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日本映画の鉄道シーンを語る

日本映画における鉄道が登場する場面(特に昭和20~40年代の鉄道黄金期)を作品毎に解説するブログ

383.銀座二十四帖

1955年9月 日活 製作 公開   監督 川島雄三

銀座で花屋を営む コニーこと 三室戸完(三橋達也)と知り合った 京極和歌子(月丘夢路)が、少女時代に描いてもらった 絵の作者を巡る謎解きと 薬物撲滅を目指す 三室戸の活躍を描いた青春映画です。

序盤 世田谷砧の花畑で収穫された花を 芝生花市場へ運ぶ三輪トラックに 途中で三室戸が便乗し 仕入れに行く場面で、大きく右カーブする登坂へ向かう 都電とすれ違うシーンがあります。
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登場人物の紹介を兼ねた やり取りの終盤に、銀座中央通りを行きかう 都電を捉えた映像が流れます。京橋付近でしょうか、1系統の他 19・22・40系統の電車が 次々と走っています。
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軽妙な 森繁久彌のナレーションで 銀座の玄関口として、新橋駅汐留側に 1914年から1970年頃まであった 風格ある駅舎が紹介されます。
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続いて 有楽町駅を通過する 特別急行列車2レ つばめ号東京行が、牽引するEF58形電機から
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最後部の一等展望車まで映ります。
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そして 東京駅10番線に到着した つばめ号の
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8号車から 和歌子の姪 仲町雪乃(北原三枝)が降り立ち、
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カバン持ちをさせた プロ野球投手赤石峰男(岡田眞澄)を 和歌子に紹介します。

その後全国に257か所有ると言う 何々銀座を紹介する中で、雪景色の 札幌市電の様子が映ります。
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雪乃は両親に内緒で ミス平凡コンテストに応募し、東京本選で入選します。和歌子は雪乃の両親に ファッションモデルとなる了承を 取り付けるべく大阪へ行き、和歌子の監視付きを条件に 話を纏めると 大阪球場で雪乃に伝えます。

赤石が投げてる大阪球場には 絵描きの振りをしている 望月三太郎(大坂志郎)も来ていて、南海電鉄難波駅をバックに 和歌子が所有する絵画の作者について 雪乃と話しています。
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また 高島屋の屋上へ 和歌子が向かった場面では、御堂筋から 南海電鉄難波駅が入る 1932年に完成した 高島屋百貨店が映ります。
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その後 三室戸は銀座の街からの 薬物撲滅を目指して、元締めである 銀座のGMを捜して 和歌子の夫である 京極克己(河津清三郎)に行き着きます。
その時 かねてより内偵捜査をしていた 望月刑事の指揮で 警官隊による一斉摘発が行われ、和歌子の絵を描いた作者は 京極の親友で 三室戸の兄 三室戸五郎であると告げた後に 逮捕を拒んで 拳銃自殺してしまいます。

一時は 三室戸の花屋で働いていた 和歌子でしたが、鵠沼で別れて住む 娘珠代(江川美栄子)の元へ帰るべく 新橋駅へ向かいます。
ルリちゃん達に「見送りに行かなくちゃ」と 花束を渡された三室戸は、新橋駅1番線 東海道本線下りホームへ行きます。

折りしも 海上自衛隊員の 壮行会が行われていて、ホームが混んでいる中 三室戸は和歌子を捜します。
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和歌子を見付けた 三室戸が「奥さん」と声を掛けると、花束を受け取った和歌子は「コニーさん・・・」と潤んだ眼で 呟いただけで言葉が続きません。
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そこへ 16:24発の833レ小田原行 80系初期型湘南電車が、二人を覆い隠す様に 到着したのでした。
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PS.
  森繁久彌のナレーションで つばめ号は朝9時に大阪を出発し、時速90kmで走って 夕方5時に東京駅へと到着しますと 紹介されています。

  ところが続いて「1等は無くなりましたが、偉い人は特急券無でも 乗れるという噂もあります」と続いています。脚本家は 本作公開2か月前に無くなった、1等寝台車と間違えたのでしょう。

  7枚目の画像で 雪乃は二等の8号車から降りてきましたが、隣の7号車は 帯無しでも3等車ではなく食堂車です。

  当時の食堂車は 普通急行列車と特別急行列車では 一品料理や飲み物のメニューが違い、定食も 普通急行が朝定食は150円昼・夕定食は240円に対して 特別急行列車では定食が300円・350円・500円の3種類でした。

  三室戸の花屋で働くルリちゃん(浅丘ルリ子)は 当時中央区立 今川中学校3年生で、(緑はるかに)でデビューしてから 本作が2作目でした。




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試験塗装の競演

青3号塗装に黄1号帯、前面窓四隅R付の変形機EF5818号機「つばめ」といい
初期型クハ86の分離台形前面塗装といい
稼働している試験塗装バリエーション車両の動画は貴重ですね。

東京駅のスロ51形もシートピッチの狭さ故に不評短命だったのでこれまた貴重。
所属表記は門ナオ?

川島監督は以外に鉄道好きだったのか、単なる偶然なのか今では不明なのがもどかしいです。

N.N.LC33100 | URL | 2023-03-06(Mon)07:54 [編集]


超レアケースです

テツエイダ様

特急「つばめ」のEF58、最終画像の80系湘南電車、どちらも一過性で短期間しか存在しなかった試験塗装で、宝くじに連続当選したようなレアケースです。川島作品の代表といえば「幕末太陽傳」ですが、江戸時代の物語なのに冒頭のシーンで八ツ山橋をゆくEF58が出てくるなど、テツの血が色濃く流れているのかもしれませんね。

N.N.LC33100様のご投稿に横から失礼しますが、スロ51の配置は門タタ(のちにタケ)、竹下客車区です。当時の時刻表がないので詳細不明ですが、「玄海」とか「霧島」の博多回転車あたりではないでしょうか。

個人的に気になったのは、最終画像の東京デパートの看板です。東京デパートなんて、屋号というより、ほとんど普通名詞ではないですか。かつて新橋の高架下はたしか京浜百貨店(実態はデパートではなく普通のストア)だったと記憶しますが、その前身?でしょうか。

73おやぢ | URL | 2023-03-08(Wed)17:10 [編集]


Re: 試験塗装の競演

N.N.LC33100 様  コメントありがとうございます  返信が遅くなり申し訳ありません。

18号機と言えば本作公開の前年から、一足早く青大将の試験塗装になっていたのですね。

川島監督はどう見ても、鉄道好きだったとしか思えませんね。

テツエイダ | URL | 2023-03-08(Wed)21:07 [編集]


Re: 超レアケースです

73おやぢ様 コメントありがとうございます。

つばめの前に到着していたのは、16:15東京着の38レ急行雲仙です。2号車が博多回転のスロ51で、1号車のマロネ29と2輌が博多回転車だった様です。

東京デパートの看板は確かに目立っていますね。小生は新橋駅に縁がなく 1969年に初めて行った時に、この名前の看板を見た記憶がありません。

テツエイダ | URL | 2023-03-08(Wed)21:32 [編集]


Re: 超レアケースです

73おやぢ様
スロ51の所属表記は門タタでしたか、
良く考えれば名門の竹下客車区所属車くらいしか
夜行列車には使われませんね、しかし「玄海」「霧島」といえどスロ51の狭い
シートピッチでは乗客には拷問同然の扱いでかろうじて
座席が確保されていた事位が救いですか。

N.N.LC33100 | URL | 2023-03-08(Wed)22:07 [編集]


Re: Re: 超レアケースです

N.N.LC33100 様  コメントありがとうございます。

「玄海」「霧島」は、17:00のつばめ号到着より後の東京着なので、16:15着の38レ「雲仙」と73おやぢ様への返信で推察した次第です。

同じ特ロ料金を払っても、スロ51が来たらがっかりしたことでしょうね。

テツエイダ | URL | 2023-03-09(Thu)18:09 [編集]