
ひょんなことから高校生の男女が二人だけで旅行へ出掛けることになり、行く先々での出来事を二人で乗り越えてゆく青春映画です。
修学旅行へ参加せず その期間葉山光夫(太田博之)と安田明(富松千代志)が気ままな旅をする計画を立てますが、クラス委員の宗片紀子(太田雅子)に知れて3人で行くことになります。
いよいよ出発の朝 先ず東京駅14番線から 8:54に出る、急行第一伊豆号 伊豆急下田・修善寺行の案内板が映ります。

14番線では葉山と紀子が、未だ来ない安田を不安そうに待っています。

その時 階段を安田が「オーイ」と、声を掛けながら駆け上がって来ました。

ほっとした二人が電車に乗ろうとすると、安田が「バイトで行けなくなった 悪いけど二人で行ってくれ」と言います。

急行第一伊豆号の発車時刻が迫ったので、驚く二人を安田はデッキに押し入れ「元気でな」と気楽に見送ります。

157系急行第一伊豆号はゆっくりと発進して行きました。

電車が動き出しても安田は「元気でな」と言いながら手を振っていますが、これは153系の半車ビュッフェ車輛サハシ153形の様で ウエイトレス嬢が整列をしている模様ですね。

更に次の車輌はサロ152形の様なので、この列車は 8:30 発 101M急行六甲号 大阪行と思われます。この場面は何故か、六甲号で撮影された方が使われた様です。
続いては車内シーンで、車掌(桂小かん)に依る検札が始まりました。

葉山は紀子とアベック旅行の様な形となったので、落ち着かなくキョロキョロしています。
すかさず紀子が「脱走囚みたいな顔だと怪しまれるわよ」と声を掛けると、「わかってるよ」とイラついた様子です。

そんな二人の心を前席の大沢夫(大森義夫)妻(小夜福子)が和ませてくれます。

やがて熱海で分割された急行第一伊豆号の後ろ半分(8号車~13号車)は、三島から伊豆箱根鉄道駿豆線に乗り入れ終点の修善寺駅へ到着します。

高い位置から駅舎を俯瞰したシーンでは、現在より2代前の木造駅舎と周辺が映っています。

二人は伊豆半島を周遊する内にケンカ別れしたり、不良に襲われたのを元三(中村是好)に助けられたりします。
ところが元三の娘 カズエ(工藤富子)が紀子の家に手紙を出したことから冒険旅行が親に知れることとなり、紀子の両親と葉山の母親が下田温泉ホテルへ駆け付けますがチェックアウトした後でした。
帰路に就いた二人は又も 157系である下田始発の東京行 急行第一伊豆号らしきに乗車していて、先ずは根府川にある有名な白糸川橋梁を渡る様子が映ります。

車内では葉山がデッキの方へやって来て


紀子がいたのを見付けると、「どうしていなくなったんだ」と咎めます。

PS.
東京駅でのロケは 8:30発の急行六甲号から始まった様で、不安顔で安田を待つ二枚目の画像で横に映っているのは 153系と思われます。
安田が到着した3枚目の画像では、157系の一等車サロ157形3号車のデッキ付近で待っています。しかし1号車~7号車は伊豆急下田行なので、修善寺へ向かうなら8号車以後でなければ・・・
しかも急行伊豆号は当時看板列車なので、全車指定列車でした。当然指定席急行券を持つ葉山達が、3号車付近で安田を待つのが分かりません。
157系は1959年に特急同等の設備を持つ特別準急日光号としてデビューし、東海道本線大阪行特急ひびき号としても使われ新幹線開業後の1964年11月より急行伊豆号として働きました。
この時下田行・修善寺行共に一等車を2両ずつ連結する豪華編成でした。でも非貫通構造なので3号車デッキから乗ったのでは、発車後では8号車以後の修善寺行へ移動できませんね。
153系の準急伊豆号から急行伊豆号へ昇格した折に特急同等の車内設備の 157系となり、急行とは思えない豪華車輌となりました。しかし4年半後には 157系は特急あまぎ号へ移行し、伊豆号は元の 153系電車に戻されてしまいました。
157系での車内シーンは二等車を一両貸し切りにして、エキストラを座らせて撮影したと思われます。進行右側の席は前向きで座り、葉山達左側の席は全て向かい合わせに回して座るなど有り得ません。(今回は色々突っ込み過ぎですね!)
安田の見送り場面に映っているサハシ153形でウエイトレスがホームへ向かって立っているのは、食堂車職員の伝統行事に準じた始発駅発車の際の整列してのお辞儀の模様と思われます。
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