fc2ブログ

日本映画の鉄道シーンを語る

日本映画における鉄道が登場する場面(特に昭和20~40年代の鉄道黄金期)を作品毎に解説するブログ

 136. サラリーマン清水港

1962年1月 東宝 製作 公開  カラー作品   監督 松林宗恵

山本長五郎(森繁久彌)が社長の酒造会社 清水屋が、ライバル会社 黒駒酒造との販売対決を筋とした社長シリーズとは一味違うサラリーマン コメディ映画です。

中国人バイヤー邱六漢(フランキー堺)から清水屋の焼酎の大量注文があり、原料の干芋を入手すべく山本社長と秘書課長 石井松太郎(小林桂樹)が四国 松山へ向かう道中に鉄道シーンがあります。
有名な撮影地である浜名湖に架かる第三浜名湖鉄橋でしょうか、こだま型 151系特急電車がパーラーカーを先頭に颯爽と渡って行く姿が先ずあります。
136-1.jpg

続いて一等車内。石井が朝日ジャーナルを読んでいる横を白上着に青い給仕の腕章を付けた列車給仕が通り、続いて車内販売員が通りますがこのシーンはセット撮影の様です。
136-2.jpg

ここで山本は大阪で所用(芸者〆蝶[新珠三千代]と待ち合わせている)が有るので、石井に金毘羅山に代参し一人で松山へ先行する様 話します。

この後石井は四国への連絡船に乗るので、この列車は東京 8:00発 2001ㇾ特別急行 第一富士号 宇野行と思われます。大阪へは 14:30の到着 終着の宇野へは 17:20到着です。
この列車は昼行の四国連絡列車とは言え、金毘羅参拝や松山行を考えると不便で山本の企み優先に選定されたと思われますが宇野で一泊したと思われる石井にとっては楽な旅程となった様です。
そのお陰で石井は連絡船上で 訪問先の四国物産社長令嬢 都田京子(司葉子)と偶然知り合い、これが後に商談での逆転勝利にも役立つのでした。
136-4.jpg

石井は金毘羅山代参の後 多度津 11:52発の 3ㇾ急行 道後で松山へ向かった模様で、この列車は14:20に到着します。そして松山城下を走る伊予鉄道松山市内線電車が石井と共に映っています。
136-6.jpg

富山地鉄と同様 郊外鉄道線と市内電車線を共有する今では珍しい会社です。

関連記事

PageTop

コメント


管理者にだけ表示を許可する
 

初めまして。
サラリーマン清水港のことを調べていてたどり着きました。
古い映画が好きなのですが、こういうところから見るということもあったのだと感心してしまいました。
つい他の記事も読んでしまいました。
これから更に読もうと思ってます。楽しみができました。
ありがとうございました。

ところで、リンクさせていただきましたが問題ありませんでしょうか?問題があるようであればお知らせください。

海塩みかん | URL | 2016-03-16(Wed)16:45 [編集]


Re: タイトルなし

海塩みかん様 初めまして リンク OKです どうぞ宜しく。

当ブログは一見映画レビューの様ですが、日本映画の鉄道シーンに拘って深く深く掘り下げることを信条としています。

登場する路線別にカテゴリー分類しているので、お好きな路線がありましたらそこからどうぞ。

テツエイダ | URL | 2016-03-17(Thu)21:14 [編集]


サラリーマン清水港

社長(サラリーマン)シリーズは経済高度成長期の黄金喜劇シリーズである。

笑いのセンスは時代と共にout-of-date風化して、当時はハイセンスなコメディも今では鑑賞に耐えないものが多いが、このシリーズは都会的でsophisticateなギャグ満載、今見ても抱腹絶倒。

その面白味のエッセンスは、ビジネス・トラブルでも女性関係でも家庭のもめ事でも途中まで入り乱れるが、そのこじれは最後には「めでたし、めでたし」とハッピー・エンドでまとめてみせる笠原良三の名脚本にある。

天下の尻軽社長(森繁久弥)、堅物の部長(加東大介)、融通の利かない秘書(小林桂樹)、鼻下長の宴会部長(三木のり平)、正体不明の外人バイヤー(フランキー堺)のスター・システムに、「いよ、千両役者たち!」と喝采したくなる楽しい一編だ。

このシリーズはいずれも極上級のエンターテイメント作品であるにもかかわらず、驚くことに2本立て興行の添えものとして公開されているのである。

この「サラリーマン清水港」は「椿三十郎」の併映作、「社長道中記」は「用心棒」と、
「続・社長漫遊記」は「天国と地獄」と同時上映である。

この抱き合わせ、信じられますか?

今にして思えばこれらの傑作が二本立てで観られたなんて、なんとも贅沢な時代。

現在、このランクの映画のカップリングであれば、1万円出しても見に行きますよ。

東宝映画の鉄道車内シーンは他社に比べて、いつも採光(ライティング)がブリリアント(brilliant)。実際は車内なのでもう少し仄暗くてもいいはずなのに、照明機具を大量に持ち込んでの撮影らしく、光いっぱい、セットに間違いないでしょう。

小林桂樹が手にしている「朝日ジャーナル」は、当時の左翼的進歩人向けのお堅い内容の週刊誌でしたが、他の一般週刊誌と同様に駅のキヨスク(売店)でも普通に売られていました。

かって四国への大玄関口で、客足が途絶えなかった「宇野駅」も、瀬戸大橋開業後はまったく寂れた小ローカル駅になってしまったようです。

赤松 幸吉 | URL | 2018-11-13(Tue)16:08 [編集]


Re: サラリーマン清水港

 赤松様 力の入ったコメントありがとうございます。 返信が遅くなりまして申し訳ありません。

このシリーズは2本立て興行の添えものの様な存在でしたが、延べで33本程製作されたのは安定した高い人気作だったからでしょう。

東宝はこだま形特急のロ座セットを常設して、各映画で使っていた様です。照明の点はカラー映画の宿命でもありますね。

テツエイダ | URL | 2018-11-15(Thu)17:47 [編集]