
九州での 法事出席に向かうサザエ(江利チエミ)カツオ(白田肇)の道中や、婚約者フグ田(小泉博)との 九州北部旅行の 珍道中を描いた コメディ映画です。
序盤 父親の名代で 若松の伯父さん宅での 法事に出席すべく 明日昼過ぎの若松到着予定で、東京駅からEF58型電機牽引の 急行列車らしきに乗って出発し 有楽町駅付近を走行する列車が映っています。

長い道中の列車が深夜に 上郡駅に着くと、

乗って来た老人(沢村いき雄)が サザエ達が座るボックス席の前で止まります。
そして 荷物が置いてある サザエの向かい席を見て「ここ空いてますか」と言うので「空いてます」と サザエが答えると、カツオの向かいに座る男(由利徹)は「塞がっている」と答えてサザエは呆れます。

サザエが言い返すと 男は漸く席を空け、足を伸ばしました。カツオがトイレに行くのに 男の下駄を履いて行き びしょ濡れにして戻ると、男が怒りますが 平然と「だって汽車が揺れるんだもの」と答える カツオでした。

翌日昼過ぎに 筑豊本線の終点 若松駅に到着しますが

駅前からの市営バスに サザエが乗り間違えて

カツオと揉め、列で待つ 大阪の叔母さん 西野ちえ(浪花千栄子)に 衝突して 印象を悪くしてしまいます。
続いて 伯父さんの家に向かう 若松市営バスからの映像らしく、商店街のある 中川通りの 若松市営電気軌道上を進んでいます。

その後も サザエは法事後の席で 酒に酔って踊り出し、伯父さんから「大阪の叔母さんの旅館で 行儀作法を教えてもらいなさい」と 怒られてしまいます。
そこへ休暇をもらった フグ田が現れ、サザエとカツオを 九州北部旅行に 連れて行ってくれるのでした。先ず長崎へ向かう場面で 海沿い区間を走る、晩年の門デフ付き C51形蒸機牽引列車でしょうか。

長崎市内観光後に 雲仙・島原へ行き、佐世保駅から 西海橋行のバスに乗ります。

更に 唐津へ寄ってから 旅の最後に博多へ着いた場面で、西鉄福岡市内線の 路面電車が映っています。

フグ田から 帰りの切符を貰った サザエですが 夜行列車内で フグ田から「今度大阪へ転勤になる」と聞いた話を 思い出し、大阪で途中下車して 叔母さんの旅館で 行儀見習いとして 暫く滞在すると カツオに伝えました。

SP.
当時 東京から若松へ行くのは、大変な旅でした。最初の画像は 日中に出発する 九州行の急行列車と思われます。
ところが 山陽本線 上郡が 0:54発車との脚本ですが、そもそも上郡には 急行列車は停車しません。昼過ぎに 若松駅到着との脚本なら、該当するのは 東京13:30発39レ長崎行の 急行雲仙号が近いでしょう。
39レは 午前1:00頃上郡を通過し、10:12に 鹿児島本線折尾駅に 到着します。階段を降りて 筑豊本線に乗り換えで、折尾発 11:09 → 11:30 若松と 昼前に着いてしまいます。この後 直通は 20:30発の 41レ筑紫号となり、若松着が夜になります。
東京18:30発 7レ特別急行あさかぜ号を使えば、10:43門司着で 11:18発佐世保行 327レに乗り換え 折尾12:05着 12:40発722レに乗り換え 12:59に若松着と 脚本に合致しますが 実態に合いません。
7枚目の画像に映る 若松市営電気軌道の線路は、1936年 埋め立て地に進出した工業地帯で使う 原料や製品輸送の為に 若松駅から敷設された 電化された貨物専用線で 1975年まで使われました。
8枚目の画像は不鮮明ですが 給水温め器の後ろに 二つコブがあるので、門デフ仕様で 1960年頃まで走っていた C51形蒸機かもしれません。
車内シーンは 勿論セット撮影ですが 宝塚映画製作の カラー映像で、北九州広域での ロケを行いました。しかし 唐津くんちの場面だけは 撮影だけで 現地に俳優は行かず、現地の祭り衆は 肩透かし喰らった様です。
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