
元伯爵 東小路輝が殺害され それぞれに漢字一文字が入った七つの宝石が奪われます。しかしその行方が二転三転し、悪玉と善玉が競って 東小路家に伝わる秘宝にたどり着く過程を描く サスペンス映画です。
戦後復興期の京都を舞台に、街頭ロケが多い作品です。大規模な空襲はなかった京都だけに、古い街並みの中 ポール集電の市電が作中のあちこちで走っています。
強盗団の一人 ヤク中の五郎(大坂志郎)が強奪した七つの宝石を横領し その内6つを売りさばいたので、黒メガネのボスを筆頭にした一団が 宝石を捜して 再度強引に奪い取って集めるのでした。
その途上 地下区間を走る京阪神急行電鉄 100形の 102を先頭とする列車が映ります。

その車内で一味の男の目が光り、立ち話をしている和装の女性から

宝石付きの帯留を掏り取ります。

続いて地下駅に 115を先頭とする列車が到着し、

大勢の客が降りてきました。この電車の乗客には品川(佐田啓二)もいて、地上への階段の途中で一味の一人を見つけて追跡します。

上がって来た階段の上部には、大阪・神戸・寶塚 方面と記された案内板があります。男に続いて品川は改札口を抜け、

京都市電の後部側で大通りを渡って追い駆けます。

改札口に「地下鉄のりば」と表示されているこの駅は、京阪神急行電鉄 京都本線 西院駅と思われます。1931年3月末に京都線 西院手前から大宮まで関西初の地下鉄として開通したので、地下鉄のりばと表示したのでしょう。
西院駅とすると京都市電の方は、西大路線 西大路四条電停手前で停止している 200形で 不鮮明だが 276の様です。昭和初期製の4輪単車で、この当時は皆ポール集電の様です。
黒メガネのボスが出入りしていた店でダンサーをしている艶子(日高澄子)の協力で、品川は宝石を取り戻します。しかし品川のミスから艶子はボスに襲われますが、なんとか逃げてバスに乗ります。
その車内で艶子は、五郎が渡した 宝石付の指輪を身につけた女を発見します。女は京都市電も走る 本町停留所で降りたので、艶子は後を追って降車して追い駆けるのでした。

このバス停(架空名)の背後は京都第一赤十字病院の様で、市電は九条線 起点の東福寺電停の様です。女が振り返ったシーンで、右手の大きな橋は 1937年完成の九条跨線橋と思われます。

京都市電 九条線は先の西大路線と共に京都市電 最終期まで残って、1978年9月末に他線と共に廃止されました。
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