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日本映画の鉄道シーンを語る

日本映画における鉄道が登場する場面(特に昭和20~40年代の鉄道黄金期)を作品毎に解説するブログ

269.サムライの子

1963年2月 日活 製作 公開   監督 若杉光夫

北海道 紋別から小樽の貧乏部落へ移った田島ユミ(田中鈴子)が、周囲の応援もあって困難な生活にも負けずに家族と共に成長する姿を描いた映画です。

紋別の祖母 松下すぎ(武智豊子)に預けられていたユミは、迎えに来た父 田島太一(小沢昭一)と共に小樽の市営住宅へ引越すことになりました。
名寄本線 元紋別駅で 祖母・先生・同級生達の見送りを、キハ07形らしき気動車の窓を開けて受けています。
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別れを惜しみながら列車が動き出すと、先生から忘れていた転校先へ出す書類を渡されました。
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やがて C57形蒸機らしきに牽かれた列車が、小樽駅3番線へ到着します。
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この列車は小樽止まりで、2両目は一・二等合造車のスロハ32形の様です。
田島は列車の最後部からホームを出口とは反対方向へと、ユミを誘導して小走りで急ぎます。
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そしてホームから線路へ降りると、斜めに横断しながら「早く早く!」とユミを急かして走ります。ユミは疑問に感じながらも後を追います。
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その時 車掌が二人に気付き、「あんたら何してんだ、待て~」と言いながら追い駆けて来ました。
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ユミは小さいながら、必死で父親の後を追い掛け 走るのでした。
続いて 小樽の街中を蒸機牽引列車が走り、
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踏切で田島親子が開くのを待っています。ユミが「切符買わなかったのか父ちゃん」と聞けば、
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「買ったさ!」「じゃ何故改札から出なかったの?」「近道したんだ」ユミは「ふ~ん」と訳知り顔で微笑みます。





PS.
   元紋別駅は1989年4月末をもって廃線となった名寄本線に存在した駅です。ロケ当時は札幌への直通急行列車 紋別号も1往復走っていました。

   二人が乗車したのは車体中央部にも出入り口があるので、戦前製のキハ07形の様です。九州鉄道記念館にも同型が保存されていますが、丸形の先頭部が映っていないのが残念です。

   二人の行程を推察すると、元紋別 7:24 --(622D)-- 10:01 名寄 10:16--(326D)-- 12:21 旭川 12:27--(142レ)-- 17:23 小樽  二人がホームから 逃げる場面の陽の明るさと合いませんが、そこは大人の事情ということで・・・

   当時 日中に上り小樽終着の蒸機牽引列車は、10:45着の富良野始発 424レと 12:55着の名寄始発 316レの2本が他にあるだけです。 このうち一等車(半室ですが)を連結しているのは 316レだけなので、ロケはこの列車で行われたと思われます。


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