日本映画の鉄道シーンを語る

日本映画における鉄道が登場する場面(特に昭和20~40年代の鉄道黄金期)を作品毎に解説するブログ

223.警視庁物語 深夜便130列車

1960年1月 東映 製作 公開   監督 飯塚増一

東京の汐留貨物駅で差出・受取人不明の事故扱いのトランクから絞殺体が発見され、荷物の発送人を割り出す警察の捜査過程を丹念に描くシリーズ第12弾の刑事もの映画です。

トランクが大阪から発送された物なので、警視庁愛宕署の長田部長刑事(掘雄二)と林刑事(花沢徳衛)・金子刑事(山本麟一)の大阪出張が決まります。
東京駅のホームで長田は息子の正雄(住田知仁→風間杜夫)から荷物を受け取り
深夜便ー1
急行月光に乗る二人と合流します。そこへ山形刑事が駆け付け、被害者の検視結果を知らせて見送ります。
深夜便ー2
3人が乗った 17ㇾ急行 月光は 21:45東京を発ち、終着 大阪へは 8:24に着きます。14両編成中 6両の3等座席車が有り、3人は固い座席で10時間半余りを過ごしたのでした。

その後の捜査でトランクは東京の隅田川貨物駅へ軽三輪で持ち込まれた物で、大阪の梅田貨物駅で受け取られ更に天王寺駅から汐留へと送られたことが分かります。
軽三輪運送の運転手から発送人の家が判明し、駆け付けると既にアパート二階の部屋は引き払われていた。しかし一階のおかみ(菅井きん)から引き払った男は、吉村春夫(小嶋一郎)と分かります。
この聞き込みの時、背後の築堤上をC57形蒸機牽引の列車が通過します。常磐線を走る各停か、当時4本あった我孫子経由の成田行と思われます。
深夜便ー3
また友人関係の聞き込みでは国鉄田端機関区へ行き
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9600形蒸機の 79659の前で話を聞く場面もあります。
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被害者の眼から発見されたコンタクトレンズから身元が判明し、吉村が殺害後に貯金の大半を引き出して九州出身のダンサー花山あや子(小宮光江)と高飛びを図っていることを掴みます。
あや子の身柄を確保して所持品の切符から、東京 21:30発の博多行 41ㇾ急行筑紫に乗ろうとしていたことが分かります。
深夜便ー8
更にあや子は「吉村は熱海から乗車して合流する計画だった」と話します。

既に 41ㇾの熱海発車時刻 23:32を過ぎているので次の停車駅 沼津から公安官に乗ってもらい、あや子所持の切符の裏番号 1845の前後を所持している若い男を確保する様に依頼します。

浜松機関区所属の EF5842電機が急行筑紫を牽いて沼津駅に到着するシーンがあり
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3人の公安官が乗り込み車掌に切符の捜査依頼をします。
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ところが暫らくして後番号の 1846を所持している中年男しか見付からないとの連絡が入ります。あや子が乗っていないと分かった吉村が、沼津で途中下車して東京行に乗り換えたと想像します。

41ㇾの沼津到着は 23:53で上り東京行 130ㇾが 2:20に沼津を出ます。そこで大船駅へ車を飛ばし、4:01に発車の 130ㇾに乗り込んで吉村を捜すことにします。
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沼津から乗って終着の東京まで乗った男は二人で、その内の一人が到着と同時に走って逃げだしました。
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しかしホームには待ち構えていた刑事も居て、忽ち取り押さえられてしまいました。
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警視庁物語 深夜便一三0列車

待ってました!


シリーズ中、最高傑作ばかりでなく、そのスリリングな展開に置いて黒澤の「天国と地獄」に匹敵するであろう。全編ドキュメンタルタッチで描く監督・飯塚増一の手腕にしびれました。

このシリーズではお気に入りの小宮光江が何度も出演。彼女は実生活では不幸な最後を迎えるが、場末のバーのホステスを演じれば、右に出る者はなかった。

GYAOストアで全25作(「謎の赤い電話」のみフイルムが消失しているのか、抜けている)が現在でも有料公開されている。
すべてに共通するのは、「犯罪の陰に貧困か薄倖あり」という悲しくも不変のテーマでした。
機会があれば、もう一度全編を見るつもりだ。

映画での列車名や時刻は不正確なものが多いが、このシリーズではドキュメント風映画を売り物にしていたので徹底的に調査し、すべて時刻表通り・実物通りだと思う。

この時代と言えば、一般家庭ではまだトラック輸送はほとんど流通しておらず、映画のように貨物輸送が主だった。

駅の構内に荷物取扱所があって、お客(発送人)は自らそこへ持ち込んでいくのだ。
普通、大きな荷物は自転車の荷台に載せて、その自転車を押して運び込んだものだった。
また、受取りの場合も同じように直接駅へ自転車で引き取りに行った。

発送荷物は(当時は)行李か蜜柑箱で厳重に密封し、必ず紐か縄で十字掛けして荷札(エフ)を付けなければならなかった。
不備があるとやり直しを命じられた。

その貨物取扱所の奥を覗くと、そこには頑強な男達がゴロゴロたむろしていた。
当時の国鉄職員は警官より恐かったのだ。

当時、この映画と同様に殺人死体を行李に詰めて貨物便で××駅宛に発送したという事件がありました。

揚げ足と取るつもりはありませんが、「130列車」ではなく「一三0列車」ではありませんか。
当時の時刻表にはどう書かれてあるか知りませんが、少なくとも映画のタイトルは漢数字です。

赤松 幸吉 | URL | 2016-12-17(Sat)19:36 [編集]


Re: 警視庁物語 深夜便一三0列車

赤松様 いつもながらの ご丁寧なコメントありがとうございます。

トランクに遺体を入れて鉄道便で送る話から 鮎川哲也の(黒いトランク)を連想したのですが、複雑なトランクの移動過程をじっくりと描いて全編に渡って緊迫感を感じる作品ですね。 あまり有名作ではありませんが、小生も推薦作として伝えたく取り上げました。

この作品のポスターを練馬区ふるさと文化館でのイベントで見て、鑑賞した経緯があります。 確かにポスターでは「一三〇列車」でした。 しかし作品のタイトルでは「130列車」なので迷いましたが、こちらにしたのです。

ポスターではタイトルを縦書きの配置にしたく、宣伝部が深く考えずに漢数字を使ったのか?とも思えます。

テツエイダ | URL | 2016-12-18(Sun)08:10 [編集]