日本映画の鉄道シーンを語る

日本映画における鉄道が登場する場面(特に昭和20~40年代の鉄道黄金期)を作品毎に解説するブログ

171.絞首台の下

1959年5月 日活 製作 公開   監督 西河克己

北海道 十勝で酪農を手伝う佐伯千早(稲垣美穂子)は音信不通の許婚 柳本憲(赤木圭一郎)からの葉書で千葉へ訪ねると、彼は殺人罪で投獄されていた。その後 脱獄してしまい、関係者が次々に殺されるサスペンス推理映画です。

千早は兄の友人で通信社を営む乾保日出(長門裕之)を頼り、乾も冤罪と思われる柳本の事件の裏側のスクープを狙って調べを進めます。乾の事務所を映す場面で、新橋付近の横須賀線 70系と山手線 72系電車の走行シーンが有ります。
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乾が柳本の行方を追いますが なかなか分らないので、ひとまず千早は帰宅することにします。上野駅 11番ホーム 次の発車は 401ㇾ 21:30発 青森行 二・三等 急行津軽号の標示が出ています。
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ホームの売店で千早の見送りに来た小山久美子(渡辺美佐子)が雑誌を買って、デッキに居る千早に渡します。蒸機の汽笛が鳴り、別れの挨拶を交わす中 静かに列車は加速して行きました。千早は二等並ロザ車に乗車した様です。
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しかしこの列車は上信越方面行の 14番線から青森行のサボを架けて発車しました。ハテこの列車は?小生の妄想では、上野に 23:06に到着した長岡発の 742ㇾが尾久へ回送される時 青森行のサボを架けてロケに使ったのではと思われます。
またロケ当時上野発の列車は常磐線 成田線方面以外は電化され、EL牽引で出発していましたのでアフレコと思われる蒸機の汽笛はイメージ先行の勇み足と思われます。

次に 乾の所へ情報を売り込みに来た 多田(信欣三)の死体が見つかったと田名網警部(芦田伸介)から連絡があり、乾が出向くと線路際の川に架かる橋のたもとで殺されていました。
そこへ鉄橋を渡って DD13タイプのDLに牽かれた貨物列車が通過して行きました。塗装の具合から あるいは東京都港湾局専用線のDLと思われ、深川線の豊洲運河に架かる鉄橋のたもとでロケが行われたのではと妄想しました。

北海道へ帰った筈の千早が三日たっても帰って来ないとの連絡があり、乾や見送りに行った久美子を心配させます。その後 千早から謎の女(楠侑子)に列車から降ろされたが、遅れて無事実家に着いたとの連絡がありました。
そこで乾は助手の山野圭子(清水まゆみ)を千早の元に派遣し、事情の聴きとりをさせます。謎の女は上野から千早の向かいに座っていたが、宇都宮を過ぎて雨が降り出した頃 急に親しげに「憲さんからの伝言で、会いたいので東山温泉で三日待っててくれ」と言われたので、途中で降りて東山温泉の旅館で三日間待っていた。この並ロザの場面 セット撮影の様です。
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しかし柳本が現れないので、家に帰ったが宿代は先方が先払いしていたと圭子に告げました。

最後は久美子と石川県へ調査に向かった乾は久美子の活躍から重要な証拠を手に入れたが、黒幕の組織に狙われ命からがら事件は解決しました。
帰路の車内 並ロザで事件のスクープ記事の原稿を書く乾と久美子が向い合せで座っているところへ、
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田名網警部と外務省の男が現れます。そして「気の毒だが国際的影響があるので、この事件の記事は差し止めだ」と告げられました。この場面も前出と同じセット撮影です。
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乾と久美子がガックリしているところへ田名網警部は、「我々は次で乗り換えるが、君等はこのまま乗って行くんだろう なにせこの汽車は出雲大社行だからな」とニヤケた顔で言います。
乾は「バカにするなよ」と怒り 書いた原稿をビリビリに破いて、海沿いを走る汽車の窓からバラ撒いたところでエンドマークとなります。
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PS.

千早は北海道へ帰るのに、何故急行津軽号に乗ったのでしょう。上野 21:30発の津軽号は奥羽本線沿線の旅客用列車で、終着 青森(13:08)まで乗っても青函連絡船乗り継ぎは4時間以上待って 17:20発の 19便です。
そして函館着 21:50 ここの乗り継ぎは良く、22:10発 普通列車 419ㇾ釧路行に乗り 池田で降りるとすると3日目の 15:50でトータル所用時間は 42時間20分です。
普通の人は 上野 20:05発の 207ㇾ急行北斗号に乗り、翌朝 9:30青森着 9:50発の連絡線 17便に乗り継ぎ 14:20函館に着き 14:50発の 7ㇾ急行まりも号釧路行に乗り 池田には3日目の 4:42着で所用 32時間37分と 10時間近く早いのです。
   

次に千早は謎の女の言葉で急行津軽から途中下車しますが、東山温泉といえば会津ですから郡山で降りたと思われます。津軽号の郡山着は 1:37ですから磐越西線の接続は4時間以上ありません。
5:44発の 215ㇾに乗っても、会津若松着 7:40です。ここから近いのですが、なんとも半端な時刻となります。上野から夜行に乗ると予想して予約・先払いした組織にしては、何故東山温泉なのか不思議です。青森の浅虫温泉辺りなら適当なのですが・・・といった疑問を感じる人はごく一部でしょう。今見ても面白く、推薦したい映画であることは間違いありません。





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コメント


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テツエイダさん、こんばんは。
急行「つがる」の並ロザはセットでしたが、並ロザの乗り心地はどうだったのでしょうか。
私はどうしても583系の普通車と比べてしまいますが、シートピッチは同等程度みたいですが、シートは並ロザの方がふかふかしているのかな?

本物の並ロザは日活「狂った果実」の冒頭で70系電車の並ロザに乗った石原裕次郎さんと隣に座った津川雅彦さんのシーンで登場しました。

アパッチ | URL | 2015-04-21(Tue)21:57 [編集]


Re: タイトルなし

アパッチ様 こんばんは コメントありがとうございます。
小生 並ロザに乗る機会が殆ど無く、ハッキリ記憶にあるのは 1961年秋 高尾から相模湖までの内2分間程座った経験があります。
 何故2分間かと言うと、高尾から乗った車両が混んでいたので隣りへ移ると空いたので何気に座りました。
しかしよく見ると、白いカバーが掛かりゆったりとしていて何より他に誰も座っていないのです。そしてデッキ方向を見ると、ドアのガラスに一等車の文字が・・・デッキでかいた冷や汗に小仏トンネル内の風が気持ちよかったです。振り返ればオロ36かと思います。
 後年 583系特急みちのく号の普通車に9時間乗りましたが、乗り心地の比較は年代が違いすぎて難しいです。
感覚的にはオロ36の方が雰囲気が良く上かと思います。

テツエイダ | URL | 2015-04-24(Fri)23:32 [編集]