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日本映画の鉄道シーンを語る

日本映画における鉄道が登場する場面(特に昭和20~40年代の鉄道黄金期)を作品毎に解説するブログ

 40. 地底の歌

 1956年12月   日活 配給 公開     監督 野口博志

 伝統はあるが、今では傾いてしまった東京江東地区を縄張りとする伊豆一家を巡る任侠映画です。

 冒頭 京葉道路両国橋から千葉方面を俯瞰する映像に総武本線隅田川橋梁を渡る電車の姿が小さくあります。両国橋の上には都電がいます。系統番号は分らないので 12.25.29 番の何れかでしょう。
 続いて四ツ目通りを走るボンネット型バスの上を交差する総武本線 40系国電らしき中野方面行が、木造の錦糸町駅へ進入するカットがあります。
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 現在では四ツ目通りを跨いで亀戸側までホームがありますが、当時は両国側だけで納まっていたんですね。この地区一番の歓楽街である江東楽天地も道こそ広いが、砂利道だったとは・・・。

 組員の びっくり鉄(高品格)が 山田花子(香月美奈子)を成田へ連れて行くシーンでは、先ずクロスシートに二人で座っていることから 1500形車内での撮影と思われます。40-2.jpg

 続いての走行シーンは 700形3連でハッキリとは映っていないが、成田行の急行護摩号ではないかと思います。40-3.jpg
この頃特急開運号は専用の 1600形が走っていて、京成上野発 9:30 途中青砥のみ停車で 10:41 京成成田着でした。
 特急開運号は座席指定料金50円を徴収する、一日上下1本のみの有料特急でした。急行護摩は京成上野発 8:20~11:03 に8本設定され全て京成成田行で、帰りは 13:55~16:40 に同じく8本あり成田山新勝寺参拝の一般客輸送を担っていました。

 木造の京成成田駅改札前で、花子が獲物を待つシーンが続きます。ホームに200形らしき電車が到着し、木製ラッチを続々と客が通り駅前広場を成田山方面へ歩く姿があります。
 駅舎こそ新しくなりましたが、現在とあまり様子は変わっていません。広い駅前広場には数多くのタクシーやアメ車が停まり、お土産屋なども多く賑わっていて華やかさは今以上かもしれません。40-4.jpg


 
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コメント


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地底の歌

鈴木清順の「関東無宿」がこの映画のリメイクだと知っている人は案外少ないのではないか。

この映画は石原裕次郎の出演作と知っている人もこれまた少ないのではないか。

この映画についてどこかで読んだり聞いたことのある人も、裕次郎は脇役で、名和広が主演だと知っている人も少ないのではないか。

また、実際にこの映画を見た人も微々たるものではないだろうか。

よくぞ、このようなマイナーな作品を取り上げてくれていたと驚きと感謝の気持ち。

私に言わせれば、100本以上も数える裕次郎作品の中でも、この映画で「ダイヤモンド(の)冬」というヤクザを演じた裕次郎(ここでは常にネッカチーフを首に巻いている)がズバ抜けて最高に格好がよかった(coolest)。
 
「ダイヤモンド(の)冬」という通り名はタフガイ・裕次郎ぴったりで、文句なしに「いかす」じゃ、あ~りませんか。

このブログでは、このような知名度の低いマニアックな映画にも目を掛け、精緻な鉄道事情をルポしているのには、本当に頭が下がります。 グッド・ジョブです。

冒頭の浅草界隈のロケはニュース・フイルムのようにビビッドな臨場感があって、観客も実際に当時の雑踏に足を踏み入れたような錯覚に陥る。
裏通りに「藤島桓夫ショー」(懐かしの「月の法善寺横町」ですね)という看板も見えた。

さらに、「京成 成田駅」付近も今となっては貴重な映像記録である。
駅構内でおばさんが蒸籠で卵を茹でて、ゆで卵を売っているのに気がついた。

大好きな女優が二人出演している。

黒曜石のようなドングリ目をしている香月美奈子(「山田花子」という役名には失笑、関西人なら分かる)と憂愁を秘め、いつも泣きそうな顔つきをしている山根 寿子(今回はたまたま気性の激しい女性を演じているが)。

赤松 幸吉 | URL | 2018-09-14(Fri)18:33 [編集]


Re: 地底の歌

赤松様 地底の歌を掘り起こして頂けるとは恐縮です。 初年度作であり、またまた冷や汗モノです・・・

主演の名和宏と言えば 東映の恐怖女子高校シリーズの理事長役など東映時代の悪役の印象が強いのですが、若い頃は二枚目で主役を張っていたのでしたね。残念ながら今年6月に85歳で亡くなられたそうです。

60年以上前の錦糸町・浅草・成田界隈が映っていますが、錦糸町楽天地が砂利道だったのは驚きです。

香月美奈子の役名が「山田花子」ですが、今だとピンと来ますが6年前は「山田花子」を知りませんでした。

テツエイダ | URL | 2018-09-15(Sat)21:30 [編集]