日本映画の鉄道シーンを語る

日本映画における鉄道が登場する場面(特に昭和20~40年代の鉄道黄金期)を作品毎に解説するブログ

198.花実のない森

1965年1月 大映 製作 公開  カラー作品   監督 富本壮吉

セールスマン 梅木隆介(園井啓介)は若い人妻 江藤みゆき(若尾文子)を助けたことから近付こうとするが、彼女の周りで連続殺人事件が起こる サスペンスミステリー映画です。

みゆきの兄 楠尾英通(田村高廣)の策略で、山口県の半身不随の豪商 江藤と政略結婚した みゆき。しかし退屈して度々上京する内、みゆきの周りの男が次々に殺されます。
自分の暗い過去からの経緯を梅木に告白した みゆきは、山口の江藤の元へ帰ります。暫し迷った梅木ですが、彼女の後を追って山口へ向かう場面から鉄道シーンが始まります。

先ずは東海道新幹線 0系の走行シーンがあります。ロケ当時は新幹線開業直後であり、超特急ひかり号でも東京~新大阪を4時間運転でした。
198-1.jpg
続いて乗換たであろう山陽本線は省略らしく、D52形蒸機 D52236 が5両の旧型客車を牽引して単線非電化の線路を走り抜けて行きます。
198-2.jpg

そして到着した駅で降車した人々は、構内踏切を渡って改札口へと向かっています。
198-3.jpg
梅木は漸く着いたか!といった顔で、周りを見ながらホームを歩いています。
198-4.jpg
最後に改札口を出た梅木は、
198-6.jpg
駅舎内を見回してから腕時計を見ています。壁に吊られた大時計には周防山田驛と文字が入り、入り口横の壁には瀬戸内海の観光ポスターが貼ってあります。
198-5.jpg

山口県を始め全国に周防山田駅は無く、架空駅です。ではロケの行われたこの路線と駅は何処なのでしょうか?最初の蒸機 D52236 号機は、当時 国府津区所属で御殿場線を走っていました。
では到着した構内踏切の在る駅は、足柄駅? 否 その前に画像を見ると停車している蒸機がD52 形ではなく 9600 形でしょうか?替っています。当時 御殿場線に 9600 形は居なかったのでは?

どうやら梅木が下車した場面は東京近郊の別線でロケが行われた?と想像すると、川越線が思い浮かびます。川越線内で構内踏切が在った駅は、指扇・的場・武蔵高萩だったでしょうか?
この内 画像の雰囲気に近いのは的場駅と思われますが、指扇駅も有力です。ホームに立っている駅名板や、駅舎内の時計・ポスターは美術さんのお手製でしょう。

しかし梅木が改札口を出てくる場面で、上部に当時 関東地方にのみ店舗があった(大生相互銀行)の広告板も映ってしまっているのは残念ですね。
また川越線だとすると撮影可能な旅客列車が早朝の上り大宮行 822ㇾしか無いので、画像の様に貨物列車の機関車部分のみ映してエキストラを動員したのでは?と思われます。。

正体のバレた江藤とみゆきが悲しい結末を迎え、一人空しく帰京する梅木を乗せたD52 牽引の列車が走り去る場面でエンドマークとなります。
198-7.jpg
この場面は最初に蒸機が登場した場面と同じ場所で撮影されており、左側の道は国道246号線でしょうか。

客車列車の走行シーンを川越線や成田線などで行わず、御殿場線のD52 に拘った監督の意図は分りませんが映画公開から3年後に電化されています。




関連記事

PageTop

コメント


管理者にだけ表示を許可する