日本映画の鉄道シーンを語る

日本映画における鉄道が登場する場面(特に昭和20~40年代の鉄道黄金期)を作品毎に解説するブログ

122. 混血児リカ ひとりゆくさすらい旅

1973年4月 オフィス 203・近代映画協会 製作 東宝 配給  カラー作品   監督 中平康

少年鑑別所 愛友学園を脱走し横浜へ戻ったリカ(青木リカ)が、三沢から来たミドリ(村田美智子)から花子(宗田政美)の窮状を聞き助けに行くアクション映画です。

鉄道シーンとしては、リカが横浜から花子のいる三沢へ向かう道程に集約されています。先ず今は無き横浜駅三代目旧駅舎(1928年~1980年)へ、リカが入る場面から始まります。
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切符売り場で「東北線 三沢一枚」と言って買うと、東海道本線上りホームへと向かいます。この場面で早くも怪しい目つきで監視する男がいます。

ホームで待つリカの腰に男の手が伸びた瞬間、男は線路に投げ飛ばされました。そこへ 113系電車が入って来て急ブレーキの音が鳴り響き、何事ぞと線路を覗き込む人々。
続いて 485系特急が迫り来る走行シーン。
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しかし何故か電機の走行音です。次の車内シーンは 583系電車特有のシートが並んだ中程に、リカは一人で座ってお稲荷さんを食べています。
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この車内にも刺客らしき二人の男と、相対するサングラスの男が一人います。次はボンネット型 485系特急やまばと号が白河駅に進入するシーンです。
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そしてホームでリカは駅そばを食べています。
その時赤いコートの男が千枚通しを出すのを見たリカは、残っているソバを丼ごと男の顔に投げつけ 更に蹴り上げます。122-4.jpg
男は線路に転落し、そこへ電機が牽く列車がブレーキ音と共に進入して来ました。

車内でお稲荷さんやパンを食べていたリカは、何故途中の白河で降りてまでして駅そばを食べたのでしょうか。駅そばマニアだったのでしょうか。この当時の白河駅そばが有名だったか定かではありません。
またリカは やまばと号で白河へ到着したと示唆しています。在来線特急最盛期の当時 東北本線には数多くの特急列車が走っていましたが、特急は、あいづ号1本以外白河には停車しませんでした。山形行の やまばと号も全て通過でした。

そして次のカットでは 455系らしき急行電車が発車して行きます。まつしま号仙台行か いわて号盛岡行でしょうか。
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何れにしても白河駅で乗車できる優等列車はこれが正しい姿です。
続く車内シーンは再び 583系です。第三の刺客がナイフで襲おうとしますが、リカが気付かぬ内に坂井八郎(峰岸隆之介 → 峰岸徹)が相手のナイフを叩き落とし 助けられます。

次に 485系らしき特急の横からの走行シーンがあります。白河の駅そばで寄り道したので、福島辺りから特急はつかり号にでも乗り換えて先を急いだのでしょうか。
その甲斐あってか、明るい内に小雪舞う 三沢駅に降り立つリカの姿があります。この美しい白樺の駅舎は、新しい駅舎となった現在も一部が旅行センターとして残っているそうです。
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この三沢駅頭でまたしても刺客がリカに襲いかかろうとしますが、リカを父親と間違えた男の子が抱きついたので断念しました。
この男の子の家に寄ることになり 雪が残る砂利道を二人で歩いていると、DE10 1160 ディーゼル機関車が単機でゆっくり走り抜けて行きました。
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これは 2006年廃止となった、米軍三沢基地へのジェット燃料搬入専用線と思われます。

当時のダイヤでリカの行動を追ってみます。朝早く横浜を出発、上野発 6:40 臨時急行 いわて1号 6101M で 8:58 白河着。9:36発の 101D 急行 八甲田1号に乗れば、17:20何とか明るい内に三沢に着きます。
でもこれでは 485系や583系の特急に乗れません。映画に合うのは、上野 9:13発 1103D 急行 いいで・ざおう1号で 11:46 白河着 12:05発の 1101M 急行 まつしま1号で 12:34郡山着 12:41発 2021M 特急はつかり1号に乗り継ぎます。
このまま乗って行けば明るい内に着きますが、三沢には停まりません。そこで 17:38着の尻内(現・八戸)で 18:28発の各停 525ㇾに乗換ますが、三沢到着が 18:52 と夏場でもなければ真っ暗な時間帯です。

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