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日本映画の鉄道シーンを語る

日本映画における鉄道が登場する場面(特に昭和20~40年代の鉄道黄金期)を作品毎に解説するブログ

267.牛乳屋フランキー

1956年12月 日活 製作 公開   監督 中平康

経営が傾いた親戚の牛乳店を救うべく上京した堺六平太(フランキー堺)が、顧客獲得の為 奮闘する姿を描いた ドタバタコメディ映画です。

冒頭 堺は地元の大日本鉄道 長州追分駅頭(架空鉄道&駅)で、鼓笛隊付きの盛大な見送りを受けています。
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祖父 堺小五郎(フランキー堺:二役)の長い挨拶の途中 蒸機の汽笛が鳴り響くと、「おぅ陸蒸気の出立じゃ」と時代掛かったことを言います。
続いて万歳の掛け声と共に
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8620形らしき蒸機が牽引する列車が、{ちょうしゅうおいわけ}と駅名板が掛かったホームを出発して行きタイトルとなります。
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親戚の杉香苗(坪内美詠子)が営む杉牛乳店を立て直すべく奮闘し 顧客を増やす堺ですが、杉家の借金返済に窮すると祖父 小五郎も上京して来ます。
頼りにならない祖父でしたが顧客の南郷隆盛(澤村國太郎)と旧知の仲であったことから返済の援助をしてもらい、堺は顧客の映画助監督 松原善吉(宍戸錠)と南郷の娘 英子(南寿美子)との仲を取り持ちます。
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東京駅 8番ホームで発車を待つ鹿児島行急行列車では、新婚旅行へ向かう松原・英子と共に帰宅する祖父 小五郎までが同じボックス席に座って南郷の見送りを受けています。
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列車が動き出したところへ、階段を駆け上がった映画女優の丹下キヨ子(実名)がやって来ます。
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そして列車と並走しながら小五郎に花束を押し付ける様に渡し、松原にケーキの箱を渡すのでした。
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やがて立ち止まると、晴れ晴れとした表情で見送っています。
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続いて田町の札ノ辻橋らしき上では、堺を始め杉牛乳店の面々が列車を待っています。やがて EF58形電機を先頭とした列車が現れ、
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皆が手を振ると英子・小五郎・松原の順で並ぶ3人も手を振り応えます。
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列車が橋の下に差し掛かると皆は橋の反対側へ走り寄り、去り行く3人に向かって叫んでいるのでした。
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PS.

  堺の盛大な見送り場面のロケが行われたのは、御殿場線の谷峨駅の様です。2000年に改築される迄 駅舎は変わることなく存在していた模様です。
  発車して行く蒸機は 8620形の様ですが、時代掛かった見送り場面に見合う様 当時沼津区に5年間だけ在籍したハチロクを使ったのでしょうか。

  東京駅から出る鹿児島行の列車と言えば、12:35発の急行きりしま号と 21:30発の急行 筑紫号の2本です。ですから当該列車は、35レ急行 きりしま号となります。
  しかし 8番線は主に普通列車や臨時列車の発着に使われ、きりしま号は、当時 14番線発車でした。想像するに回送引上げの列車に鹿児島行のサボを取り付け、ロケを行いながら品川客車区迄走らせたと思われます。


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