
華北の戦地で軍医 関三郎(上原謙)と娼婦 矢吹秋子(久慈あさみ)が恋仲となるが生き別れ、5年後に神戸で再会するも悲劇に向かう恋愛映画です。
闇屋の亀山達吉(河村黎吉)に秋子の消息を聞きに来た関は、地図を描いてもらい事務所を出ます。そして外階段を下りると前方の高架線上を、国電40系らしき5連が走っています。先頭は半車 進駐軍専用の白帯車ですね。


高架下にある事務所から外出した亀山を小田切利夫(川喜多小六)が尾行する場面があります。 国鉄の高架線沿いの大通りを渡る亀山を小田切は少し距離をおいて尾行していき、その先には戦地での負傷から弱視となった関がいました。

軍隊で部下だった小田切が闇商売で警察に捕まったので関が保釈金十万円を亀山に借りに行くと、偽薬製造への協力を条件に出してくれました。ところが亀山は保釈金を自分が出したと騙し、小田切に兵庫駅での抜け荷の手伝いを命じるのでした。
亀山の悪事を聞いた関は小田切を救おうと秋子に「夜明けには戻る」と告げて出掛けますが、秋子の相棒 ぎん(利根はる恵)には「あんた 帰って来ないつもりなんでしょ」と見透かされています。
明け方4時を構内時計が指しています。


4:38に到着する貨物列車から荷を盗む段取りを、亀山が小田切に説明している所へ弱視の関がやって来ます。

悪事を止める様 関は二人を説得しますが聞かない様子の一同背後を、D50形らしき蒸機牽引貨物列車が轟音と共に通過して行きます。

関を振り切って二人は停車している有蓋貨車の所へ行くと、

振り切られた関が「君の保釈金は僕が出したんだ」と大声で伝え、騙されたと気付いた小田切は亀山に掴み掛かります。

更にレールにつまづいて倒れながらも叫び続ける関です。

その時 転んでいる関の後方から、D50形蒸機が接近して来ることに関は気付いていません。

小田切と亀山の掴み相が続いていると、

突然 非常汽笛と関の叫び声を聞いてしまうことになります。
現場検証が行われている線路の端には、関の手帖と挟まれていた夜来香の押し花が悲し気に落ちているのでした・・・


PS.
最初 亀山商事は元町辺りらしき東海道本線の高架下に事務所がある設定の様でした(事務所内はセット)

しかし秋子の消息を聞きに来た事務所は、線路から離れたビルの2階の様です(室内は同じセットを使用?!)
戦時中までに京都から西明石まで電化されていましたが、亀山商事が高架下にある長距離列車が走る列車線を蒸機牽引列車が走る姿が映っている場面もあります。
兵庫駅の貨物取扱は当時 鷹取機関区のD50形蒸機が担当していた様です。 また蛇足ですが息が白い季節に早朝 4:38着の貨物列車から、抜け荷を行う設定の脚本には無理があると思えます。(6時半頃が妥当でしょう)
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