
国鉄の専務車掌 長谷川吾一(フランキー堺)が乗務する急行列車で遭遇するトラブルや、三角関係のロマンスを描いた 歌謡コメディ映画です。
冒頭 早朝の米沢駅をEF71形電機に牽かれて出発した列車内で

長谷川がB寝台車の乗客に挨拶していると、

女性からガーターベルトの修理を 腕章の安全ピンで頼まれます。
3段式寝台の下段に座った女性の横で修理を始めると、上段の男が覗いてきました。

男が女性の連れ合いなので断り通路を進むと、寝台解体中の乗務掛木下信作(森田健作)がいます。

続いて 開店準備中の食堂車へ進む長谷川ですが、

あれこれ指図するので

ウエイトレス嬢やチーフの矢代大吉(伴淳三郎)と揉めてしまうのでした。

列車は山形・秋田都停車して、DD51形内燃機で弘前へと到着します。

ここで乗務終了となった様で、ラッセル車が並ぶ構内を抜けて車掌区へと帰り タイトルクレジットとなります。

序盤 朝日をバックに DD51形内燃機に牽かれた 10系客車列車が橋梁を渡り、

食堂車内では現在地表示板が映り

矢代の娘綾子(早瀬久美)が今日からここで働くのでと張り切っています。

そして上野駅 14番線らしきに電機に牽かれて到着します。

続いて出発列車案内板がずらりと並ぶ 6:32頃の中央改札口が映ります。

戻りの夜行列車内でしょうか、食堂車では怪しい言葉を話す三井高治(藤村有弘)やハエが気になる夫婦(京唄子・鳳啓介)が絡んだドタバタ劇が入ります。

中盤 食堂車では県議の荒尾徳三郎(由利徹)が注文した品を忘れるトラブルが起こり、更に幼なじみの芸者さくら(倍賞千恵子)から求婚もされて先行きを悩む長谷川です。
そのさくらから団体旅行への参加を誘われますが 長谷川は法事があるからと断り、惚れ込んだ原かおり(佐藤友美)を秋田の竿灯祭り見物に誘うのでした。
当日 弘前駅ホームの売店で買い物をしていると、秋田行お座敷列車による団体旅行の一員として さくらも乗り込みます。車内では発車直後から、酒も入って賑やかな様子です。

隣の普通車の席では、かおりと並んで笑顔の長谷川です。

お座敷列車内では、都はるみの歌もあって更に盛り上がっています。列車は矢立峠越えがあるので、D51形蒸機が重連で牽いているのでしょう。

そして何故か最後にC11形蒸機が 10輛程の客車を牽いている走行シーンが入って、秋田駅に到着し 観光地巡りが始まるのでした。

その後 かおりにプロポーズする長谷川ですが、国鉄を辞めて婿入りするのが条件だと言われてしまいます。28622が入換作業を行う構内を、どう返事するか悩みながら歩く場面へと続きます。

結局 体よく振られた長谷川ですが、強引なさくらに押し切られ 結婚することになりました。 DD51形内燃機が牽く急行列車が映り、

長谷川が勤務する車掌室に乗客掛・食堂車の面々がお祝いに駆け付けます。
既に解体されたB寝台車の通路で掃除中の木下に「お前か 皆に言いふらかしたのは」と聞くと、

さくらが勤務姿が見たいと乗客として乗っていて 長谷川に絡むのでした。
さくらに付けられたキスマークに気付かずに 女性グループに笑われながら、内燃機に牽引された列車の 後部が去り行くシーンでエンドマークとなります。

PS.
冒頭の長谷川が乗務する列車は 早朝 米沢を出て山形・秋田を通り弘前へ着くので、上野 22:22発405レ急行津軽2号 奥羽本線廻り青森行が思い浮かびます。当時は山形まで前年に電化され、奥羽本線全線電化される 1975年まで DD51形内燃機が活躍していました。
しかし当時この列車を含む 上野発の奥羽本線夜行列車にはには、板谷峠越えの関係か 食堂車は連結されていませんので架空列車です。本作では寝台車と共に食堂車での出来事が重要な要素なので、この様な設定となったのでしょう。
上野発の奥羽線廻り青森行夜行列車に 戦前は和食堂車が連結されていましたが戦中に外され、戦後寝台車が復活しても そのまま食堂車は復活せず 本作公開時には1本もありませんでした。
秋田~青森で当時食堂車を連結していたのは 昼行の特急白鳥と夜行の特急日本海・急行きたぐに号で、いずれも大阪~青森を結ぶ 日本海裏縦貫列車3本だけでした。
1970年7月20系の特急あけぼの号が新設されて 漸く食堂車が付きましたが、5年と続きませんでした 営業的には厳しい状況だったのでしょうか。
寝台車での撮影はセット撮影に見えないので、津軽2号の秋田で切り離す予定の寝台車を 1輌残してもらいロケを行ったのかもしれません。食堂車内の映像は、セット撮影の様です。
機関区構内でのロケは、弘前機関区で行われた様です。またお座敷列車が登場しますが 当時盛岡局に2輌しか存在せず 、秋田局で借りた車輌を使用後に 客車区で清掃前に借りて撮影したと思われます。
C11形蒸機が 10輛程の客車を牽いている走行シーンは、男鹿線で毎朝走っていた 通勤通学用の列車と思われます。比較的平坦線なので、小型蒸機のC11形でもなんとか牽いていた様です。
※ 300回記念号を前に、296~299回をカラー作品特集とします。 300回記念号は あの有名作をとりあげ、その後に1970年代以後の少し昔の作品特集を行います。
50回記念号(若い瞳)等で登場した八千草薫さんが亡くなりました ご冥福をお祈り申し上げます。
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