
銀座のクラブ 麗の渉外部長 高見啓一(梅宮辰夫)と ホステスの 三宅かおり(野川由美子)が、数々のトラブルに会いながらも 夜の銀座で生きる 二人の愛欲の機微を 描いた映画です。
かおりは 独り者という触れ込みで 働きだすと たちまち人気者と なりますが、インターン研修医 牧野吾一(蜷川幸雄)と同棲中でした。
土手の上らしきで 話し合う二人の 背後には、上り勾配区間 を走る 帝都 高速度交通営団 地下鉄 丸ノ内線らしきの 電車が映っています。

その後 かおりに惚れている 客の岡林(金子信雄)は 金で二号にしようとしますが、騙されたと知った かおりは逃げ出し 行方不明となります。
かおりの弟で 流しから高見によって クラブ麗で歌い出した 三宅信一(森進一)の処へ 届いた手紙から、高見は潜伏先の仙台へ行って

かおりを捜し出し 東京へ連れ戻そうと列車に乗ります。
ED75形電機らしきに 牽かれた列車が映り、

いかにも セット撮影の客車内で かおりと高見は 並んで座っています。

その後 少し寝た高見が起きると、隣のかおりは 荷物と共に 消えていました。

高見が必死に 車内を捜すと、閉鎖されている食堂車手前の デッキでかおりを発見します。

しかし かおりが突然 扉を開けて 飛び降り自殺しようとするのを 阻止した高見は、頬を叩いた上に 接吻し抱きしめるのでした。
二人は 1:54に到着した 次の停車駅 平で降り、

「平~ 到着の列車は 2:03発上野行 急行十和田号でございます」と 放送が流れる中

無人のホームを 改札口へと歩きます。

駅前旅館で 互いの愛情を確認した高見は クラブと縁を切る為、翌日 急行列車の 6号車デッキで かおりの見送りを受けながら

「今日中に戻る」と言い残して 東京へ向かいました。


高見が辞表を出すと 予想通り 社長の取り巻きから リンチに会い、更に麗の女給 朝子(白木マリ)から 高見の計略を聞いた牧野に 背中を刺されてしまいました。
担ぎ込まれた病院で 治療を受けている頃、平駅の改札口では かおりが 高見の帰りを待っていますが 現れません。


高見が 警察の聴取を受けている頃 部屋から 平駅舎を見ていて

諦めた かおりは 常磐屋旅館を引き払い、番頭(相馬剛三)に 見送られて 一人寂しく 平駅2番線から ED75形電機牽引列車に乗るのでした。


PS.
最初の画像は 帝都高速度交通営団地下鉄 丸ノ内線の 赤坂見附駅から 四ッ谷駅へ向かって、トンネルから出て 上り勾配を走る姿と 思われます。
4枚目の画像からの 車内シーンは 明らかにセット撮影ですが、美術さんは あえて1等と2等席の 中間的な感じの座席に したのでしょうか。1950年代後半の 新東宝映画 車内セットの様です。
8枚目の画像で映る列車は アフレコと思われる「2:03発上野行急行十和田号」と放送音が入っていますが 急行札が無いので、7:58青森始発で 翌日 0:34平着 0:51発の 上野行228レで ロケが行われたと想像します。
また平駅での 発着時刻は合っていますが 210レは第一十和田号なので、その後に 第二~第四まで十和田号は 続いて来ることから 放送に 第一を付け忘れることは 無いと思われます。
10枚目からの画像で映る デッキでの別れのシーンは、自動扉ではない 旧型客車ならではの 哀愁が漂っていますね。
最後の場面で映るのは 高見を諦めた かおりが再び 仙台へ向かうべく 平駅2番線で、ED75形電機牽引列車への 乗車を待つ場面で 磐越東線のDC列車も 片隅に映っています。
本作では 当時から 人気歌手となった 森進一と 後年 世界的に有名な 演出家になった 蜷川幸雄が、役者としての台詞も多く それなりの俳優として出演しています。
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