日本映画の鉄道シーンを語る

日本映画における鉄道が登場する場面(特に昭和20~40年代の鉄道黄金期)を作品毎に解説するブログ

 28.波の塔 

 1960年10月  松竹 製作、公開  カラー作品    監督 中村登

 青年検事 小野木喬夫(津川雅彦)と政商の妻 結城頼子(有馬稲子)の不倫悲恋映画です。

 鉄道シーンは冒頭と終盤にあり、漸く近代化が始まったころの中央本線が舞台です。
 冒頭に某省 局長の娘 田沢輪香子(桑野みゆき)が D51383 牽引の列車で上諏訪に降り立つ場面があります。28-0.jpg

 それなりに近代化が進んだこの当時、難儀な蒸機牽引列車で東京から来るとは遠い地方を強調する演出かな?

 明るい時間帯に上諏訪到着の優等列車は4本あり、その内新しいDCは2本。更に客車準急穂高1号は甲府~松本DE50×2牽引なので除外。
 局長のお嬢様がドン行で来る訳ないので、新宿 10:00 発の臨時準急 穂高2号と思います。この列車は7月21日~8月27日と9月23,24日運転の臨時便で、撮影時期と合っています。
 準急列車なのでオロ35 1等車が連結されていますが臨時列車故に、新宿~甲府は EF13 牽引で他の客車準急と変わりませんが甲府~松本が D51 蒸機牽引なのです。
 新宿発が 10:00 と手頃なので乗ったのかも知れませんが、上諏訪到着は 14:46 と温泉旅館へ入るには丁度いい時刻です。

 終盤 小野木と頼子は共に不倫が発覚したことから居場所が無くなり、東京駅で待ち合わせて駆け落ちかと思わせます。
 しかし頼子は小野木との約束を破り、新宿発 22:45 の準急穂高3号28-2.jpg
 2号車オロ35 1等座席に座ります。自らへのケジメとして一人で富士の樹海へ入る決意をしたのでした。28-3.jpg

 それでも発車のベルが鳴り始めると東京駅で待つ小野木のことが気になるのか席を立ちデッキへ行きますが、28-5.jpg
発車間際で乗り込んできた登山客に阻まれ降りられません。

 準急穂高3号は1号車にナロハネ10 寝台車 2号車にオロ35 1等車を連結した夜行客車準急で、前名の準急アルプス時代の1956年5月からナハネ10寝台車が付いています。
 1960年4月アルプスから穂高3号となり、その後臨時列車化され1965年10月よりEC急行となり客車準急 穂高は消えました。
 しかしこれは1965年10月から上高地と名前が変わっただけで列車の内容は変わっていません。なお寝台車はオロハネ10 1等車はオロ61でした。
 1966年3月からは急行上高地となりましたが、1968年9月末をもって長く続いた中央東線の夜行客車優等列車の歴史に幕を降ろしました。
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