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日本映画の鉄道シーンを語る

日本映画における鉄道が登場する場面(特に昭和20~40年代の鉄道黄金期)を作品毎に解説するブログ

312.ガラスの中の少女

1960年11月  日活 製作 公開   監督 若杉光夫

中学の同級生だった 沖中靖代(吉永小百合)と広江陽一(浜田光曠 後に浜田光夫)が 偶然の出会いから 付き合うが、周囲の反対から 孤立し 悲しい結末へと進んで行く青春映画です。

中卒から働く 町工場の配達途中に 偶然地下鉄丸ノ内線 四ツ谷駅で出会った二人は、甘味屋で話した後 四谷駅へ戻る途中 二人の背後を 都電3系統700形702が通っています。
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その後 偶然を装って靖代に会いたい広江は 雨の降る日に 配達を頼まれたので、国鉄中央快速線の101系電車が停車している 四谷駅が見える
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地下鉄丸ノ内線 四谷駅前で待ち伏せするのでした。

一方靖代の方も 地下鉄四ツ谷駅 改札口を出た所で、広江がいないか 捜している様子です。
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それでいて出会えば「今日は忙しいの」「でも少し位ならいいの」とお互い言い出して、結局長話するのです。
休日後楽園遊園地方向から地下鉄後楽園駅へ向かって走る二人の右手に、地下鉄丸ノ内線の電車が高架線を走る姿があります。第三軌条方式で集電しているので、一見非電化路線の様に見えます。
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それから靖代の両親に 交際が知れることとなり、中学時代のラブレター事件以来 広江を嫌う父沖中杉太郎(信欣三)は 交際禁止として靖代の登下校時に タクシーへ同乗させたりします。
会えなくなった広江は 待ち合わせの手紙を 母親里子(轟夕起子)に託しますが 焼かれてしまい、哀れ広江は 午後一時の待ち合わせ時刻から夕刻まで 地下鉄丸ノ内線四ツ谷駅前で待ちぼうけです。
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そして 父 沖中杉太郎が 北海道の大学に転任することになり 引っ越し準備で忙しい最中に、靖代は父親に嘘をついて 仕事中の広江を呼び出し「遠い静かな所へ行きたい」と二人で出掛けます。
続いて 小田急電鉄小田原線の多摩川橋梁を 2400形4連が走行する姿が映り、
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車内では二人が無言で座っています。
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そして靖代は「父親の転任で北海道へ引っ越すことになった」と広江に告げるのでした。
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PS.
 都電3系統は品川~飯田橋の路線で、広尾車庫所属の 1942年木南車輛製の半鋼製10m級 少数派小型車 700形を集中配置されていました。その後 700形は1966年に廃車となり、3系統も翌 1967年12月に廃止されました。

 地下鉄丸ノ内線四ツ谷駅は、1959年3月の霞が関~新宿の開通に伴い開業しました。ですから ロケは開業後 一年少々なので、駅は新しく 改札ラッチ(シマ)もステンレス板がピカピカですね。
 4枚目の画像で 左側は現在の東京ドームの場所です。右手の空地は 現在東京ドームシティのジェットコースターや温泉施設ラクーアがある所です。後楽園駅前後は 高低差が大きいので、この付近は 高架線区間の前後が トンネル区間です。

 5枚目画像の 地下鉄丸ノ内線四ツ谷駅舎は 下を交差する国鉄線が 谷底を走る関係上、地表面レベルにあるのですが 丸ノ内線は国鉄線路の上を交差しています。駅舎はリニューアルされていますが、基本構造は現在も同じです。

 小田急電鉄2400形は本作公開と同じ1960年1月から運用開始された当時の新鋭車輌(HE車)で、4輌固定編成でいて両端の制御車クハ 2450形は15.97m・中間の電動車デハ 2400形は19.3mと3m以上も全長が違っていて 現在のホームドア時代には適していませんね。
 これは当時の 各駅停車駅のホーム長が 70mしかなく、定員を多くしたい構想から この様な設計となった様です。続く車内シーンのロケに協力した 小田急電鉄としては、新車のハイエコノミーカー 2400形の走行シーンを 入れることを希望したのでしょうか。
 

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コメント


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小田急車内シーンは

テツエイダさまこんにちは。

小田急の2400系が登場しているカット、これは下り電車ですね。遠くに水道橋が見えます。小田急の橋も奥の橋も既に架け替えられてしまっています。
ところが、車内のシーンは、ちょっと該当する車輌が小田急にはありませんね。2400系は両開きドアを本格的に採用した最初の通勤車ですが、このシーンではドアが片開きです(下から2つ目のカットでは手前から向こうに開く)。また座席端部の「肘掛け」の様子が、2400系とは明らかに異なります。下から2枚目のカットでは、1800系にも見えるのですが、1800系は窓幅が狭く、車端部は窓2枚です(しかも戸袋の位置が異なります)。
一番下のカットでは、主人公たちの後ろに窓が1枚しかありません。こういう窓配置の車輌は、小田急には無いので、それならどこの電車なのか…。
いろいろ調べましたが、おそらく東急の旧5000系であろうと思われます。座席の肘掛け形状、窓部分が内傾している車体の様子、車端部の窓が1枚という点から、おそらく間違い無いでしょう。あの渋谷ハチ公前に置かれている車体です。

なぜこのようなロケになったのかですが、ダイヤの都合上、小田急でのロケが出来なかったか、もしくはうまく撮影できず、このカットのみ後から挿入したか等、いろいろ考えられますね。

すぎたま | URL | 2020-06-07(Sun)16:53 [編集]


Re: 小田急車内シーンは

 すぎたま様 コメントありがとうございます。

本作の前年に製作された(103.密会 監督 中平康)の日活と小田急電鉄の関係からも、当然車内シーンも小田急電鉄で行われたと思い込んでいました。

東急の旧5000系とのお見立てですか! 成る程言われてみれば・・・何故・・・わかりませんね。

テツエイダ | URL | 2020-06-07(Sun)19:09 [編集]


ガラスの中の少女

浜田光夫の本格的デビュー作(光夫が若々しく、いとけない、まだ青年の顔つきをしていない)、小百合・光夫ゴールデンコンビ(計44作)の輝かしき幕開けとなった作品である。

この映画は未見だが、youtubeにオープニングより8分9秒の動画がアップされていて、冒頭の湖の自殺シーンから、悲愴な純愛ものになるのではないかという予感に震えた。

なんせ、出だしのデキで、その後のストーリーの善し悪しが分かりますからね。
そのため、是非最後まで見たい映画の一つだ。

幸いなことに、この8分間に浜田が待ち伏せする地下鉄 四ツ谷駅や小百合が歩く駅構内のシーンが含まれていた。

地下鉄は暗いイメージしかなかったので、当時の四ツ谷駅がこれほど現代的な構築で、全フロアー、キラキラで、一流デパートなみの壮観な施設を備えているのに驚いたが、ブログを読むと前年に新築されたのこと、これで納得。

四ツ谷駅は地上に駅がある珍しい地下鉄駅らしい。
地下鉄駅のくせにJR(国鉄)より上に位置しているとは生意気だぞ!!

これだけでなく、丸ノ内線は地下鉄といいながら、ある区間は地上を走っている。
(東京で)初めて乗った時、地下鉄に乗ったはずなのにいつの間にか電車が地上に出ていたのには、本当にビックリした(これも全国的に見てなかなかお目にかかれないものらしいですね)。

他府県の地下鉄は市中心部の通過は必ず地下、そこからかなり離れた郊外からは地上路線に移るものもあるが、丸ノ内線のように都心を地上で運行しているのは珍しいのでは。

また、地下鉄トンネルから地上線路へ出る地点(写真を見るとモグラが地中から出てくる感じで、なんだか電車が恥ずかしそうな顔をしています)が鉄道ファンの撮影スポットとなっているらしいですね。

ひと昔、地下鉄漫才(春日三球・照代)のネタに「地下鉄の電車をどっから入れたんでしょうねぇ」というのがあったが、それは「四ツ谷駅から入れたのだ」と答えればよかったのだ。

この8分の中にも心に残る印象的なシーンがあった。
駅から往来へ出た小百合がふと空を見上げるとアドバルーンがビル街の上にゆらゆらと浮かんでいた。

当時は、デパートなどの上空でアドバルーンが揺れているのをよく見かけたものでした。
懐かしい光景です。

赤松 幸吉 | URL | 2020-06-08(Mon)20:50 [編集]


Re: ガラスの中の少女

赤松様 コメントありがとうございます。

そういえば吉永小百合・浜田光夫コンビの第一回作品だった点に、ブログでは触れていませんでしたね。

地下鉄丸ノ内線は 東京でも起伏の激しい所を 走っているので、トンネル→地上→高架線→トンネル なんて区間があります。
最初の開通が 池袋~御茶ノ水で 小石川車輛工場を車庫としたので、茗荷谷駅に近いここで 車輛搬入を行った模様です。

二人が最初に 言葉を交わした背後に、国鉄四ツ谷駅と 新宿通りの橋が見えています。地下鉄四ツ谷駅は あまり変わっていませんが、国鉄側の方は駅舎が建て替えされ 橋も架け替えられて現在では大きく変わっています。

テツエイダ | URL | 2020-06-08(Mon)22:17 [編集]