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日本映画の鉄道シーンを語る

日本映画における鉄道が登場する場面(特に昭和20~40年代の鉄道黄金期)を作品毎に解説するブログ

303.スゥイングガールズ

2004年9月 製作:フジテレビ・アルタミラピクチャーズ・東宝・電通  東宝:配給 公開  カラー作品   監督 矢口史靖

夏休みの補習授業をサボる為に ジャズ演奏の練習を始めた女子高生達が、東北学生音楽祭に出演するまでを描いた コメディタッチの爽やかな青春映画です。

冒頭 野球部の応援に出発した吹奏楽部員に 遅れた弁当屋が渡せなかった弁当を、鈴木友子(上野樹里)は 替わって届けることを口実に 補習をサボろうと画策します。
列車で試合会場へ向かう一行は、車内でメークやケイタイをいじっています。
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友子がその弁当の一つを開けてつまみ食いを始めると、
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他の皆も寄って来て 一つ食べてしまいました。
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列車は田園を進み
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やがて下車駅に到着しても
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皆 居眠りをしていて、
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田中直美(豊島由佳梨)の呟きで 飛び起きた友子ですが 降りそこないます。
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次の駅で降りますが、戻る下り列車は一時間以上来ません。
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諦めて線路上を暑い中 ダラダラ歩いて戻る一行ですが、警笛が聞こえた友子達が振り向くと 何故か気動車が迫って来ています。
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慌てて左右に分かれて、線路下の田んぼへ飛び降りる一行でした。
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泥だらけの制服を川で洗ってから 球場へ向かったので 到着が大幅に遅れ、吹奏楽部員に暑さで傷んだ弁当を渡してしまい 食中毒入院騒ぎとなってしまいます。
友子達が一つ弁当を食べたおかげで 食中毒を逃れた吹奏楽部シンバル担当の中村拓雄(平岡祐太)は、口止めの代わりに友子達に吹奏楽部員の代行を依頼します。その練習をすれば補習もサボれるので、渋々引き受ける皆でした。

その後 吹奏楽部員が退院して復帰したので 野球部の応援演奏はお役御免となりましたが、練習したジャズの演奏を成し遂げたくなり スーパーの客寄せ演奏も成功したので益々ハマっていく一同です。
雪が積もる頃「東北学生音楽祭」の募集があり、出演を目標に一丸となって練習に熱が入ります。ところが応募用のビデオテープを 友子が送り忘れ、遅れて送るも 先着順に締め切らた通知が来ました。

皆に申し訳なく なかなか言い出せないまま 音楽祭当日を迎え、会場へ向かう列車は 雪原の中を進んでいます。
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皆が浮かれる車内で 一人浮かない顔の友子は、皆と離れて隣の車輛に移動します。
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乗り物酔いになったのかと 中村が寄り添いますが、友子は音楽祭に出られないことを告白します。
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その時突然 雪原の真ん中で 列車は停止してしまいます。
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車掌が「積雪による倒木の為停車しています 復旧の見通しは立っていません」と放送したので、皆は大騒ぎです。更に中村が友子の告白を伝えたので、演奏会用のジャケットを脱ぎ捨て 皆大荒れです。

乗客の一人が携帯ラジオを掛けると、ジャズナンバー(A列車で行こう)が流れます。それを聞いた関口香織(本仮屋ユイカ)が担当のトロンボーンを吹き出します。
すると斉藤良江(貫地谷しほり)がトランぺットを合わせ、他のメンバーも続いて 落ち込んでいる友子にも 中村がテナーサックスを渡して車内演奏会となりました。
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ピアノ担当の中村は 指揮者となっていましたが 外の異変に気付き窓を開けると、並行する道路にバスが停車して 吹奏楽部の伊丹弥生先生(白石美帆)が迎えに来てくれたのでした。
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山形鉄道YR-881の窓から 救援バスを見た皆は大喜びです。
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大雪で来られなくなった東高の代わりに出演できるそうで 演奏会用のジャケットを車内に忘れてしまいますが、ギリギリ間に合った 音楽祭での演奏は大成功となりました。








PS.
 本作は公開が比較的近年なので ロケ地については 地元の(おきたま応援サイト)を始め、色々なサイトで紹介されていますので 今回はそれに沿って進めます。
 先ず友子達が居眠りして 降りそこなった駅は、山形鉄道の起点である赤湯駅だそうです。4番線がヒントでしょうか。故に途中駅ではありませんが、降車客が多いので使ったのでしょうか。

 次に隣の駅として皆が降りたのは、赤湯から4つ目の梨郷駅とのことです。周囲に何も無い感じで選ばれたのでしょうか。
 そして線路を歩いて戻ろうとしたら いつの間にか気動車が目前まで迫っていたシーンについては、漫画チックなコメディ映画として あえて触れずにスルーします。

 さて終盤の冬季場面で 列車が道路と並行する地点で倒木による運転停止となりますが、ここは白兎駅から羽前成田駅方向へ 少々進んで地点だそうです。
 山形鉄道では1988年10月に JR長井線から転換開業時に新製された YR-880形6輌と2年後に2輌増備されましたが、2003年と2015年に 一輌ずつ廃車されて6輌で運行されています。
 雪で立ち往生した時 メンバーが乗車していたYR-881は、2003年11月末 初の廃車輌となっています。この冬季ロケが行われたのは2004年2月なので、最後の画像は 車内演奏会と同じ荒砥駅構内で撮った様です。

公開前年5月にオーデションで集められた17人が ゼロから始めた猛特訓で、僅か3か月後の8月に撮影されたラストシーンの演奏は 感動を呼ぶ素晴らしさに溢れています。


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コメント


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スゥイングガールズ

ページを開けて、一瞬目を疑った。
他のサイトへ勝手に移動したのではないかと。
いや、やっぱりテツエイダさんだ。

昭和の匂いを深く漂わすこのブログでは珍しく最初の「平成」作品ではないだろうか。
調べてみると前回の「傷だらけの天使」も平成なのだが、私にとってはこれが初めての「平成」映画に見えた。

とにかく、この映画はどこにでもいそうでどこにもいない女の子たちが活躍する「×××ガールズ」の先駆けとなった作品で、ほとんどのガールズものはこの映画からアイディアなどを盗んでいると言っていい。

矢口史靖氏は現在(小生が)最も贔屓にしている監督の一人で、特に「ひみつの花園」(1997年)は底抜けに楽しく、呆れるほど面白かった。

このスゥイング・バンドは全国的に有名な兵庫県の高砂高校をモデルにしているらしい。
上野樹里も兵庫県加古川市出身で、高砂市と加古川市は隣接していてツイン・シティを形成しています。

高砂高校ジャズバンドを実際に生で聴いたことがあり、ホールの窓ガラスが割れそうなほど迫力がありました(また、映画のように部員もほぼ女生徒だけで男子は1名だけだった)。

平成になってカメラもフイルムも向上したのか、どの車内シーンを見ても明るく鮮明ですね。

昭和時代の鉄道シーンにありがちな、救われない暗さや居たたまれない哀愁はどこに消えちまったんだ!

JRの駅構内や車内で「大声で騒ぐこと、《楽器を演奏すること》、音楽を流すことなど」は違法行為ではないだろうか。

停車中とはいえ、オーケストラ演奏をするなんて!
車掌は注意しなかったのだろうか。 

赤松 幸吉 | URL | 2020-02-01(Sat)16:21 [編集]


観ました

ごぶさたしてました。
これ、珍しく映画館で観ましたよ。
面白かったですよ。
このガールズバンド、放送局のイベントで実際に演奏してました。
え?車掌は注意をしなかった?
そこが映画っちゅうもんです(笑)。

つだ・なおき | URL | 2020-02-01(Sat)21:34 [編集]


Re: スゥイングガールズ

 赤松様 コメントありがとうございます。

 現在300回記念で 近年公開作を特集しておりますので、通常の昭和作品は 3月までお待ちください。

 本作のモデルとなった 高砂高校ジャズバンドを実際に生で聴いたことがあるそうで、貴重な御体験だったでしょうね。

 10枚目の画像や車内演奏会など ご意見は色々ありましょうが、矢口監督の作品なのでご容赦くださいませ。

テツエイダ | URL | 2020-02-01(Sat)22:28 [編集]


Re: 観ました

つだ・なおき様 コメントありがとうございます。

 本作公開後もフジテレビ出演や公開イベントで、同年末まで何回か演奏を行った様ですね。

 それにしても あの短期間で、あの演奏とは驚きですね。

テツエイダ | URL | 2020-02-01(Sat)22:34 [編集]