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日本映画の鉄道シーンを語る

日本映画における鉄道が登場する場面(特に昭和20~40年代の鉄道黄金期)を作品毎に解説するブログ

 147. 胎動期 私たちは天使じゃない

1961年4月 新東宝 製作 公開  監督 三輪彰

封建的な看護学校寄宿舎生活に反発しながらも、次第に変わって成長してゆく看護学生たちの三年間を描く 青春映画です。

鉄道シーンとしては、序盤 主役の鈴元春子(高須賀夫至子)が秋田から上京する場面からあります。
汽笛と共に砂箱や蒸気溜が角型の戦時型 C11形蒸機が回転式火の粉止付煙突から黒煙を吹き上げ、スポーク式動輪が動き出します。
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客車の窓から春子が名残惜しそうに、ホームの祖父母を見ています。
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羽後西山(架空駅)と書かれた駅名板をバックに、祖父母二人で見送っています。
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やがて列車に乗る春子から祖父母は遠くなり、春子は懸命に手を振ります。客車の上には架線が有り、電化間近なのでしょうか。
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さて この駅舎 何処かで見覚えがあります。( 123. 汚れた肉体聖女 )でも登場した、五日市線 西秋留駅(現 秋川駅)を仕立てて撮影したと思われます。
当時 都内で蒸機牽引列車が走り 田舎風の駅舎の在るこの駅は各社のロケに使われましたが、映画公開前の2月中旬電化されたので直前に撮影したのでしょう。

次は小田急電鉄 西生田駅(現 読売ランド前)から笠原婦長(賀原夏子)ら二人と春子が降りて来て、春子の母 鈴元豊(三宅邦子)が出迎える場面があります。
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中盤 東海医大前駅?(不鮮明な架空駅名)の木造跨線橋から笠原婦長と春子が降りて来るところを、春子を疑う鹿川真砂子(山﨑左度子)が物陰から見ています。

そして卒業の年 西生田駅から降りて来る春子のバックで、出発して行く小田急電鉄 1800形が映っています。国鉄 63系と同型の小田急割り当て車両で、1981年まで走りました。
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卒業前 寄宿舎を抜け出したりして問題行動の多い 久米勢津(広村芳子)が、京王帝都電鉄 2000系らしき(すぎたま様コメントより)が通り過ぎた直後に踏切ではない所で線路を渡って男の所へ向かうシーンは印象的です。
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最後は東海医大前駅?で電話ボックスから出てきた笠原婦長が、通りかかった春子を見掛けて 伝言を頼むシーンがあります。
似た名前に 東海大学前駅が小田急電鉄にはありますが、この駅はこの映画公開の 26年後に大根 → 東海大学前と改称されたので (123.) 内の南島原駅 同様の偶然でしょうか?
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このロケ地は何処か?を考えると、特徴ある木造跨線橋がヒントの様です。該当するのは、戦前唯一の橋上駅舎化された成城学園前駅ではと思われます。(54.泉へのみち)のラスト画像もここです。
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コメント


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胎動期 私たちは天使じゃない

この映画にも架空駅が二つも出てきて楽しいですね。
羽後西山駅、東海医大前駅。特に後者は南島原駅のような現象が起こって、面白い。

大根(まさかダイコンではなくてオオネでしょうが)、こんな滑稽な駅名があったのですね。

その他の駅も改名がよく見られますが、このように駅というのはころころ呼び名が変わったのですか。

これは日活作品ではなく、新東宝ですね。

赤松 幸吉 | URL | 2014-10-25(Sat)08:32 [編集]


Re: 胎動期 私たちは天使じゃない

赤松様 す早いコメントありがとうございます。

御指摘の通り、この映画は新東宝 末期の作品ですね。カン違いしていました。訂正させて頂きます。

大根駅はオオネでしたが、40年前 駅名板にダイコンの絵が落書きされていたのを見かけた記憶があります。

テツエイダ | URL | 2014-10-25(Sat)18:07 [編集]


下から2番目のカットは

はじめまして。すぎたまと申します。
下から2番目の画像ですが、これは小田急2200形ではありません。京王線の電車2000系か井の頭線の1000系です。
おそらくロケの都合上、別な場所を利用したのでしょう。
失礼いたします。もう1カ所同様の相違がありますので、それにつきましては、そちらで記載します。

すぎたま | URL | 2015-01-27(Tue)06:21 [編集]


Re: 下から2番目のカットは

すぎたま様 ご指摘ありがとうございます。

下から2番目のカットとは、(147.胎動期 私たちは天使じゃない)についてのご指摘と思われます。

この画像については小生も迷って書いたので、京王の2000系に賛成です。ロケの都合でしょう。 

テツエイダ | URL | 2015-01-30(Fri)18:27 [編集]