
大阪の釜ヶ崎地区で 自堕落 且つ 無軌道な生活を送る男が、自分の悪事の末に起こった悲劇に 良心の呵責からか 博打場に子供達の為のブランコ設置を目指す物語です。
冒頭 大阪駅舎が映り

西成警察署へ転任する署長(嵯峨善兵)が タクシーの運転手に「釜ヶ崎へ」と言うと、「当てられまっせ~」と嫌がる様子です。
タイトルバックに続いて 南海電鉄 阪堺線 今池~南霞町停留所を走る モ301形305を対象に

番号当て博打をしている大将(長門裕之)の元へ「お客さんでっせ」と知らせが入り、大将は新署長の乗るタクシーに 当たり屋を仕掛けます。
西成警察署へ着いた新署長が 在任9年の山内刑事(浜村純)から 釜ヶ崎界隈の 説明を聞く過程で、町の一角を走る 阪堺線の今池停留所らしきが映っています。

次に おばはん(轟夕起子)が営む ホルモン酒場に 皆が集うシーンに続いて 南海電鉄本線 今宮戎~萩ノ茶屋の高架線を 4連電車が高速で走り、

下道の 屋台改造寝床で寝ていた大将が 南海と交差する関西本線を走る 10時の貨物列車の振動で起こされます。
向かいに住む ホルモン屋のおばはんに挨拶し 息子のカツオ(頭師佳孝)から 寝覚めの牛乳を注いでもらう場面で、背後の関西本線を 天王寺方面へ蒸機が単機回送で向かっています。

釜ヶ崎地区の 南海電鉄本線沿いの広場は 博打場となっていて、大将達が 生き弁天のお初(中原早苗)達から巻き上げられた金を取り戻そうと 熱中する背後の高架線を 南海電鉄の旧型らしき3連電車が走っています。

博打場を取り仕切る親分(山茶花究)に 有り金 全額巻き上げられた大将は、おばはんを騙して カツオの進学貯金を狙おうと ホルモン酒場の店仕舞いを手伝う背後に 南海電鉄天王寺支線を走る 凸型電機牽引貨物列車が通っています。

大将は 父親が信用金庫の支店長だと偽り、まんまと貯金を手にして 放蕩の挙句 全て使い込んでしまいます。 それを聞いたおばはんは ショックで深酔いし、ひき逃げされて死亡します。
おばはんの兄(加藤武)が遺骨と カツオの引き取りに来た場面で、背後の築堤を 関西本線の気動車が走っています。

しかし先方の家に 子供が8人もいたので、カツオは家出し 翌朝には大将の元へ舞い戻って来ました。
おばはんはカツオの為に ランドセル等入学用品を買い付け 支払いだけして 明日取りに来ると言って 帰った晩に死亡したそうで、家を探し当てた用品屋が 届けに来た場面で 煮炊きするカツオの背後には 前年に開通した大阪環状線の 101系電車が走っています。

その後 大将は頻繁に 亡きおばはんの掛け声が 何度も聞こえる様になり 何もする気が無くなった様子で界隈を歩き 博打場で仲間から声を掛けられるシーンでは、南海電鉄天王寺支線を行く 1501形(国鉄63系)電車の姿があります。

ある日 山内から おばはんが残した学資保険の 解約金を受け取った大将は、博打広場に 子供の為のブランコを作ろうと カツオと共に組み立てています。
しかし 親分が手下と共に現れ、たちまち破壊してしまいます。それでも大将はめげずに 何度もブランコを作ろうとしますが、その度に 親分一派に破壊し続けられます。
その様子を見ていた山内が 諦める様に説得する場面で、踏切を渡った大将を山内が追い駆け 右側の関西本線らしきを C58形蒸機牽引列車(次位客車は二重屋根)が通り 左手には大阪市電らしき軌道が見えています。

大将は壊されない様に 鉄製のブランコならと 鍛冶屋へ製造依頼に行きますが、作った事はないが 前金ならばと言われてしまいます。
そこで手っとり早い策の 当り屋を思い出し、大通りで 車目がけて飛び込みますが失敗し 即死してしまいます。
そして 界隈の皆で大将の乗った 霊柩車を送り出す場面では、関西本線の築堤を走る キハ35系気動車らしき6連の列車が映っています。

PS.
この時代の釜ヶ崎地区を 取り囲む様に、南海電鉄の本線・天王寺支線・阪堺線・平野線の他に 関西本線・大阪環状線等が走っていました。国土地理院 旧版1970地図よりの 抜粋地図を加えます。

当時は南海電鉄阪堺線・平野線でしたが 平野線は1980年11月に廃止され、その3日後に 分社化によって 阪堺電軌 阪堺線となりました。
4枚目の画像に映る蒸機は 浪速貨物駅へ貨車を運んだ後、関西本線を 竜華機関区へ戻る D51形蒸機の姿と思われます。
5枚目の画像は 関西本線・大阪環状線と 南海電鉄本線との交差地点ですが、当時は新今宮駅は存在していなく 1964年3月に大阪環状線のみの停車駅として開業後 1966年に南海も駅を設置しています。(上の地図は1970年版なので、既に新今宮駅があります)
すぎたま様から通過中の南海電車は、1521系ではないかとの御意見が寄せられています。
7枚目の画像は 天王寺支線を走る 東芝製40t 凸型電機 ED5151形と思われ、天王寺で国鉄へ貨物の受け渡しを行っていましたが 1993年3月末をもって廃止されました。
今回皆様より11枚目の画像での蒸機は C58形・ラストの気動車は 35系であろうとの御意見が多数寄せられましたので、訂正させて頂きました 今後も御意見を 歓迎致しますので 宜しくお願い致します。


