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日本映画の鉄道シーンを語る

日本映画における鉄道が登場する場面(特に昭和20~40年代の鉄道黄金期)を作品毎に解説するブログ

 156.新男の紋章 度胸一番

1964年8月 日活 製作 公開  カラー作品   監督 滝沢英輔

1937年頃 軍医として出征していた大島組若親分 大島竜次(高橋英樹)が、満期除隊で戻ってからの組を盛り立てる活躍を描く任侠映画です。

先ず 大島組へ役場より大島が除隊となる連絡が入り、地元 日比野駅に組員はもとより楽団まで呼んで派手に出迎えます。楽団が勇壮な曲を奏でる中 C58 108に牽引された混合列車が日比野駅に到着します。
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組員は手に日の丸の小旗を持ち のぼり旗が立つホームへ帰着予定の列車が到着しますが、
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大島は降りて来ません。皆が首を傾げる中、列車は次の駅へと出発して行きました。
その頃 大島は戦死した部下で清村組の一人息子の遺品を届ける為、手前で寄り道していたのです。
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ロケが行われたこの駅が気になりますが、木造跨線橋で繋がっている先には電化されたホームが有ります。そして牽引機 C58 108が当時 高山区の所属で、高山本線を走っていました。
そうなると該当する駅は、名鉄 新那加駅と接続する高山本線 那加駅を想像してみましたがあくまで妄想です。
製作当時 架空駅であった日比野ですが、1971年 名古屋市営地下鉄名城線の駅として開業 現存しています。

続いて 大島が中国戦線から連れて帰還した元部下だった渡世人の虎鮫(桂小金治)が、実家へ帰るシーンではダブルルーフに4輪単車のクラシックな路面電車が登場します。
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クリームと緑色で上下に塗装され 2 とだけ番号が付けられた小型車から、手動ドアらしきを開けて虎鮫が降りて来て路地に入り歩く背後に4輪単車の路面電車が映っています。
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この電車は名古屋鉄道 岐阜市内線を走っていた、元美濃電気軌道出身の モ1形2と思われます。明治生まれの木造2軸単車の車体外側に鋼板を取り付けた見かけ鋼体車です。
ピューゲル集電ですが、ダブルルーフ・4輪単車で走る姿が昭和前期の時代背景にピッタリです。しかし翌年から2年程で仲間と共に廃車されて、この映像が貴重な記録となっています。

中盤 大島が子分を連れて評判の悪い笹塚組へ向かう場面では、赤ナンバーを付けた C58形蒸機に牽かれた列車が走り抜けるシーンが先ず映ります。美濃太田区の 318か 326号機と思われます。
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続いて 笹塚駅(勿論 京王電鉄ではなく架空駅)改札を通って笹塚組へ向かう大島達を、待合室で待ちうけた連中が付けて行きます。この駅も高山本線の何処かの駅と思われます。



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コメント


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岐阜市内線の単車のカラー映像は貴重ですね。
日比野駅ですが背景の山並みからすると鵜沼駅だと思われます。現在は鵜沼駅横に電化線はありませんがこの映画が撮影された頃は1枚目画像のC58の左の方に高山線と並行して名鉄新鵜沼駅の各務原線ホームがありました。
線路や架線は2000年代まで残って名鉄電車の留置線として使われていました。
最後の画像は背景に全く山も市街地も見えない広々とした光景から長森~那加の境川橋梁ではないかと思います。

西宮後 | URL | 2021-01-04(Mon)13:56 [編集]


Re: タイトルなし

西宮後 様  コメントありがとうございます。

架空の日比野駅は鵜沼駅でしたか 「156.新男の紋章 度胸一番」発表以来6年にして、貴重なコメントを頂けて有難いです。

1996年に犬山橋梁撮影後に訪問した記憶がありますが、名鉄側からしか見ていないので実感がありませんでした。

今後もコメントを頂けると幸いです。

テツエイダ | URL | 2021-01-04(Mon)17:22 [編集]