
封建的な看護学校寄宿舎生活に反発しながらも、次第に変わって成長してゆく看護学生たちの三年間を描く 青春映画です。
鉄道シーンとしては、序盤 主役の鈴元春子(高須賀夫至子)が秋田から上京する場面からあります。
汽笛と共に砂箱や蒸気溜が角型の戦時型 C11形蒸機が回転式火の粉止付煙突から黒煙を吹き上げ、スポーク式動輪が動き出します。

客車の窓から春子が名残惜しそうに、ホームの祖父母を見ています。

羽後西山(架空駅)と書かれた駅名板をバックに、祖父母二人で見送っています。

やがて列車に乗る春子から祖父母は遠くなり、春子は懸命に手を振ります。客車の上には架線が有り、電化間近なのでしょうか。

さて この駅舎 何処かで見覚えがあります。( 123. 汚れた肉体聖女 )でも登場した、五日市線 西秋留駅(現 秋川駅)を仕立てて撮影したと思われます。
当時 都内で蒸機牽引列車が走り 田舎風の駅舎の在るこの駅は各社のロケに使われましたが、映画公開前の2月中旬電化されたので直前に撮影したのでしょう。
次は小田急電鉄 西生田駅(現 読売ランド前)から笠原婦長(賀原夏子)ら二人と春子が降りて来て、春子の母 鈴元豊(三宅邦子)が出迎える場面があります。

中盤 東海医大前駅?(不鮮明な架空駅名)の木造跨線橋から笠原婦長と春子が降りて来るところを、春子を疑う鹿川真砂子(山﨑左度子)が物陰から見ています。
そして卒業の年 西生田駅から降りて来る春子のバックで、出発して行く小田急電鉄 1800形が映っています。国鉄 63系と同型の小田急割り当て車両で、1981年まで走りました。

卒業前 寄宿舎を抜け出したりして問題行動の多い 久米勢津(広村芳子)が、京王帝都電鉄 2000系らしき(すぎたま様コメントより)が通り過ぎた直後に踏切ではない所で線路を渡って男の所へ向かうシーンは印象的です。

最後は東海医大前駅?で電話ボックスから出てきた笠原婦長が、通りかかった春子を見掛けて 伝言を頼むシーンがあります。
似た名前に 東海大学前駅が小田急電鉄にはありますが、この駅はこの映画公開の 26年後に大根 → 東海大学前と改称されたので (123.) 内の南島原駅 同様の偶然でしょうか?

このロケ地は何処か?を考えると、特徴ある木造跨線橋がヒントの様です。該当するのは、戦前唯一の橋上駅舎化された成城学園前駅ではと思われます。(54.泉へのみち)のラスト画像もここです。
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