
赤ちゃんまでいる父の愛人に会った桑原ゆみ子(芦川いづみ)が、崩壊した家庭の修復と赤ちゃんの幸せを願い 愛人の弟と共に奔走する姿を描いた映画です。
友人から愛人の存在を聞いた ゆみ子は 母 桑原たま子(山根寿子)に問うと、住み家まで全て知りながらも静観の様子。そこで ゆみ子は 東急電鉄 大井町線 九品仏駅を降りて、母から聞いた愛人 相沢とも子(新珠三千代)宅を訪ねる場面があります。
1960年に改築される前の九品仏駅舎から ゆみ子が降りてきて、

踏切で待つ前を 3000系電車が通り過ぎて行きます。

僅か2連で、先頭は 3450形の 3491らしき車両です。現在同様 上下線の間に駅舎が有り、外へは踏切を必ず渡る構造です。
次に とも子の娘 まり子(森教子)への帽子を手土産に九品仏へ行った時、玄関に父 桑原次郎(宇野重吉)の靴を見付けて 慌てて駅に引き返します。
駅前の踏切で とも子の弟 宗雄(石原裕次郎)に会ったので、「父が来ているので今行くのははダメ」と 姉の家に行こうとしている宗雄に告げて止めます。

娘のゆみ子まで愛人 とも子の肩を持つ様に感じた たま子は、夜遅く帰宅した桑原を袖にして実家へ帰ってしまいます。更に遅く帰宅した ゆみ子は、鎌倉駅まで母親を追い駆けて 何とか家庭崩壊を押し止め様とするのでした。
鎌倉駅の改札口を走り抜けて

急ぎ階段を駆け上がると、ホームで電車を待つ母 たま子に追い付きました。たま子を引き戻そうとする ゆみ子ですが、

硬い決心をした たま子を説得することはできません。
そこへ横須賀線 70系電車が到着し、

2等車に乗った母を茫然と見送る ゆみ子です。

セットらしき 2等車内では、呆然とした様子の たま子です。

改札口へ戻ると遅れて父 次郎が駆けつけ一緒に外へ出ると、終電だったのか構内が消灯されてゆきます。

桑原との別れを切り出そうとした とも子は、急に仕事帰りの桑原に寄ってもらいます。夜 九品仏駅の改札口で、とも子は桑原を待っていました。

その後 花屋でバイトする宗雄の背後を、旧塗装の都電 1200形らしきが通過して行く場面もあります。

桑原家崩壊の責任を感じた とも子は、桑原と別れて弟の下宿先へ引っ越します。ゆみ子と宗雄は協力して まり子の幸せを第一に応援しようと、関係者全員を とも子の移転先へ集めて 善後策を話し合います。
その帰り道 ゆみ子は母 たま子とタクシーに乗って、母の働くバーへ向かいます。タクシーはネオン煌めく銀座界隈の晴海通りを、月島方面に向かう都電11系統(新宿駅前~月島通八丁目)の電車を追い越して走ります。

PS.
鎌倉駅で ゆみ子は母親が乗った上りの終電車を見送り、改札口を父親と一緒に出ると駅構内は消灯となりました。 鎌倉駅から当時の上り終電は、23:38発の横浜行です。
ところが下り電車はこの後 23:40・0:10発の久里浜行があり、終電は 0:42発 逗子行でした。つまり 上りの終電から一時間以上後まで下り電車があるので、消灯はBGMと共に映画の中での演出でしょう。
それにしても 女性 登場人物の名が、皆( ひらがな表記+子)なので文章にすると分かり難いですね。
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