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日本映画の鉄道シーンを語る

日本映画における鉄道が登場する場面(特に昭和20~40年代の鉄道黄金期)を作品毎に解説するブログ

 2、大暴れ風来坊

 1960年11月 日活 製作 公開  カラー作品     監督 山崎徳次郎                                                                            小林旭主演の流れ者シリーズ第4作  最初は敵対する野村浩次(小林旭)と十字架の政(宍戸錠)が手を組み痛快に悪者退治という、おなじみのシリーズ。

 鉄道シーンはラストにある。 松山を去る浩次が松山駅で政たちから見送りを受ける。発車ベルが鳴る中 浩次は盛んに眼を泳がせ玲子(浅丘ルリ子)を捜すが、見当たらない。 そして発車の汽笛が鳴り響く。

 浩次の乗る準急いよ号は快調に走ります。
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何故かデッキに立つ浩次の眼に、並走するタンクローリーの助手席から手を振る玲子の姿が映る。途中立体交差する場所もあります。
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 そして車は先行し、踏切で降りた玲子が別れを惜しみ手を振る中 浩次の乗る準急いよは走り去って行く。2-5.jpg
 なお周囲の状況から、上り列車ではなく宇和島方面の下り列車と思われる。 

 四国における旅客列車無煙化は案外早く、C58牽引の客車準急いよ号もこの映画が撮影された後の1960年秋には完全DC化されている。
 後部デッキに大型テールマークを付けたC58牽引の準急いよ号の姿がまさに際どいタイミングで撮影された訳だが、
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カラーで美しい瀬戸内の海をバックに走る姿を今に残す価値ある一作であると思われる。




 PS.準急いよ号の走行シーン撮影時、カメラの正面を通過する際客車に撮影クルーの姿が映り込んでしまっています。 現在のようにその場で確認できず、また山崎氏はこの年じつに年間7本の映画を監督するハードスケジュール故に編集段階で確認できたとしても松山まで撮り直しに行く訳にもいかず公開となったのでしょう。
 1960年一年間に日活は公開映画数 100本という短期製作を強いられていたのです。

 
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