
故郷に絶望した 少年院帰りの 川本信夫(夏木陽介)は 上京した恋人を追って 東京へ行きますが、真っ当な仕事に付けず ヤクザ組織に入り 暗い結末へ向かってしまう青春映画です
少年院を出た川本が 故郷へ戻ると、地元の基幹産業である 炭鉱は既に閉山し廃墟となっていたのでした。


付き合っていた 広瀬道子(星由里子)の弟三郎(小林政忠)から 道子の手紙を受け取り上京する場面で、本作鉄道シーンの殆どがあります。
大形蒸機の 動輪が映り、

客車列車が発車して行きます。二輌目には スロハ31形らしき ロ座ハ座合造車が 連結されているので、仙台~上野を直通する 長距離普通列車でしょうか。

続いて 常磐線の内郷駅らしきから 出発して行く蒸機牽引列車が映ります。右側には石炭をバラ積した 貨車が並ぶ多くの側線があります。

そして C60102 蒸機の牽引列車が映り、

車内では 川本が東京で再会する道子や 今後の事を考えている様子です。

そして夕暮れのラッシュ時に 友人の福井桂一郎(鈴木和夫)に案内されて 上野駅改札口を出た川本は、

出札口の横で 久し振りに道子と再会します。

ところが爆発した様な チリチリパーマ頭で厚化粧の道子を見た川本は、「何だか薄汚い感じだ」と本音を吐いてしまいます。
その後 今度こそと更生すべく 真面目な仕事を探す川本ですが、少年院帰りで 米穀通帳も無いとなると 真面な仕事に就けないことを 思い知らされます。
そんな川本を心配する道子は、柏会幹部 田波一家の有澤芳男(飯田紀美夫)に 組員入りを依頼しますが断られてしまいます。
背後に都電 14系統杉並線の 新宿駅前電停らしきが映り、2000形電車が ピューゲルの先からスパークさせながら 荻窪方面へと去り行く姿があります。

PS.
父親は出稼ぎに行ったまま行方不明で 頼りの地元企業 常磐炭鉱は閉山となり 上京しても仕事に就けず、まるで 日活貧困もの青春映画の様な話です。
当時 内郷駅からロ座を連結した日中の 上野直通普通列車は、仙台始発が 2本と原ノ町始発が1本ありました。
川本が乗った列車は 上野到着時刻から 仙台 9:30発の 228レが推定され、内郷 13:56発 ~ 上野 19:05着で所要5時間強の長旅でした。
C60 102号機はロケ当時 C59形から改造したばかりで、水戸区に所属して常磐線の客車列車を牽いていました。
道子が有澤に頼み事をする場面は 現在の新宿大ガード西交差点前で、今パチンコ屋がある辺りから 都電14系統新宿駅前電停が映っています。
青梅街道から 靖国通りへと続く大通りなので、当時も数多くの車が行き交っています。西新宿の高層ビル群も無く、空が広いですね。
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