
信州 蓼科で牧草を研究しながら牧場で働く北川和夫(舟木一夫)と、東京から遊びに来た小泉淳子(和泉雅子)の悲恋映画です。
この映画の鉄道シーンは全て新宿駅です。北川が研究成果の報告に中央本線で上京し、終着 新宿駅ホームに降り立つシーンがあります。
先ず EF13形らしき電機が牽く客車列車が次位に煙を噴出しているマヌ 34 らしき暖房車を従え、新宿駅へ進入して行く姿を西側から捉えています。

そして新宿駅3番ホームへ EF13形らしきを先頭に到着し、北川が降りて来ました。

ロケ当時の中央本線上り時刻表では、岡谷始発の 422ㇾが茅野 5:53発で新宿駅には 11:05着。後続の松本始発の 424ㇾでは、茅野 6:32発・新宿 11:54着です。
この 1965年 5月には新宿~松本の電化が完成し、PC列車は大幅削減 日中新宿着の PC列車はこの2本だけになりました。
終盤 北川と淳子はお互い好意を寄せているのに、北川が三島進(山内賢)に譲る形で淳子に嘘を付いて身を引いてしまいます。
北川が蓼科へ帰る日、新宿駅には淳子が見送りに来ました。5番ホームの列車前に北川と淳子が向き合っていますが、お互い何も言葉を発しません。

「この列車は22:30発 長野行 本日の最終列車です。次の停車駅は立川」と放送が聞こえると、長野行のサボが掛ったオハ 35のデッキへ北川は乗ります。

そして無言のまま淳子が握手の手を指し延ばしますが、北川は応じません。

ならばと、淳子が手作りの人形を渡すと受け取りました。
この時にはお互い涙がこぼれています。ホームのベルが鳴り終わり、電機のホイッスルが聞こえると列車は動き出しました。それでもお互い無言です。
しばらく淳子は小走りで追い掛けますが、列車の赤いテールランプは5番ホームから闇へと消えて行きました。

列車の消えた5番ホームに一人淳子が立ち尽くす姿を、カメラはホーム下の線路から捉えています。ホームの時計には故障中の貼り紙が・・・

続いてのカットでは車内に入った北川が、入口からすぐのボックス席に寂しそうに座るところで終わっています。

北川が乗ったのは、山屋御用達の有名な長野夜行 437ㇾドン行列車ですね。当時は 23:45発で、茅野には 5:52で都合が良い筈です。
何故 脚本家が架空の列車を設定したのか?です。22:30発に近いのは 22:35発 長野行 411ㇾ準急上高地で、茅野 3:11と真夜中なんです。
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