日本映画の鉄道シーンを語る

日本映画における鉄道が登場する場面(特に昭和20~40年代の鉄道黄金期)を作品毎に解説するブログ

 36. 乱れる

 1964年1月  東宝 配給 公開   監督 成瀬巳喜男

 戦争未亡人となるも嫁ぎ先の酒屋をきりもりしてきた森田礼子(高峰秀子)の悲恋ドラマ


 結婚半年で未亡人となった礼子は義弟である森田幸司(加山雄三)が一人前になるまではと頑張ってきたが、店をスーパーに替える話が持ち上がったのを潮に森田家を離れ故郷へ帰ることにする。

 姑 森田しず(三益愛子)一人に見送られ、礼子は清水駅を 14:37 に出る準急はまな2号に乗る。この当時 153 系電車を使用しているが、入線映像だけが 80 系です。ホームには駅弁の立売が二人もいます。
 発車後 幸司が現れ、ミカンと週刊誌を差入れ送って行くと告げる。36-0.jpg
当初は困惑気味の礼子だが、次第に打ち解けていく様子。153 系準急はまな2号は 17:21 東京に到着した模様。

 次の場面は上野駅 中央改札口。列車案内札は残り5枚。放送で 23:20 発の急行 出羽 酒田行を案内しています。
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先に席とりをしている礼子が横を見ると新婚旅行の見送り人を撮影している様子です。36-3.jpg

 遅れて幸司がジュースとサンドウィッチを持って着席。そして礼子にハンドバックをプレゼントします。無駄遣いだと窘めながらも嬉しそうな礼子であります。

 次のカットはとある駅に停車中の出羽号。遠く蒸機の汽笛が響く中 ホームでは幸司が立ち食いそばを啜っています。
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発車ベルが鳴る中 食べ終わり、代金を払って席に戻り「熱いコーヒーでも飲みたいね」と幸司。
 夜行DC急行出羽は意外と長時間停車が無く、黒磯と郡山が7分。福島でさえ5分です。蒸機がいた点を考えれば、郡山ではと推察します。出羽の郡山到着が 3:18 出発が 3:25 で真夜中です。
 郡山は東北本線の要衝で上下列車が一晩中停車し、駅そば福豆屋は当時24時間営業だったそうです。その福豆屋は 2010年3月末で閉店となってしまいました。

 列車が夜明けを迎えようとするころ、礼子はいろいろな思いが沸き立ち突然「降りましょう次の駅で」と幸司に告げ朝もやの大石田駅で降ります。定刻なら 6:58 です。36-5.jpg

 堂々たる木造の大石田駅舎をバックに歩く内「私だって女よ 幸司さんに好きだと言われてとっても嬉しかった」 そして悲しい結末の待つ銀山温泉へと向かいます。36-6.jpg


 急行出羽は 1960年客車準急新庄行で誕生し 1961年10月から急行となり1等車,2等寝台車も付けられました。1963年10月から酒田行となりDC化されたので撮影はこの直後であったと思われます。
 上野発車時は 10 両編成ですが、山形で 5 両編成となり本編に登場するのはこの姿です。その後 1982年11月まで夜行DC急行として走りました。
 
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