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日本映画の鉄道シーンを語る

日本映画における鉄道が登場する場面(特に昭和20~40年代の鉄道黄金期)を作品毎に解説するブログ

159.勝利者の復讐

1958年3月 新東宝 製作 公開   監督 小森白

天才的 金庫破りの前島清一(細川俊夫)は刑務所を出所したが就職出来ず、宝石強盗の一味に加わったことから妻を失い復讐に燃えるサスペンス・アクション映画です。

前島は逮捕されたが事件の全容を話して保釈となり、皆川警部(沼田曜一)の口利きでタクシー運転手として働きだします。その一方で娘 啓子(北村真知子)にも危険が迫ったことから、大家の娘 由美子が千葉の親戚の家に避難させようとします。
前島が運転するタクシーで、12系統の都電車両も停まる総武本線 両国駅へ啓子と由美子は送り届けられます。三人が降りた後 後ろをつけてきた深沢正夫(天知茂)配下の男達が乗った車が、高架線を行く総武本線 72系電車をバックに到着します。

両国駅 地平列車ホームに停まる列車内で前島は、由美子に改めて啓子を託します。
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発車時刻が迫り 前島はホームから二人を見送り
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C57形蒸機に牽かれた列車は荷物車を最後に出発して行きました。
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当時 千葉県方面では無煙化が進んでいましたが、総武本線 千葉~銚子間では比較的 蒸機牽引列車が残っていました。
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4本あった両国発の蒸機列車の内 12:44発 319ㇾ総武本線 銚子行が唯一の昼便なので、この列車でロケが行われたと思われます。

その後 1958年10月の時刻改正でこの列車は消滅してしまい、以後 両国発の蒸機列車は夕方の 3本体制で 1969年の千葉県 蒸機旅客列車廃止まで続きました。
発車後 啓子は移り行く車窓に興奮して 父親不在の不安感が消えたかの様ですが、尾行する深沢 配下の男達が由美子達の近くに座って様子をうかがっています。
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前島がタクシーで営業中 深沢の双子の弟 西村登(天知茂の二役)を偶然乗せたことから深沢のアリバイのカラクリが判明し、前島は深沢一味に拉致されてしまいます。
そして 72系電車が走る上の山手線と山手貨物線が立体交差する恵比寿~目黒の目黒道架道橋を車で潜り
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長者丸踏切を渡って前島は降ろされ線路端に連れていかれます。

やがてEF13形電機らしきが牽く貨物列車が、轟音と共に接近して来ました。
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一味はニヤニヤして、この後列車通過の直前に前島を線路に突き出して自殺に見せかけて殺害しようとしています。
ところが前島は隙を見て 連中の計画より一瞬早く 自ら線路に飛び出し、向こう側に渡って土手を駆け上がって マンマと逃げ出したのでした。
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しかし前島の前途は、マダマダ困難の連続でした。
この当時は車も通れた長者丸踏切ですが、その後に歩行者専用踏切となり 現在に至っています。




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