子との新しい生活の為 組を抜け駆け落ちを計った時、初代後期型セドリックのタクシーで神戸駅へ向かうシーンがあります。踏切警手のいる第一種手動踏切を渡り、須磨の辺りか 72系らしきと並走するシーンがあります。
そして高速も無くスッキリとした港方面からの道を上り、神戸駅ロータリーに乗り付け改札へ急ぐ二人でありました。
PS. 米手作市様のコメントにより、神戸から乗った客車をナハ10に訂正致しました。お陰様で 9番線に停車の点からも、国鉄の協力によって別な駅で深夜に車輛を借りてロケを行ったのでは?との思いに至りました。
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