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日本映画の鉄道シーンを語る

日本映画における鉄道が登場する場面(特に昭和20~40年代の鉄道黄金期)を作品毎に解説するブログ

162.薔薇の標的

1972年4月 東京映画製作 東宝配給公開  カラー作品   監督 西村潔

射撃の元オリンピック選手 日野昭(加山雄三)は不運にも誤解を受けて失職してしまう。失意の中 悪の組織からスカウトされ スパイナーとして仕立てられるが、自ら目が覚める迄を描くアクション映画です。

香港から東京へ来た李玲玲(チェン・チェン)が都電に乗り、運転手横から対向して来る都電 32系統の 7500形 7503を撮るシーンがあります。
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この映画のロケ当時、都心の日本橋にも 28系統が残っていました。当時 32系統は荒川車庫~早稲田で運行されていて、1974年10月より現行の荒川線として走っています。なお 7500形は 2011年迄に廃車となりました。

敵対していた日野と玲玲はいつしか惹かれあう様になり、二人で蒸機撮影に出掛けます。カーブの先から D51形蒸機でも初期型の D512が牽く列車が架線下を走って来ました。
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続いて廃車となってナンバープレートを外されナンバーがペンキ書きの C50181や C58263が置かれた横を、日野と玲玲が歩きながら日野が解体待ちの機関車になぞらえ自らの心情を吐露します。
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次にまたまた D512が牽く列車を車で追っかけ撮影する場面があります。
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これは稲沢第一区から長野区へ貸し出され 1971年7月24日~8月22日に信越本線 長野~黒姫で運転された、ファミリーD51号と思われます。
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客車の窓から顔を出している人が妙に多いのが、如何にもイベント列車らしいです。終了後 このD51 2号機はその年の 12月13日付けで廃車されましたが、大阪の交通科学博物館で静態保存されていました。

そして二人でカメラを持って構えている所へ、右手より C56125が牽く短い貨物列車が登場します。
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続いて左手カーブの先より、C56159が緩急車のみ繋いで現れました。
今度は二人共 カメラに三脚を付けていて、日野は更にオープンリールの録音機までセットしています。貨物の少ない時期の様で、この部分は小海線でロケが行われたと思われます。
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それから今度は、蒸機を実際に解体している現場のシーンがあります。先ずナンバープレートを付けた錆びの浮いた D51468が映った後、ペンキ書きの姿で解体されていきます。
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二人は解体されてバラバラになり車輪だけになってゆく姿を見ながら、日野は自らに準えて自分自身を見ている様だと呟きます。
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レンガ庫も有るここは、国鉄長野工場の裏手と思われます。
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