
銀座で花屋を営む コニーこと 三室戸完(三橋達也)と知り合った 京極和歌子(月丘夢路)が、少女時代に描いてもらった 絵の作者を巡る謎解きと 薬物撲滅を目指す 三室戸の活躍を描いた青春映画です。
序盤 世田谷砧の花畑で収穫された花を 芝生花市場へ運ぶ三輪トラックに 途中で三室戸が便乗し 仕入れに行く場面で、大きく右カーブする登坂へ向かう 都電とすれ違うシーンがあります。

登場人物の紹介を兼ねた やり取りの終盤に、銀座中央通りを行きかう 都電を捉えた映像が流れます。京橋付近でしょうか、1系統の他 19・22・40系統の電車が 次々と走っています。

軽妙な 森繁久彌のナレーションで 銀座の玄関口として、新橋駅汐留側に 1914年から1970年頃まであった 風格ある駅舎が紹介されます。

続いて 有楽町駅を通過する 特別急行列車2レ つばめ号東京行が、牽引するEF58形電機から

最後部の一等展望車まで映ります。

そして 東京駅10番線に到着した つばめ号の

8号車から 和歌子の姪 仲町雪乃(北原三枝)が降り立ち、

カバン持ちをさせた プロ野球投手赤石峰男(岡田眞澄)を 和歌子に紹介します。
その後全国に257か所有ると言う 何々銀座を紹介する中で、雪景色の 札幌市電の様子が映ります。

雪乃は両親に内緒で ミス平凡コンテストに応募し、東京本選で入選します。和歌子は雪乃の両親に ファッションモデルとなる了承を 取り付けるべく大阪へ行き、和歌子の監視付きを条件に 話を纏めると 大阪球場で雪乃に伝えます。
赤石が投げてる大阪球場には 絵描きの振りをしている 望月三太郎(大坂志郎)も来ていて、南海電鉄難波駅をバックに 和歌子が所有する絵画の作者について 雪乃と話しています。


また 高島屋の屋上へ 和歌子が向かった場面では、御堂筋から 南海電鉄難波駅が入る 1932年に完成した 高島屋百貨店が映ります。

その後 三室戸は銀座の街からの 薬物撲滅を目指して、元締めである 銀座のGMを捜して 和歌子の夫である 京極克己(河津清三郎)に行き着きます。
その時 かねてより内偵捜査をしていた 望月刑事の指揮で 警官隊による一斉摘発が行われ、和歌子の絵を描いた作者は 京極の親友で 三室戸の兄 三室戸五郎であると告げた後に 逮捕を拒んで 拳銃自殺してしまいます。
一時は 三室戸の花屋で働いていた 和歌子でしたが、鵠沼で別れて住む 娘珠代(江川美栄子)の元へ帰るべく 新橋駅へ向かいます。
ルリちゃん達に「見送りに行かなくちゃ」と 花束を渡された三室戸は、新橋駅1番線 東海道本線下りホームへ行きます。
折りしも 海上自衛隊員の 壮行会が行われていて、ホームが混んでいる中 三室戸は和歌子を捜します。

和歌子を見付けた 三室戸が「奥さん」と声を掛けると、花束を受け取った和歌子は「コニーさん・・・」と潤んだ眼で 呟いただけで言葉が続きません。

そこへ 16:24発の833レ小田原行 80系初期型湘南電車が、二人を覆い隠す様に 到着したのでした。

PS.
森繁久彌のナレーションで つばめ号は朝9時に大阪を出発し、時速90kmで走って 夕方5時に東京駅へと到着しますと 紹介されています。
ところが続いて「1等は無くなりましたが、偉い人は特急券無でも 乗れるという噂もあります」と続いています。脚本家は 本作公開2か月前に無くなった、1等寝台車と間違えたのでしょう。
7枚目の画像で 雪乃は二等の8号車から降りてきましたが、隣の7号車は 帯無しでも3等車ではなく食堂車です。
当時の食堂車は 普通急行列車と特別急行列車では 一品料理や飲み物のメニューが違い、定食も 普通急行が朝定食は150円昼・夕定食は240円に対して 特別急行列車では定食が300円・350円・500円の3種類でした。
三室戸の花屋で働くルリちゃん(浅丘ルリ子)は 当時中央区立 今川中学校3年生で、(緑はるかに)でデビューしてから 本作が2作目でした。
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