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日本映画の鉄道シーンを語る

日本映画における鉄道が登場する場面(特に昭和20~40年代の鉄道黄金期)を作品毎に解説するブログ

253.ラッキーさん

1952年2月 東宝 製作 公開   監督 市川崑

南海鉱業で皆からラッキーさんと呼ばれる若原徳平(小林桂樹)が我儘な秋葉社長(河村惣吉)の秘書となり、恋より仕事第一で奮闘する姿をユーモラスに描いたコメディ映画です。

社長秘書の同僚 町田泰子(島崎雪子)親子と帰宅途上の山手線内で、若原が社長から「君もパーマネントかけたら」と言われたことを泰子から冷やかされます。
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渋谷で若原が降りるところでこの場面は終わりますが、
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車内の様子からセット撮影の様です。でも冬季の設定なのですから、外が明るい内に帰宅途上とは・・・

社長秘書として数々の難題をこなしていく若原の通勤風景を映した場面で、東京駅丸の内南口前を横切る都電31系統(三ノ輪橋~都庁前)らしき電車が映ります
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当時この付近の停留所名は(東京駅)乗車口で、昭和40年代に丸の内南口に変更された様です。形式は6000形か3000形か不鮮明ですが、中央郵便局方向から映しています。

終盤 株主総会が開かれ 会社首脳の人事に皆の関心が集まっているところへ、給仕の井上大助(井上大助)が情報をもたらします。
会社首脳に変動はありませんでしたが、若原は四国第三鉱業所へ所長として転勤することが発表されます。

いよいよ若原が四国へ旅立つ日 東京駅のホームには会社の同僚が大勢見送りに駆けつけてくれて、別れの挨拶をしています。253-5.jpg
ところが見送りに行くと言っていた、社長が未だ来ていません。
そこへ階段から正装の男が現れたので、
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井上が思わず「あっ!」と叫びます。
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ところが駆けつけたのは、日頃 社長の代理として冠婚葬祭に出席している泰子の父 町田です。

そして「社長が参る予定でしたが、所要で不肖私が代理でお見送り致します」などと言うので、
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若原は溜息を吐き「ご丁寧にありがとうございます」
でも井上が「これ つまらないものですけど」と 記念品を差し出したので、元気を取り戻した様子です。
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駅員が客扱終了合図のカンテラを振り、
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汽笛が鳴って広島行の急行列車は発車して行きます。
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並ロ二等車に乗った若原は、おもむろに受け取った記念品の包みを開けます。すると出てきたのは、シガレットケースでした。
そこで向かい席に目をやると、老紳士がパイプをくゆらせながら洋雑誌(LIFE)を読んでいます。
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そこで若原は煙草をケースに入れようとしたのを止め、火を点けて 向かい席の男より更にふんぞり返って吸い始めました。
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PS.
  若原が乗った広島行急行列車は、21:30 発の 39レ急行安芸号の3号車オロ40と思われます。本作公開の前年9月までは宇野行のせと号を併結していたので納得ですが、ロケ時は 3039レ急行せと号は22:00発で、大社行いずも号との併結編成でした。

  四国へ向かうのに何故 広島行に乗ったのかを推理すると、目的地が愛媛県の今治周辺と仮定(妄想)してみます。急行安芸号は翌日 尾道に 13:33頃到着します。尾道港を 14:00に出港する瀬戸内海汽船に乗ると、今治港へ 16:50に到着します。

  一方 急行せと号に乗ると終点 宇野に翌日 13:45到着し、13:58発の宇高連絡船に乗り換え 15:08に高松へ到着です。更に高松 15:21発の5レ準急せと号 宇和島行に乗り継ぎ、今治へは 18:18の到着です。それで急行安芸号に乗ったのかもしれません。
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コメント


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ラッキーさん

市川崑監督のウイットとユーモアでサラリーマンの哀感を描いた好編。

ストーリーの進行役(狂言回し)として井上大助(給仕)の使い方が巧い。

島崎雪子はこの映画のような「そこいら」のOL役には勿体ないほどで、本来は男を手玉に取るバンプ(vamp)の方がおハコ、売り物なのだが、いづれにせよ、島崎の魅力は見逃せない。

かって日本映画戦後期にはこのようにエクセレントでワンダフルな女優がいたのだ。

ラッキーさんは、一体何の業務をやっているのか、どんな製品を扱っているのか、最初は首をひねるような職場に務めています。

一応「南海鉱業」というお堅い鉱業系企業にもかかわらず、なごみムードの本社事務所にはどの壁面にもヘルメットが掛かっていなかったり、「採掘中の抗夫ポスター」なども見当たりません。

テツエイダ様に習って、ラッキーさんが四国へ向かった行程を推理してみることにします。映画では「四国第三鉱業所」としか述べられておらず、四国以外の具体的な地名は一切不明です。

「南海鉱業」の鉱業所があるぐらいだから、その場所は近くに鉱山があり、海に面した拠点工業都市であるはずです。

この条件を当てはめていくと、四国四県で鉱山が断トツに多いのは愛媛県、中でも有名な別子銅山が近くにある「新居浜」市だと仮定しました。

(不思議なことに、ネットのすべての作品紹介ではラッキーさんは「釧路所長」として栄転、と記述されています)

このために、「急行せと号」で宇高連絡船を経て高松、新居浜という行程だったと推測します。

劇中「急行列車 広島行き発車でございます」とのアナウンスがされるが、普通は「急行列車×× 広島行き発車で~」と「××」の列車名が入るはずなので、これは明らかにアフレコと思われます。

「冬季の設定なのですから、外が明るい内に帰宅途上とは・・・」 に関しては次のように思います。

当時は土曜日は半ドンの会社もあったので、その日が土曜日だったら明るい内に帰宅は納得がゆきますが、渋谷で降りた次の自宅前シーンでは夜間になっています。

電車に乗っているシーンも夕暮れ以降の設定だったが、窓の外のスクリーン・プロセスの濃淡がうまく行かず、昼間のように見えたのでしょうか。

赤松 幸吉 | URL | 2019-03-28(Thu)20:13 [編集]


Re: ラッキーさん

赤松様 コメントありがとうございます。

ストーリーの進行役(狂言回し)としての井上大助(給仕)に着目されるとは、さすが赤松様ならではの切り口ですね。

電車に乗っているシーンはセット撮影で、スクリーン・プロセスを使った仕上げ方に問題ありとの解説もなるほどです。

テツエイダ | URL | 2019-03-30(Sat)15:31 [編集]