
東宝映画製作から8年後にリメークされた作品で、原作を時系列通りに追って描かれています。美しい雪国の姿を野沢温泉に追い求め、カラー映像で表現した逸品です。
原作は二度目に駒子の元を訪れる鉄道シーンから始まりますが、この作品では24分後からです。並ロ座席に島村(木村功)が乗る列車が

長いトンネルを抜けると、そこは晴れ渡った雪国です。

独特な形のツララ切を装着した蒸機は C56 形でしょうか。続いて初期形の D51 蒸機が牽引する列車が

白煙を引きながら雪原を走り抜けて行きます。雪山が美しい遠景は別列車です。

やがて夕刻 8620形らしき蒸機に牽かれた列車が とある駅に停車すると

東宝版と同様に葉子(加賀まりこ)が窓を開け、駅長(明石潮)に「弟を宜しくお願いします」と挨拶する場面があります。

島村は窓ガラスに写る葉子をチラチラ見ていると、列車は下車する 越後湯村駅(架空駅)に到着します。

跨線橋で駒子(岩下志麻)にバッタリ会うと、島村は「君に会いに来たんだ」などと言うのでした。
中盤 越後湯村駅舎が映って、

待合室で帰京する島村が見送る駒子と汽車を待っています。「鳥追い祭にはいらっしゃいよ」と再会を望む駒子の元に、葉子が駆け込んで来ました。
危篤の行雄が駒子を呼んでいると告げますが、駒子は行こうとしません。汽車が来ると旅館の番頭が島村の荷物を持って同行し、


半車二等に乗った島村をホームから見送るのでした。駒子は待合室で寂しく固まったままです。

帰宅した島村が新聞を広げると、「裏日本に猛吹雪・ラッセル車」の見出しがあります。続いてC12 形蒸機らしきがラッセル車を押す様子が東宝版と同様に有ります。

鳥追い祭の日 馴染客の見送りに駅へ来た駒子は、見送った後も改札口で島村が降りてくるのを待ちますが現れません。壁には(金沢方面行の方は橋を渡って下さい)と掲示されています。
その後 雪の無い時期に島村が来た折り、駒子は一緒に行雄の墓へ行こうと言います。続いて長野工場式集煙装置を付けた D51 172 蒸機を先頭に、D51 重連の列車が力強く 走り抜けて行きます。

先頭を走るD51 の機関助手になったと思われる葉子の弟 佐一郎が「姉さ~ん」と叫びながら手を振ると、線路端に走り寄った葉子が手を振り「佐一郎」と叫んで応えています。

最後 火事で大火傷を負った葉子に付き添う駒子を置いて、島村は帰京します。その折 また雪晴れの中 行きと逆方向に進む汽車が映り、

雪国に別れを告げるトンネルに入るやエンドマークとなります。

PS.
原作に沿って描かれた東宝作品と違って、架空の越後湯村温泉を舞台に製作されています。大庭監督は戦前の雰囲気を求めて、野沢温泉でロケを行ったのでしょう。
架空の温泉地ですから戦前の時代設定に似合う蒸機牽引列車を登場させ、国鉄の協力の元 赤帯・青帯を装着した客車で行った撮影は戦前らしい良い雰囲気が出ています。
島村と駒子の再会や別れの場面で重要な舞台となる越後湯村駅は飯山線の飯山駅では?と推測します。それは2枚目の画像で、飯山線のC56 が冬季に装着していたツララ切に似ている点・野沢温泉から近い点です。
また飯山線はC56形・C12形・8620形の蒸機が走っていました。
それでは雪原を行くD51 牽引列車や佐一郎が乗務するD51 重連は? 172号機が当時 長野区所属なので、信越本線か篠ノ井線でのロケと思われます。
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