日本映画の鉄道シーンを語る

日本映画における鉄道が登場する場面(特に昭和20~40年代の鉄道黄金期)を作品毎に解説するブログ

129. 執炎

1964年11月 日活 製作 公開   監督 蔵原惟繕

山陰 香住町の網元の長男 吉井拓治(伊丹一三 → 伊丹十三)と山間に住む平家末裔の久坂きよの(浅丘ルリ子)が結婚するも、戦争に依って引き裂かれる悲劇を描いた映画です。

冒頭 拓治 のいとこ 野原泰子(芦川いづみ)が、きよの の七回忌出席の為 山陰本線 餘部駅に降り立つ場面があります。
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遠景で余部鉄橋を渡り、小さな餘部駅から泰子が降りて来ました。
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劇中この法事は 1951年頃の設定なので 1959年4月 請願により開業した餘部駅は存在しない訳ですが、この映画では全編で余部鉄橋と餘部駅が重要な役割を果たしているので御理解下さい。

拓治が成人し、海軍から徴兵されたので三年間の兵役に服することになりました。出頭前 きよの と幸せな時を過ごしている場面で、見上げれば雄大な余部鉄橋がそこには有ります。
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そして きよの と余部鉄橋の上で戯れる場面で、9600形蒸機列車に出くわすシーンなどもあります。
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続いて拓治 出発の日、きよの の姿が無い餘部駅から弟達の見送りを受け 旅立ちました。
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つらい三年間の兵役が終了し 拓治が9600形蒸機に牽かれて餘部駅へ帰って来るシーンの後、二人は結婚し ひと時の幸せが訪れます。しかし戦争が始まり、拓治にも召集令状が届けられます。
今度は妻として きよの も参加して地区を挙げての盛大な見送りを受け、拓治は 19645蒸機に牽かれて出征して行きます。
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余部鉄橋の上でも窓から旗を振り、紙吹雪を撒きながら去り行きます。
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その後 拓治の弟 秀治(平田大三郎)と きよの が余部鉄橋を歩いて渡る場面では、D51751蒸機が前方から現れ橋の途中にある待避所でやり過ごします。でも耳を塞いで震えているのは秀治の方です。
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ある日海軍から拓治が足に重傷を負って佐世保の海軍病院に入院したとの通知があり、きよの は列車を乗り継ぎ駆け付けます。この場面では、きよの が暗い顔で列車に揺られるカットがあるだけです。

きよの の献身的な看病と二人で貫いた執念のリハビリで、拓治の体は奇跡的に回復します。しかしそれを見透かしたかの様に、非情にも二度目の召集令状が拓治の元に届けられました。
吹雪の餘部駅。 今度の出征見送りは二人だけです。名残惜しむ内、吹雪をついて C57形蒸機牽引列車が到着します。
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きよの は雪中に消えて行く列車を、悲しみを堪えて見送っている様です。
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以上 この映画では餘部駅と余部鉄橋が登場する鉄道シーンが数多く有り、そこには時代に翻弄された悲喜こもごもの人々の姿があります。1912年完成の美しく力強い余部鉄橋も 2010年夏、二代目の余部橋梁へと引き継がれました。
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コメント


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リメイクされています

百恵・友和映画で『炎の舞』としてリメイクされていますが、見ていないので、余部鉄橋が出てくるかは知りません。

これは、浅丘ルリ子出演100本記念映画とタイトルに出たと思います。本当に100本かどうかは分かりませんが。

さすらい日乗 | URL | 2017-06-06(Tue)10:05 [編集]


Re: リメイクされています

 さすらい日乗 様  コメントありがとうございます。

百恵・友和映画は2本しか見ていないので、『炎の舞』も見ていません。「執炎」がリメイクされていたことも知りませんでした。
機会があれば観てみたいものです。情報ありがとうございました。

テツエイダ | URL | 2017-06-12(Mon)12:57 [編集]