日本映画の鉄道シーンを語る

日本映画における鉄道が登場する場面(特に昭和20~40年代の鉄道黄金期)を作品毎に解説するブログ

 35.父と娘の歌

 1965年10月  日活 配給 公開    監督 斎藤武市

 元 国際的クラリネット奏者である父 卓道一(宇野重吉)とピアニストを目指す娘 紘子(吉永小百合)の絆を描く、青春ドラマです。

 苦学しながらもピアニストをめざした紘子は、毎朝新聞主催のコンクールで優勝することができました。そしてそれをきっかけに東洋フィルでピアノをひくことになります。
 更に東洋フィルで楽団員の一般募集することを聞いた紘子は、キャバレーで歌手のバックバンドの一員としてクラリネットを吹く父に受けさせようとします。

 父のいる楽団の予定を聞くと、今夜 仙台発 21:30 の青森行に乗って移動するという。急いで特急に乗った紘子は仙台を目指します。
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 車内放送は 仙台着 21:28 一関着 23:10 と続きます。つまり定時で走っても仙台での接続は2分しか余裕が無いんです。

 無事仙台に着いた紘子は階段を降り、青森行が出る1番線へ上がります。
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発車時刻が迫る中 長い列車の窓際を小走りに父の姿を捜す紘子。
 この様子をカメラは車内の天井近くからホームの紘子をを見下ろすアングルで追います。今の様に小型で手ブレ防止機能のカメラの無い当時、どうやって撮ったのでしょう。
 臨場感の有るこのシーンを撮る為に掛けた、監督の熱意と拘りが感じられます。

 駅弁を買っていた旧知の吉行(山内賢)に会い、
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もう一両前に乗っていることを聞いた紘子は更に急ぎ漸く父に会えます。そして東洋フィルのオーディションを受けるよう頼みます。
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 「東洋フィルの第一回演奏会で私がコンチェルトをひくの。お願い!お父さん 私を助けて。お父さんと一緒にひきたいのよ!」
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 C61と思われる蒸機牽引で動き出した列車の窓越しに並走しながら必死の説得を続ける紘子。
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迫真の演技は見る者の心を打ちますが、父は何も答えぬまま列車は去り行きました。
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 演奏会の第一回練習日 クラリネットを持つ父の姿に感激する紘子。そしてラストシーンの父と娘で臨んだコンサートへと映画は続くのでした。



 PS. 当時の時刻表によると紘子が乗ったのは上野 16:30 発の 7D 特急ひばりと思われ、終点仙台には 21:25 着です。車内放送では一関 23:10 ですが該当する列車はありません。
     上野 12:30 発の秋田、盛岡行の特急つばさ は一関 18:42 次の特急はつかり は一関に停車しません。また映像では特急とき が何故か映っています。

     父の乗る青森行鈍行列車は仙台 21:30 発ですが、これに該当するのは上野 11:08 発の 11レ で仙台着 20:08 20:25 発となり終着青森には翌朝 8:13と宿替りにはピッタリです。
     哀愁を感じる仙台駅ホームでの別れのシーン。蒸機と旧客が一翼担っています。この一年後の1966年9月末、仙台~盛岡電化となり蒸機牽引列車は消えてゆきました。
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