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日本映画の鉄道シーンを語る

日本映画における鉄道が登場する場面(特に昭和20~40年代の鉄道黄金期)を作品毎に解説するブログ

302.傷だらけの天使

1997年4月 松竹富士 配給 公開  .製作 吉本興業 電通ヤング・アンド・ルビカム   カラー作品   監督 坂本順治

死にかけたヤクザ倉井拓也(三浦友和)に頼まれ子供を 別れた母親の所へ届けるハメになった 探偵 木田満(豊川悦司)が、次々ピンチが巻き起こる 相棒との旅道中を 人情味豊かに描いた コミカル・ロードムービーです。

相棒の石井久(真木蔵人)に同行を断られた木田は、倉井蛍(類家大地)を連れて 夜行バスで早朝宮古駅前へ到着します。
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ところが母親は 既に八戸へ、引っ越ししていました。
三陸鉄道の宮古駅から八戸へ向かうべく、36-100 形式内燃車に乗ります。
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駅でも車内でも蛍は、度々神経性の腹痛を発症して木田を慌てさせるのでした。
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野田玉川駅らしきで途中下車して 診察してもらいますが、大したことはない様でした。
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その後木田は食堂で 同級生の保(みちのくプロレス社長 ザ・グレートサスケ)と再会し、欠場者の代役で試合出場までします。

中盤 石井が母親探しに加わり 八戸駅前で出てきた立花英子(原田知世)に、蛍が反応したので 声を掛けますが人違いでした。
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そして漸く 母親である中津和江(余貴美子)に会えますが、再婚を控えて 引き取りを拒否されます。

それから 七戸に住む倉井の父親錠治(菅原文太)を訪ね、蛍を引き取り育てることを 同意してもらえました。二人は帰京すべく 南部縦貫鉄道七戸駅へ喜びながら駆け込むのでした。
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レールバスに乗る段になって どちらが先に乗るか譲り合って、後ろに地元の人を待たせています。
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車内では仕事が片付いて、二人共寛いでいます。
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そこへ蛍が走って見送りに現れ 父親の消息を尋ねますが、木田はそれには答えず お気に入りのサングラスを記念にあげました。400-9.jpg
やがて発車のベルが鳴り、エンジンを吹かしてレールバスは動き出します。
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蛍はホームの端まで走って見送り、二人も窓から顔を出して 応えました。
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レールバスは踏切を過ぎ
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4輪単車独特の 走行音を響かせながら、七戸川橋梁を渡って 野辺地へと進みます。
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野辺地駅の跨線橋で 木田は青森方面ホームへ行こうとして、
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石井から指摘されて 盛岡方面の上りホームへと下ります。通って来た南部縦貫鉄道への 連絡部分は木造で、幅も半分程度しかありません。
やがて盛岡行の特急はつかり号が到着し 石井に続いて木田も乗りますが、木田は直ぐに引き換えして 降りてしまいます。
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デッキで石井は怒りますが、ドアが閉じて発車して行きました。

木田のいる3番線から向かいの4番線を見ると、英子が仕事道具と共に立っています。英子は「大湊から・・次 青森・・」と木田に伝えます。
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木田は英子に付いて、雪降る青森駅へと やって来た様です。
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英子は木田が付いて来るかな と振り返ると、後ろから「道 外れろよ」と木田が声を掛けます・・・






PS.
 
 東京から宮古に住む 母親の所へ行くのに、夜行バスを使います。当時の時刻表に依ると 京浜急行電鉄と岩手県北自動車の共同運行で、品川BT 21:00発で宮古駅前に 6:45到着でした。
 宮古の駅そば らしきを食べ 母親が八戸へ転居したので、三陸鉄道北リアス線宮古 9:04発 109D久慈行に乗ったと思います。途中 蛍が腹痛を発症し、10:25野田玉川駅らしきで途中下車して受診します。

八戸駅は2002年12月の東北新幹線延伸開業に向けて、駅舎・構内の全面改築・改造が行われて本作ロケ時の面影は有りません。その他八戸線の陸奥湊駅界隈でもロケが行われています。

 南部縦貫鉄道は当時1996年度末での休止が決まっていました。1996年12月初旬にキハ102レールバスを、貸し切ってロケが行われた様です。翌年になるとファンが押し掛ける様になり、4月1日~5月5日まで営業を延長したとか。
 富士重工で製造されたレールバスのキハ101と102は、1962年10月の南部縦貫鉄道開業時から 1997年5月の休止となるまでの全期間走っていたそうで 正にギリギリのタイミングでのロケでした。
 願わくば 北海道の簡易駅の様な、板張りホームの盛田牧場前駅でも ロケをしてほしかったです。(1978年に訪れ レールバスにピッタリの雰囲気に、感動した思い出があります)

 
 

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