
家族の生活の為に 身売りされた 深沢みふね(芦川いづみ)が 脱走し、追い駆ける男と みふねが寄り添う男 絡み合う三人のドラマを描いた映画です。
タイトルクレジット直後 娼家から脱走した みふねと よしえ(和田悦子)は、近くの函館本線近文駅へ入り込み 発車しかけている列車に みふねは飛び乗りますが

秋本孝二(アイ・ジョージ)に よしえは捕まってしまいます。

ホームに秋本と よしえを残し走り行く夜汽車ですが、

みふねはデッキで 車掌(青木富夫)に無賃乗車で捕まってしまいます。

そこを一等車から出て来た ジョー(宍戸錠)に、金を払ってもらい 助けられました。
そして列車は、翌日終点の函館駅へと着きます。

乗客が皆降りた ゴミが散乱する車内通路で、みふねは未だ 寝ていました。

漸く気付いた みふねは、

慌ててホームに出て 郵便車の横を進んで行きます。

先に改札口を出た ジョーを追い駆けて ホームから飛び降りて フェンスの下穴から 外へ出ちゃいますが、この間 みふねはずっと 裸足のまま 砕石の上を走ったりするのには驚きです。
その後 みふねはジョーのことを 心に求める{ジョニー}と思い込んで、ジョーに邪魔者扱いされても 寄り添い続けるのでした。ジョーは 競輪の予想屋を本業に、見込んだ競輪選手 宏(平田大三郎)のトレーナーもやってます。
ジョーは 宏に頼まれた 五万円を工面する為 函館駅に近い天狗食堂へ行くと、外で待つ みふねは 秋本に見つかってしまいます。秋本の背後には 函館駅に停車する、気動車急行らしきが見えています。

ジョーは 秋本を撃退しますが 宏から 選手の編成替えで 18:00発札幌行で 小樽へ行く必要があると聞いて、金の工面に困った挙句 みふねを 娼館花乃家の おきく(武智豊子)に売ってしまいます。
みふねには 18:00に競輪場で 待ち合わせの約束をしておいて、発車間際の 札幌行に乗り込み 宏に金を渡して 同行するジョーでした。

離れた座席では 宏の恋人和子(松本典子)が、二人の様子を 伺っています。

続いて走行中の蒸機牽引列車が映ります。

そして 一人泣きながら ジョーを待つみふねの前に 秋本が現れ、函館駅に連れていかれました。D51形蒸機が バックで機回し中らしき様子が 先ず映ります。
続いて 函館終着の普通列車が停まり、秋本はみふねの髪を 引っ張って乗せようと

デッキの前に移動します。下車客が尽きるのを 待っていると、秋本が売り飛ばして 自殺した京子の 兄(玉村駿太郎)と鉢合わせします。
妹の敵である 秋本に気付いた男は ナイフを取り出し、秋本の心臓の斜め上辺りを 刺してしまいます。直ぐに騒ぎとなり 男は駅員に取り押さえられ、秋本は別の駅員によって 救助されます。
騒ぎが収まり 折り返しの列車に乗る乗客に混じって みふねも二人分の荷物を持って 乗り込もうとしますが、

はたと気付いて 秋本が入院した病院へ 荷物を届けに向かいます。
一方 みふねを裏切り 宏と札幌行の列車に乗ったジョーは、発車間際に買った ウヰスキーを飲んで すっかり寝込んでいました。然別駅で 発車の汽笛で起きると、宏の姿は無く 決別の置手紙がありました。

騙されたことに気付いたジョーが 反対の窓の外を見ると、宏が和子の手を引いて 改札口の方へ走っています。ジョーはデッキへ 宏の名を叫びながら走り出ると、

既に加速している列車から 飛び降りそうになる所を 車掌に制止されたのでした。
宏に自分の夢を掛けていただけに ジョーは腑抜け状態となり、一般客立ち入り厳禁の 青函連絡船の航送車輛デッキで 呆然としている姿があります。

一方病室へ荷物を届けた みふねは、秋本が不憫に思えたのか 付き添って看護するのでした。秋本は人身売買で 手配中だったので、退院と同時に逮捕となる身でした。
ところが 退院の日に迎えに来た 警官から自分を棄てた妻の行方を 伝言されたので 暴れて窓から逃走し、又しても みふねの誠意は 裏切られたのでした。
漠然と故郷稚内を目指して 放浪するみふねは 釜谷駅に現れ、

駅員に「稚内」と言うや 呼び止める声も聞かずに 下り方面の線路上を歩いて行ってしまいます。
更に雨降る夜間でも 線路内を歩き続けるみふねは、前方から近付く 蒸機の灯りを 夢見るジョニーと思い込んで 避けようとしません。
9600形らしき蒸機は汽笛を鳴らし続けるのに 退避しないので 急ブレーキで停車するや、

乗務員が倒れ込んでいる みふねを救助し 入院の運びとなります。

それから 退院したみふねは 遂に故郷の実家に辿り着きますが、既に家族は引っ越した後で 行方も分からないのでした。
その頃ジョーは ヒッチハイクで 秋本はギターをつま弾きながら 列車で みふねの行方を追っています。

D51形蒸機牽引列車が映り、

小さな駅舎から秋本が出てきました。
PS.
芦川いづみが 出演作品中 ベストワンに自選した 映画だそうです。頭の弱い女性役で 変顔を全編で連発し、飛び乗りシーンや 裸足でホームから飛び降りたりと 彼女のイメージに合わない異色作品です。
近文駅は 函館本線終点旭川駅の 一つ手前ですが 半車一等車付の 上り普通列車は 夜間に無いので、ロケ用の列車を走らせてもらい 芦川いづみには珍しい 飛び乗りシーンを撮影したと思われます。
近文から函館は遠く 当時のダイヤで作中の様に 直通の普通列車となると、旭川始発の 近文6:24発で 函館19:21到着の 122レが唯一の列車でした。
宏がジョーと待ち合わせて 乗った函館18:00発の 札幌行も架空列車で、実態に近いのは 函館15:08発45レ札幌行です。宏と和子が降りた 然別駅も遠く、45レに乗ったとしても 21:52頃の到着で 終列車でした。
何故か 12枚目の画像は C62形蒸機が牽引する 急行列車なので、函館 14:25発 17レ釧路行の急行まりも号の雄姿と思われます。
秋本が嫌がる みふねを連れて 乗ろうとした列車も、撮影用の列車を用意してもらって 多数のエキストラを動員しての ロケと思われます。普通に乗るなら 23:20発 419レ釧路行が 該当します。
腑抜け状態となった ジョーが入り込んだ 青函連絡船の航送車輛デッキでの撮影は 大変珍しいロケで、多数の映画で ロケが行われたのは 青函連絡船の屋外デッキでした。

放浪する みふねが辿り着いた 釜谷駅は、江差線の釜谷駅と 思われます。函館本線沿いではなく 函館から海岸沿いに歩いたので、釜谷駅に着いたのでしょうか。
しかし駅員は 下りに乗れば稚内で「歩くと1~2時間掛かりますよ」と言っているので、該当するのは 天北線の 宇遠内仮乗降場です。(無人駅でしたが稚内まで4.8㎞)
最後から一枚手前の画像は みふねの元へ 列車で向かう秋本ですが、蒸機牽引列車の筈が 座席の後ろに 排気管が出っ張っていて 気動車の様ですね。
みふねが通路で寝込ん で函館に到着した場面で、遥か昔 常磐線の松戸から 上り上野行 長距離普通列車に乗った時、もの凄い量のゴミが 座席の下にあったのを思い出しました。
- 関連記事
-
- 344硝子のジョニー野獣のように見えて
- 271.終わりなき生命を
- 74. 乳房よ永遠なれ


