日本映画の鉄道シーンを語る

日本映画における鉄道が登場する場面(特に昭和20~40年代の鉄道黄金期)を作品毎に解説するブログ

182.刑事物語 くろしおの詩

1985年10月 キネマ旬報社製作 東宝配給公開  カラー作品   監督 渡辺祐介

高知中央署の刑事 片山元(武田鉄矢)が失態からヤクザの組員となり、意外な展開から大活躍でヤクザ組織を潰すアクション・コメディ映画です。シリーズ第4作ですが、タイトルに4は入っていません。

鉄道シーンは冒頭に集約されています。先ず阿波池田駅舎が映ります。
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高知への犯人護送任務で同僚と急行あしずり5号に乗る片山は、阿波池田駅へ到着すると
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駅弁購入の為 ドアが開くと同時にホームの売店に駆け込み弁当とお茶を3個注文します。
お茶の湯を入れながら店員から代金 2000円を請求されますが、片山はお金が見つからず 発車ベルが鳴り始めます。焦って捜す中 漸くポケットから小さく畳んだお札が見つかり、それを渡すと弁当を持ってドアへと走りました。
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そのお札が一万円札と分かった店員から「お釣りお釣り」と叫ばれた片山は、転んでしまい慌てて落とした弁当を拾って間一髪でデッキに飛び乗りドアが閉まります。しかしこの時弁当を一つ拾い損ね、店員が駆け付けますが、片山は諦め顔です。
列車到着からここまで連続して構内放送がバックに聞こえ、臨場感を盛り上げています。店員は動き出した列車と並走して弁当とお釣りを渡そうとしますが、デッキにいる片山にはどうすることも出来ません。前方の車掌室から車掌が顔を出していますが、店員さんには 如何ともし難いのです。
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そして列車が高知平野に入った頃 犯人の笹本(柳亭楽輔)が、トイレに行きたいと言い出し連れて行きます。その頃妊婦さんらしきが苦しんでいる事態にも片山は遭遇し、介抱している隙にトイレを抜け出した笹本は丁度停車した後免駅で逃走します。
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未だトイレに入っていると思っていた片山は 同僚の吉本刑事(伊吹剛)の怒鳴り声でホームへ出ると、既に列車後方へ逃走する笹本を吉本が追っています。
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ホーム端から線路上を逃走する笹本を片山も追い掛けますが、苦しくなって立ち止まったところでタイトルです。
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ロケ当時 705D 急行あしずり5号はキハ 58系気動車に丸型急行板を付けて高松~中村を5時間 13分で結んでいました。高知までは特急南風号もありましたが、犯人護送と言えばやはり急行列車が相応しいですね。
しかしこの映画公開の5年後の 1990年秋には、土讃本線の急行は全て特急化されこの風情も無くなりました。また 末期は改札外のキヨスクで販売していた阿波池田の駅弁も、今ではホームの駅そばと共に過去の記憶となっています。




 PS. 劇中で逃走犯 笹本役を演じた柳亭楽輔氏は勿論 落語家が本業で、落語芸術協会理事の柳亭楽輔さんです。この作品が唯一の映画出演で二ツ目時代の出演ですが、役名が何故か本名の笹本でした。追い掛けられる時、実感が出ると思ったからでしょうか。

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