
大阪の旧家で育った四姉妹の内 未婚の三女雪子(山本富士子)と四女妙子(叶順子)の、青春期人生を中心に描いたホームドラマです。
冒頭 京阪神急行電鉄 神戸本線 芦屋川駅へ、920系の 975を先頭の4連が到着します。

1957年完成した高架化工事に伴い改築した新しい駅舎から、

雪子が降りてきて次女幸子(京マチ子)が住む分家へ向かいます。
幸子は音楽会へ向かう為、妙子に着物の着付を手伝ってもらっていました。大まかに出来上がった折に出掛けた妙子は 外に待たせた啓ボン(川崎敬三)の車に乗って、単線を走る京阪神急行電鉄の300形 2連電車とすれ違います。

中盤 大水害の折に写真家の板倉(根上淳)に助けられた妙子は、彼と付き合い出しますが啓ボンとも手を切れません。とある第四種踏切で板倉を待ち伏せしている啓ボンの前を京阪神急行電鉄の電車らしきが通過して行きました。

終盤 奥畑家から勘当された啓ボンは、幸子の婿 貞之助(山茶花究)の計理士事務所に現れます。窓から大阪市電が走る様子が見えています。

そして妙子に貢いだ金銭を、少しは都合付けてほしいと集るのでした。
その後 板倉が急死して荒れた生活を送る妙子は、バーテンの三好(北原義郎)と結婚すると雪子に告げます。散々妙子に迷惑を被った雪子ですが、全てを許し全員が賛同する様に姉たちとの仲を取り持ってあげます。
分家で雪子が二人の姉を説得していると、長女鶴子(轟夕起子)を嫌う妙子は三好が待つ芦屋川駅へ行ってしまいます。

三好と妙子が改札口から入場する頃、雪子は慌てて駅へ向かいます。
到着した電車に二人が乗ろうとする頃


雪子はホームへの階段を上がり、ホームで二人を見つけて閉じられたドアへ近寄ると「東京の姉ちゃんも賛成してくれてる 部屋が決まったら直ぐ戻ってくるんやで わかった?」


車内の二人は笑顔で、妙子は雪子に「わかった」とドア越しに伝えました。妙子に思いを伝えきった雪子は、笑顔で去り行く電車を見送るのでした。

PS.
妙子が人形教室に待たせている生徒の処へ行くと嘘をついて乗り込んだ啓ボンのオープンカーが、すれ違った阪急の300形が走るロケ地が不明でした。単線なので嵐山線か甲陽線でしょうか。
細雪に関するブログを書かれていた keyboar様のブログに依ると、甲陽線 苦楽園口駅から甲陽園に向けて出発した電車が夙川を渡り 踏切を越えた辺りだそうです。
現在の地図では夙川を渡って最初の踏切で交差するのは夙川さくら道ですが、作中で交差するのは現在の県道82号線で 当時はここがT字路交差点だったと思われ 啓ボンの車はここで左折している様です。
啓ボンが板倉を待ち伏せしていた踏切は、啓ボン背後に立つ信号柱の位置と 続いて夙川公園のシーンがあることから夙川駅を出発した甲陽園行の二つ目の踏切と思われます。
啓ボンの背後に立つ信号柱は夙川駅へ向かう電車にとって最後の信号の様で、現在でも同じ位置にあります。

そして甲陽園行は、この踏切から下り勾配なのも同じです。
電車の走行音は現物ですが、出発時の警笛は後付けの気がします。(作中では警笛から電車登場まで12秒程ですが、現状では25秒程掛かっています)


