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日本映画の鉄道シーンを語る

日本映画における鉄道が登場する場面(特に昭和20~40年代の鉄道黄金期)を作品毎に解説するブログ

 158.闘牛に賭ける男

1960年12月 日活 製作 公開  カラー作品   監督 舛田利男

元 新聞記者の北見徹(石原裕次郎)は闘牛に魅せられ、スペインから闘牛の興行を人生を賭けて日本へ呼ぼうと奮闘する姿を佐倉冴子(北原三枝)の目線で追う作品です。

冴子は財閥の御曹司 江藤良一(二谷英明)の婚約者だったが、北見に魅かれ結婚を承諾する。北見の故郷 青森へ向かう時の出来事を、回想する部分に鉄道シーンがあります。
夜の上野駅 青森行 急行列車が出るホームで北見は冴子を待っています。漸くやって来た冴子が挨拶すると、早くも発車ベルが鳴り二人は一等車に乗り込みました。
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ホームの案内放送は「 12番線より 20:32発 青森行 普通急行みちのく号 発車です」と告げています。みちのく号はずっと昼行列車ですし、12番線だと主に東北本線なので架空列車のアフレコです。
EF57らしき先輪が映り発車なので、東北本線を行く 401ㇾ急行 津軽号を想定しているのでしょう。

発車後ゆっくりと加速している時 二人のボックス席横の窓に同僚の山川信悟(高原駿雄)が走り寄り、キャンセルの通知がはいった旨 北見に伝えます。
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これを聞いた北見は降りようとしますが、冴子は「私達はもう出発したんです 降りたらお終いよ」と拒否します。
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北見はその声を振り切ってホームへ飛び降りてしまいました。
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ホームを転がりながらも降りた北見の目には、暗闇に消え行く冴子の乗った列車が映っていました。
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上野駅としてロケが行われたこの駅は? 逆ガル形ホーム屋根・ホーム上の木製電柱・ホーム端の建物・ホーム表面が平板舗装してある 等々から、両国駅地平ホームなのではと思われます。
そしてこの列車は、両国 17:57発 321ㇾ銚子行と思われます。この列車には両国始発唯一の オロ 35など 一等車が連結されていたので、室内の低品位ぶりとピッタリ合います。

また 321ㇾは蒸機牽引列車なので、主力の常磐線経由 長距離急行列車としてはピッタリなのにあえて 電機牽引列車として映しています。
この時代 青森行 急行など長距離急行には元特ロのスロ 53・54などが使われていたので、二人が座った時点で普通列車用 並ロでは違和感がありました。

話しが暫く進んだ後、再びこの日の事が冴子の回想シーンとして登場します。今度は山川が「エージェントがキャンセルしてきた」とハッキリ述べ、
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北見が冴子を振り切って飛び降りました。
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こうして一度は北見を諦め 江藤の元へ走った冴子でしたが、揺れ動いた果てに二人とは決別してアメリカ留学へと進むのでした。
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