
作曲家を目指して新潟から逃げる様に上京した進藤孝(千葉真一)が、苦難にめげずに大作曲家となるまでを描いた歌謡映画です。
冒頭 踏切際に立つ進藤の横をC56形蒸機が牽引する混合列車が通過して行き、

タイトルが入ります。タイトルバックの最後で、C56が2両の客車を牽いての走行シーンがあります。

新潟の田舎で山之家花丸(砂塚秀夫)と組んで歌い歩いていた進藤は、窃盗の疑いを掛けられたことから上京を決意して家出します。
進藤は金が無いのか地元の越後線内野駅裏で、列車に無賃乗車するタイミングを計っています。

進藤が隠れた駅名板には現在とは違って、左隣が「てらを」右隣が「えちごあかつか」と記されてます。
駅長が出発の合図を送り

汽笛と共にC56 126蒸機に牽かれた列車が動き出すと、

ギターを抱えた進藤は駅長に見付からない様に 裏側からデッキに飛び乗ります。

東京での成功を夢見てデッキで蹲る進藤の姿が映った後、雪原をC56126に牽かれて走り行く列車の走行シーンがあります。

東京で増田健吉(長門裕之)と組んで流しの演歌師をする進藤は、ファンの高村光枝(十朱幸代)と結婚します。
そしてリヤカーを使って二人で引っ越す場面では、都電32系統(荒川車庫~早稲田)の3000形3178が登場しています。

光枝の協力で曲を応募した「からたち日記」が大ヒットし 続作も成功しますが、大御所作曲家 天田(菅原謙二)に煙たがられて仕事を続けることが出来なくなります。
失望した進藤は作曲家を諦め、新潟へ帰ろうと上野駅 12番線へ光枝と現れます。

しかし光枝は進藤が大作曲家となるのを諦めさせない為に、東京に残って帰りを待つことにします。
12番線の案内板は 11:12発の列車を表示していますが、アフレコらしき構内放送は「15:25発 準急第二越後 新潟行」と伝えています。
乗り込んだのは旧形客車の普通列車の様で、光枝から鞄を受け取った進藤は暫しの別れとなります。

PS.
新潟県の内野町出身の作曲家 遠藤実の著書「太陽も笑っている」が原作です。 進藤が上京する場面の内野駅は、飯山線の越後岩沢駅でロケが行われたと思われます。
越後線内野駅も存在していましたが 既に貨物列車以外はDC化されていたので、越後線同様にC56形蒸機牽引列車が残っていて雰囲気の似ていた越後岩沢駅を装飾して撮影した様です。
上野駅の場面で進藤が乗った列車は、10:50に入線していた 11:12発 125レ 青森行 普通列車の様です。アフレコでの越後号は 1959年当時 夜行準急列車であり、13:30発の急行 越路号 新潟行を想定している様です。
また アフレコで蒸機の汽笛と発進音を付けている様ですが、新潟へ向かう高崎線の電化が 1952年4月なので 1959年の時代設定としても無理があります。
どうしても進藤が帰郷する場面には 蒸機が牽く列車が相応しいと考えるなら、ロケ当時 6番線から C57形蒸機が牽いて 10:39発の成田行 825レが存在したのですが・・・


